(s1120)

「平民社の反戦論」

『平民新聞』
「戦争は遂に来れり。平和の撹乱は来れり。罪悪の横行は来れり。日本の政府は日く、其責露国政府に在りと。露国の政府は日く、其責日本政府に在りと。是に由て之を観る。両国政府も亦戦争の忌むべき平和の重んずべきを知る者の如し。少なくとも平和撹乱の責任を免れんことを欲する者の如す。其心や多とすべし、而も平和撹乱の責は両国の政府、若くは其一国の政府遂に之に任ぜざるべからず。然り其責政府に在り、吾人平民は之に与からざる也。然れども平和撹乱より生ずる災禍に至りては、吾人平民は其全部を負担せしめらる可し。彼等平和を撹乱せるの人は毫も其罰を受くることなくして、其責は常に吾人平民は其全部を肩上に嫁せらるる也。是於乎吾人平民は飽くまで戦争を非認せざる可らず。速に平和の恢復を祈らざる可らず。之が為めには、言論に文章に、有ゆる平和適法の手段運動に出でざる可らず。故に吾人は戦争既に来るの今日以後と雖も、吾人の口有り、吾人の筆有り紙有る限りは、戦争反対を絶叫すべし。而して露国に於ける吾同胞平民も必ずや亦同一の態度方法に出ると信ず。否英米独仏の平民、殊に吾人の同志は益々競ふて吾人の事業を援助すべきを信ず る也」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)