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「政体書」

『復古記』
「去冬皇政維新、纔に三職を置き、続いて八局を設け、事務を分課すと雖も、兵馬倉卒之間、事業未だ恢弘せす、故に今般御誓文を以て目的とし、政体、職制相改められ候は、徒に変更を好むに非ず、従前未定之制度、規律次第に相立候訳にて、前後異趣に無之候間、内外百官此旨を奉体し、確定守持根拠する所有りて疑惑するなく、各其職掌を尽くし、万民保全之通、開成、永続せんを要するなり。
  慶応四年戊辰閏四月 太政官
政体
一、大に斯国是を定め制度規律を建るは、御誓文を以て目的とする(五箇条の 御誓文略)
 右御誓文の条件相行はれ、不悖を以て旨趣とせり
一、天下の権力、総てこれを太政官に帰す、則政令二途出るの患無らしむ。太 政官の権力を分つて立法、行法、司法の三権とす、則偏重の患無らしむるな り。
一、立法官は行法官を兼ぬるを得す、行法官は立法官を兼ぬるを得す。但し臨 時都府巡察と外国応接との如き、猶ほ立法官これを管するを得。
 (中略)
一、各府・各藩・各県、皆貢士を出し、議員とす、議事の制を立つるは、輿論 公議を執る所以なり。   
一、官に在る人、私に自家に於て他人と政事を議する勿れ。若し抱議面謁を乞 ふ者あらば、之を官中に出し公論を経べし。
一、諸官四年を以て交代す公撰入札の法を用うへし。但し今後初度交代の時、 其の一部の半を残し二年を延して交代す。断続宜しきを得せしむるなり。若 し其の人衆望の所属あって去り難き、猶数年を延さざるを得ず。
一、官職、太政官分ちて七官と為す(議政官、行政官、神祗官、会計官、軍務 官、外国官、刑法官)
  地方官分ちて三官と為す(府、藩、県)。
一、各府、各藩、各県、政令を施す、亦御誓文を体すべし。唯し其の一方の制 法を以て他方を概する勿れ。私に爵位を与ふる勿れ。私に通宝を鋳る勿れ。 私に外国人を雇ふ勿れ。隣藩或ひは外国と盟約を立つる勿れ。此小権を以て 大権を犯し、政体を紊るべからざる所以なり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)