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「内国勧業博覧会」

『明治新聞史料集成』
「明治十年八月二十二日付
次に博覧会場の概略を挙げんには、先づ美術館を中央とし、右に連なるは農業館と東本館にて、左に園芸館、機械館と西本館なり。其他動物館迄の設けありて、天造人造の諸品余さず漏さず此覧場に集められしは、実に国家の進歩を卜すべき者にして目出度かりし景況は、拙き筆には書き尽すべくもあらねば、只かくばらりになん。(中略)さしも広き公園中に群集したる都鄙遠近の見物人は、錐を立るの地も残さず、午後より場中を縦覧せしものは幾万人なるを知らずといふ。又夜に入り不忍池にて挙げられたる花火は、涼みがてらの見物ゆゑ、昼にも劣らぬ雑沓なりしに、曇りの空の晴れざりしは、花火のためには却って一層の美観なりき。公園内の茶屋茶屋を始め、近傍の雁鍋其他の料理店には、人の充満せざる所なし。これらはよろしく押測り給へ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)