(s0905)

「征長軍の敗北」

『新聞薈叢』
「何分、長人砲術丈け熟練なる事、何れも驚き居り申し候。エイエイドンドン抔にてはとても間に合申さず、御役人はじめ後悔の様子、場所にて掛け候時分、貝・太鼓、更に用立申さず。気憶れ故か、操練場の様には音も出さず。柳原か山下の左衛門の如くボロンボロン位の事にて一向役に立ち申さざる故、後には金鼓相用ひ申さざる由、御老若はじめあきらめ申し候。これに依り、近々に西洋銃隊散兵の稽古を初め候噂に御座候。二十五日夜より二十六日迄に追々に引取り候面々、西洋流の好き嫌ひの差別無く、逢ひ候人殊に偽りの挨拶は致さず、戦場に出るなら具足ならびに赤白黄の筒袖、陣羽織、大口の類、必ず用ひ間敷、又銃はミニー、ゲウェールにては丁間飛ばず、中りあらく必ず用ひ間敷、又槍抔も持たせ候は益少すと申し候。(中略)長人、四五丁の川を隔て打ち候共、残らずミニー筒故、敵の玉は尖く飛来し候へ共、此方の玉は中々届き申さず、殊に当りも細にて耳の左右を飛音数発の由、右に付追々と引取候仁、甲冑を売払ひ借金致し候てもミニーヘールを求め申さず候ては戦場へ出で申さず抔口々に申し居り候」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)