(s1009)

「鹿児島県政の反政府的な態度」

『評論新聞』
「明治九年一月付
夫れ廃藩置県以来、ここに五年、該県は依然として旧様を変更せず。試に看よ、士族の禄制は曽て変革なし。士民は旧に依て大陰暦を用ひ、県吏は長官より等外に至る迄、曽て他県人を容れず。さきに該県の士、西郷氏の職を辞するや、命を待たずして去れり。近衛兵は再三の勅諭を顧みずして解散したり。近来、該県下に於て設くる賞典学校なる者は、陸軍の規則を待たず、純然たる兵団の如し。私学校なる者は、文部の規則に従はず、宛然たる国事会議所也。且つ該県の士族は各自銃器弾薬を私蔵して、これを官に納めずと云ふ。凡そ此の数件は決して他県の無き所にして、該県に於ては、傲然として顧みず。均しく日本政府の管轄を受くる地方にして、彼れ独り此の如きは何ぞや。蓋し士人の□強にして、兵権をこれに及ぶ能はざる乎」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)