(s1123)

「東大七博士の意見書」

『東京朝日新聞』
「噫我国は既に一度遼東還附に好機を逸し、再び之を膠州湾事件に逸し、又た三度之れを北清事変に逸す。豈に更に此覆轍を踏んで失策を重ぬべけんや。既往は追ふべからず、只之を東偶に失ふも之れを桑楡に収むるの策を講せざるべからず。特に注意を要すべきは極東の形勢漸く危急に迫り、既往の如く幾回も機会を逸する余裕を存せず。今日の機会を失へば遂に日清韓をして再び頭を上ぐるの機なからしむるに至るべきこと是なり。(中略)故に極東現時の問題は必ず満州の保全に就て之を決せざるべからず。もし朝鮮を争議の中心とし、其争議に一歩を譲らば是れ一挙にして朝鮮と満州とを併せ失ふことなるべし。(中略)之を要するに、吾人は故なくして漫りに開戦を主帳するものにあらず。又吾人の言議適中して後世より先覚予言者たるの名称を得るは却て国家の為に嘆ずべしとするものなり。噫我邦人は千歳の好機を失はば我邦の存立を危うすることを自覚せざるべからず」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)