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「山県有朋・西郷従道らの徴兵制建議」

『法規分類大全』
「兵部即ち今の目途は内に在り、将来の目途は外に在り。然れども詳かに之を論ずれば、内外猶一の如し。未だ始より分別すべからず。何となれば外に備ふるの目途既に立ち措置其の宜しきを得ば、内事は憂ふるに足らず。試に天下現今の兵備を論ぜんに、所謂親兵は其の実聖体を保護し禁闕を守衛するに過ぎず。四管鎮台の兵総て二十余大隊、是れ内国を鎮圧するの具にして外に備ふる所以に非ず。海軍の如きは数隻の戦艦も未だ尽く完備に至らず。是れまた果して外に備ふるに足らんや。抑も復古以来、制度日に新に月に就み、遂に当今郡県の真治に帰し、天下の藩兵を解き天下の兵器を収め、海内の形勢始めて一変す。是の時に当りて、豈宜しく速に廟謨を定め外に備ふるの目途を確定せざるべけんや。(中略)常備の設けは方今第一の急務、一日も猶予すべからず。宜しく府県地方大小広狭に応じ、勇敢健壮の丁男を撰び、これに教ゆるに洋式陣法を以てし、練磨習熟せしめ、以て臨機の用に供すべし。所謂予備兵は常に隊団中に在らず。平時は放つて家に帰らしめ、事ある日調発差遣する者なり。欧州各国、此の兵有らざるなし。而して普漏西最も衆く、全国の男子皆兵事を知らざ るなし。其れ近歳仏郎察と構兵し大勝を得る者、蓋し予備の力多きに居る。今皇国其の制を定め、全国の男子生れて二十歳に至り、身体強壮家に故障無く兵役に充てしむべき者は、士庶を論ぜずこれを隊伍に編束し、期年を経、更番して家に帰るを許すべし。然るときは全国一夫として兵ならざる無く、人民の住む所として兵備あらざる無し。斯くの如くにして而して守備の設け始めて具はると云べし」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)