(s1201)

「天皇機関説問題」

『官報号外』
「去る二月十九日の本会議におきまして、菊池男爵その他の方から、私の著書につきまして御発言がありましたにつき、ここに一言一身上の弁明を試むるのやむを得ざるに至りました事は、私の深く遺憾とするところであります。…今会議において、再び私の著書をあげて、明白な反逆思想であるといはれ、謀叛人であるといはれました。又学匪であると断言せられたのであります。日本臣民にとり、反逆者、謀叛人と言はるゝのは、此上なき侮辱であります。学問を専攻してゐる者にとって、学匪といはるゝ事は堪へ難い侮辱であると思ひます。…所謂機関説と申しまするは、国家それ自身を一つの生命あり、それ自身に目的を有する恒久的の団体、即ち法律学上の言葉を以て申せば、一つの法人と観念いたしまして、天皇は此法人たる国家の元首たる地位に在まし、国家を代表して一切の権利を総御攬し給ひ、天皇が憲法に従って行はせられまする行為が、即ち国家の行為たる効力を生ずると云ふことを言ひ現はすものであります」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)