「税法は治民の要務にして理財会計の基本なり。其の当否により邦国の隆替人民の盛衰に関渉し、至大至重の要件たる、今更喋々論弁を竣たず。そもそも、皇国中古以降の慣行なる税則は戦国の遺法にして、妥当を得ざるもの多し。既に地に石高あり、貫高あり、束高あり、無高あり、無反別あり。税に検見法あり、定免法あり。五公五民も名有て其の実大に不同あり。其の他雑税等に至ては千差万別、枚挙に遑あらず。加ふるに割拠の陋習比隣法を異にし、農民苛酷に苦しむこと久。今や政権一に朝廷に帰し、凡百の政務斉一の際、治国の枢要たる税法に於ける均一の法則を設けざるべからず。(中略)断然従前の方法を廃棄し一般に地所の売買を許し、更に地代金分一の収税法を施設するに如かず。此の法をもうけるときは、第一耕作地の広狭、地味の善悪、秋毛の熟否等、検査の煩労を省き、前に陳述する数件の錯雑を一掃し、年来の通患一朝に氷解し、前日偏頗の田租梢平準を得て、億兆の農民一様の恩沢に欲せんこと、実に此の方法にあり。(中略)先づ以て地所永代売買を許し、各所持地の沽券を改め、全国地代金の惣額を点検し、而後、更に簡易の収税法を設け、予じめ弊害を
防ぎ民に示すに毫も疑を容れざる画一の条令を以てせばゞ、永世不伐の良法と存じ奉り候」 |