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「廃藩置県に関する伊藤博文建白書」

『伊藤公全集』
「明治元年十一月付
夫れ、王政を復する、徒に幕府の政権を奪ひ、徳川氏の罪を責むるのみを以て然りとせんや。諸侯も亦、将に自ら責する所なくんば、是れ徒に幕府の威権己の上に出ずるを悪て、真に王政復古を望む者に非ざると云つべし。(中略)苟も我国をして海外各国と並立して文明開化之政治を致さしめ、天性同体の人民賢愚其の処を得、上下均しく聖明の徳沢に浴せしめんと欲すれば、唯全国の政治をして一斉に帰せしむるに如く者なし。其れ此を一斉に帰せんと欲するや、方今の如く各藩各自に兵権を擁し、互に相抗衡する之弊を除ひて、其の権を悉く朝廷に帰せしめ、政令・法度一切朝廷より出て更に犯す者なきに至らざれば、海内の人民をして偏頗の政令を免がれしめ一様の徳化に服せしむる能はざる也。(中略)其の領地は府県の制に倣ひ、是を所置せしめ、其の藩士は強壮なる者を撰て朝廷の兵となし、吏才ある者は吏と為し、其の余は悉く土着に帰し、老若自ら給する能はざる者は是を養育するの法を立つべし」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)