(s1049)

「内務省事務の目的を定むるの議」

『大久保利通文書』
「明治八年五月付
建省日ならずして、内変外事相継ぎ起り、其の事に奔走して省務を視るに由なく、殆ど一歳を経過せしは、已むを得ざるの事と雖も、またこれを回顧すれば、深く歎息せざるを得ず。今や内外事平穏に帰し、廟議建省の目的、是に於てか達せらるべく、利通をして奉職の責を尽さしむるの時も亦此に際せりと考へり。然らば則ち、宜しく内治を整へ国力を養ふことを務め、基礎の未だ堅確ならざるものを堅確にし、節目の未だ整備ならざるものを整備して、実力を養ひ、今の形勢を匡救するの方法を講究挙行し、安治の根基を牢固にせざるべからず。然して其の要務固より一にして足らずと雖も、内務の現に着手の先務緊要とする処、乃ち左の条款に在り。
 樹芸、牧畜、農工商を奨励するの道を開く目的及び其の方法・費額等、別紙に具陳するもの
 山林保存、樹木栽培の目的及び其の規則・方法・費額等、別紙に具陳するもの
 地方の取締を整備する目的及び其の方法・額費等、別紙に具陳するもの
 海道の道を開く目的、及び其の費額等、別紙に具陳するもの」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)