(s1196)
「五・一五事件と青年将校」 |
『現代史資料』 |
「 日本国民に檄す。 日本国民よ! 刻下の祖国日本を直視せよ。 政治、外交、経済、教育、思想、軍事! 何処に皇国日本の姿ありや。 政権、党利に盲ひたる政党と之に結託して民衆の膏血を搾る財閥と、更に之を擁護して圧制日に長ずる官憲と軟弱外交と、堕落せる教育、腐敗せる軍部と、悪化せる思想と、塗炭に苦しむ農民、労働者階級と、而して群拠する口舌の徒と! 日本は今や斯くの如き錯綜せる堕落の淵に既に死なんとしてゐる。革新の時機! 今にして立たずんば日本は亡滅せんのみ。 国民諸君よ 武器を執って! 今や邦家救済の道は唯一つ『直接行動』以外の何物もない。 国民よ! 天皇の御名に於て君側の奸を屠れ 国民の敵たる既成政党と財閥を殺せ! 横暴極まる官憲を膺懲せよ! 奸賊、特権階級を抹殺せよ! 農民よ、労働者よ、全国民よ! 祖国日本を守れ 而して 陛下聖明の下、建国の精神に帰り、国民自治の大精神に徹して人材を登用し、朗らかな維新日本を建設せよ。 民衆よ! この建設を念願しつつ先づ破壊だ! 凡ての現存する醜悪な制度をぶち壊せ! 偉大なる建設の前には徹底的な破壊を要す、吾等は日本の現状を哭して、赤手、世に魁けて諸君と共に昭和維新の炬火を点ぜんとするもの 素より現存する右傾左傾、何れの団体にも属さぬ。 日本の興亡は吾等決行の成否に非ずして、吾等の精神を持して続起する 国民諸軍の実行力如何に懸る。 起て! 起って、真の日本を建設せよ 昭和七年五月十五日 陸海軍青年将校 農 民 同 志」 |
現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |