| 「当市学務局は、本月十一日突然当加州小学校令の励行を名とし、東洋人児童を一般市立小学校より隔離し、Oriental
Public Schoolなる一小学校に収容すべき事を決議し、本月十五日より同決議を実行致候。右隔離学校は本官実見する所に依れば、目下之処六個の教室を有し約三百名の生徒を収容し得べく、授業科程は普通のPrimary 及
Grammar Schoolと異なるなく、教員は校長共五名にして生徒の増加するに連れ漸次増員すべき由なるも、其位置は火災区域内に於て市の東北隅に偏在し、四隣は只荒涼たる焦土を見るの外亦一の人家なく、年少児童の到底通学に堪へざるのみならず、火災後一般の秩序未だ整はず、白昼強盗の出没、悪童並に無智労働者の横行甚しきものあり、其他荷車電車の危険亦少からず、同決議の実行は吾在留一般の児童をして事実上其通学を不可能たらしむるものにして、邦人の不利益極めて大なるを以て、本官は口頭並に書面を以て同当局者の反省を促し、同決議取消方要求致置候。元来当州小学校規則はポリチカル＝コード中に充分有利の主張をなし得べくと存候得共、右問題の解決は焦眉の急に迫り居候に付、相成るべくは論議に陥るの不利益を避けんが為め、目下の処権利に関する論点は暫く差控へ、右決議実行不可能なる点に就き当局者の反省を促し置候。尤も当市市政は数年来労働党の支配に属し、現今当局者亦同党の撰出に係るを以て常に東洋人を排斥し、以て一般労働者の意向に投ずるを以て旨とせり。今回小学校児童を排斥せるが如き、亦右の方針に基くに外ならず」 |
