(s1067)

「小川為治のポリス問答」

『明治文化全集』
「旧平 道傍に小便するものあれば、アア安直の口なりと不肖々々一朱の罰金 をとりあげ、犬を闘はすも罰金、紙鳶を揚ぐるも罰金、転倒でも罰金、屁 を放ても罰金ヤレ罰金と、なんでも慢に罰金をとりあぐるが、ナントこれ 等は正真にわからぬ理屈ではソレ罰金ござらんか。(中略)ポリスのせる 職分は国の政事の一なれば、ポリスは矢張政府にて人民の権利を保護する ための道具でござりませう。且ポリスは給金を国用の中より受くれば、矢 張銘々より出す年貢運上の余沢を蒙るものでござりませう。(中略)さる に今のポリスは政府の威光を笠に着て、御主人同様なる人民を塵芥の如く に看做し、人民の権利を保護すべき道具でありながら、反てこれを害ふ仕 業に及べるは実に胆のつぶるる話しにて、あきれて口を閉ぐことが出来ま せん。(中略)
開次郎 元来ポリスの権はこれを警保の権といひて、日本にては内務省の受 持でござる。ソコデこの権の素性は人民の身の上を気を付け、安全に守る といふが趣意にて、警保の文字をくはしく説けば、小言誡めたもちまもる といふ義理なれば、警保の権とはすべて人民の身体所業の上に関係して、 人民が自己の身体に害となるべき事や、他人の権利を妨害すべき事を行ふ 時は忽ちいましめ、小言をいひ或は気を付け説諭して、その安全を守護す る義でござる」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)