(s1006)
「民撰議院設立建白書」 |
『日新真事誌』 |
「明治七年一月十八日付 臣等伏して方今政権の帰する所を察するに、上帝室に在らず、下人民に在らず、而独有司に帰す。夫有司、上帝室を尊ぶと日はざるには非ず。而帝室漸く其尊栄を失ふ。下人民を保つと云はざるには非ず。而政令百端朝出暮改、政刑情実に成り、賞罰愛憎に出ず。言路擁弊困苦告るなし。夫是の如くにして天下の治安ならん事を欲す、三尺の童子も猶其不可なるを知る。因仍改めず、恐らくは国家土崩の勢を致さん。臣等愛国の情国の情自ら已む能はず。乃ち之を振救するの道を講求するに、唯天下の公議を張るに在る而已。天下の公議を張るは民撰議院を立るに在る而已。則有司の権限る所あって、而して上下其安全幸福を受くる者あらん。請遂に之を陳ぜん。 夫れ人民政府に対して租税を払ふの義務ある者は、乃其政府の事を与知可否するの権利を有す 是れ天下の通論にして復喋々臣等の之を贅言するを待たざる者なり。故に臣等窃に願ふ、有司亦是大理に抵抗せざらん事を。今民撰議院を立るの議を拒む者日く、我民不学無知未だ開明の域に進まず。故に今日民撰議院を立る尚応に早かる可しと。臣等以為らく、若し果して真に其謂ふ所の如き歟、則之をして学且智、而急に開明の域に進ましむるの道、即民撰議院を立るに在り。何となれば則ち今日我人民をして学且智に開明の域に進ましめんとす、先ず其通義権理を保護せしめ、之をして自重自重、天下と憂楽を共にするの気象を起さしめんとするは、之をして天下の事に与らしむるに在り」 |
現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |