(s1012)

「村田新八の西郷軍出動の目的」

『戦袍日記』
「池辺氏日く『方今、天下の俊傑五六輩、或は朝に立ち或は野に存り。互に相軋轢し統一する能はず。西郷氏何を以て此輩に対せんと欲するか』村田氏首肯して日く『然り。吾また此に疑あり。且て西郷に質すに此事を以てす。西郷答て日く、憂ふるなかれ、吾よく此輩を収攬せんと。思ふに彼等西郷が嚢中の物たるに過ぎず』因て語を継で日く『吾満天下の人傑を通観するに西郷の右に出るものなし。天下の人、西郷を以て徒に豪胆の武将と為す。我が薩人と雖もまた皆一様の看を為す。独り吾は西郷を以て深智大略の英雄と為せり』と。因て実績を挙げ歴々これを證す。又日く『西郷をして首相の地位を得せしむ、此れ吾輩今日の任なり』池辺氏日く『誠に然り。然れども、西郷氏にして志を得ば、所謂震主の威。其れはたまた何を以て陛下に対せんとするか』村田氏日く『否々。西郷が尊王の精神は終始決して渝ることなしと』」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)