(s1065)

「辻弘想の開化のはなし」

『明治文化全集』
「王政御一新の後は、万事旧時の弊しき習はせは、御用ひ無く、西洋文明の国々の、長い所を御採りなされ、億兆を、赤子の如く御慈愛ありて、官人も品流で用ゆる事もなく、卑賎の吾々でも、才徳さへあれば、□□様な重ひ役にもなり、士農工商の差別なく、其身の権を同じふするやふになされ、以前の様に、無理でも無法でも、諸侯や武士に頭を押しつけられ、狼意ひ目に逢ふことも無く、人民に自由を与へよ与へよと、御世話のあるは、此上も無き有難い事では御座らぬか。また学校を所々に御建設なさえて、万物の霊たる職分に耻ぬ様にと、自分の身を善くして下さる。(中略)国中一般に、文明の御政事が行き届き、人も賢しこくなり、土地も開け、産物も多くなり、金銭が沢山出来て、此上もなき我々の幸福なるに、其真訳も知らず、文明の進歩ひ邪魔をする愚痴漢は、人外といふても好了」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)