(s0998)

「香川県(当時の名東県)の徴兵反対一揆」

『明治初年農民騒擾記』
「明治六年七月四日付ー名東県権令他報告書
豊田郡辺の土民、同二六日頃より、俄然暴動す。右の原因は、徴兵御規則血税の条を誤解して妄説を付会し、或ひは学校を厭ひ又は肉食行はれしより、牛価騰貴、貧民困却等を唱ると雖も、総て其の筋へ紙面の申立もこれ無く、要する処、ひたすら暴威を逞しく、隣郡各区と飛語、同意致さざる者は撃破し毀焼き致すべき旨を以て、直ちに処在放火、村民これが為め畏怖。響広する者一時四方に波及するの形勢より、予め戸長等説諭、官員亦派出しともに鎮撫尽力すと雖も、多数紛擾、暴行一一言語の入るべきに非ず。(中略)此の挙たる人数、凡そ壱万人余、然れども多く山に拠り離合常ならず。放火の際に於ても、出没酢頗る速にして、全数を概計し屯所を認視する能はず。故を以て一挙駆逐に至らずして放火数所、屯中丸亀・多度津両地は、貫属等勉励防禦を厳にせしより異常これなく、遂に高松支庁西南五里計の地に於て兵隊の為に退散、続いて長駆進撃し、漸次区々鎮撫に向ひ候処、同夜より暴徒転じて右支庁東南四里半計の山外に出で、其の数凡そ千有余人、又々数ケ所放火、右地方各区動揺、兵隊迅速これに向ひ互に砲撃、二次暴徒遂に山中に四散し未だ其のゆく処を知らず。現今探索中。捕縛亦 多数これあり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)