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「王政復古の大号令」

『法令全書』
「徳川内府従前御委任の大政返上、将軍職辞退の両条、今般断然聞し食され候。そもそも癸丑以来未曽有の国難、先帝頻年宸襟を悩され候次第、衆庶の知る所に候。これによって叡慮を決せられ、王政復古、国威挽回の御基立てさせられ候間、自今摂関幕府等廃絶、即今、先ず仮に、総裁議定参与の三職を置かれ、万機行はせらるべし。諸事神武創業の始めに原に、縉紳武弁堂上地下の別なく、至当の公議を竭し、天下と休戚を同じく遊さる叡慮に付き、各勉励旧来驕惰の汚習を洗ひ、尽報国の誠を以て奉公致すべく候事。
一、内覧、勅問御人数、国事御用掛、議奏、武家伝奏、守護職、所司代、総て 廃せされ候事。
一、三職人体(中略)
一、太政官始、追々興させらるべく候間、其の旨心得居るべく候事。
一、朝廷礼式、追々御改正在らせらるべく候得共、先ず摂□・門流の儀止めら れ候事。
一、旧弊御一洗に付、言語の道洞開せられ候間、見込之れ有る向は貴賎に拘ら ず忌憚無く献言致すべし、且人材登庸第一の御急務に候故、心当の仁之れ有 り候はば、早々言上有るべく候事。
一、近年物価格別騰貴、如何共すべからざる勢、富者は益富を累ね、貧者は益 窘急に至り候趣、畢竟政令不正より致す所、民は王者の大宝、百事御一新の 折柄、旁宸衷を悩ませられ候。智謀遠救弊の策これ有り候はゞ、誰彼無く申 出づべく候事。
(中略)
右の通り御確定、一紙を以て仰出だされ候事。
  慶応三年十二月九日」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)