(s1212)

「北支事変」

『極東国際軍事裁判速記録』
「帝国は特に政戦両略の緊密なる運用に依り、左記各項の適切なる実行を期す。
一、支那現中央政府にして此際反省翻意し、誠意を以て和を求むるに於ては、 別紙、日支講和交渉条件に準拠して交渉す。…
二、支那現中央政府が和を求め来らざる場合に於ては、帝国は爾後之を相手と する事変解決に期待を掛けず新興支那政権の成立を助長し、これと両国国交 の調整を協定し更生新支那の建設に協力す。支那現中央政府に対しては、帝 国は之が潰滅を図り、又は新興中央政権の傘下に収容せらるる如く施策す。
三、本事変に対し、国際情勢は変転に備へ、前記方針の貫徹を期する為、国家 総力就中、国防力の急速なる培養整備を促進し、第三国との友好関係の保持 改善を計るものとす。
別紙 日支講和交渉条件細目
一、支那は満州国を正式承認すること。
二、支那は満州及び反満政策を放棄すること。
三、北支及び内蒙に非武装地帯を設定すること。
四、北支は支那主権の下に於て日満支三国の共存共栄を実現するに適当なる機 構を設定し之に広汎なる権限を賦与し、特に日満支経済合作の実を挙ぐるこ と。
五、内蒙古には防共自治政府を設立すること。…
六、支那は防共政策を確立し、日満両国の同政策遂行に協力すること。
七、中支占拠地域に非武装地帯を設立し、大上海市区域に就ては、日支協力し て之が治安の維持及び経済発展に当ること。
八、日満支三国は資源の開発・関税・交易・航空・交通・通信等に関し、所要 の協定を締結すること。
九、支那は帝国に対し所要の賠償をなすこと」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)