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「国会開設の勅諭」

『法令全書』
「朕祖宗二千五百有余年の鴻緒を嗣き、中古紐を解くの乾綱を振張し,大政の統一を総攬し、又夙に立憲の政体を建て、後世子孫継くへきの業を為さんことを期す。嚮に明治八年に元老院を設け十一年に府県会を開かしむ。此れ皆漸次基を創め序に楯て歩を進るの道に由るに非さるは莫し。爾有衆亦朕か心を涼とせん。
 顧るに立国の体、国各宜きを殊にす、非常の事業実に軽挙に便ならず。我祖我宗照臨して上に在り。還烈を揚け洪謨を弘め、古今を変通し断して之を行ふ責朕か躬に在り。将に明治二十三年を期し、議員を召し国会を開き、朕か初志を成さんとす。今在廷臣僚に命し、仮すに時日を以てし、経画の責に当らしむ。其組織権限に至ては、朕親ら衷を裁し時に及て公布する所あらんとす。
 朕惟ふに人心進むに偏して、時会速なるを競ふ。浮言相動かし竟に大計を遺る。是れ宜しく今に及て謨訓を明徴し、以て朝野臣民に公示するへし。若し仍ほさらに躁急を争ひ、事変を煽し、国安を害する者あらは処するに国典を以てすへし。特に茲に言明し、爾有衆に諭す。
 奉勅 太政大臣  三条実美
  明治十四年十月十二日」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)