(s1224)
「国家総動員法」 |
『法令全書』 |
「 法律第五十五号 国家総動員法 第一条 本法に於て国家総動員とは、戦時(戦争に準ずべき事変の場合を含む以下之に同じ)に際し国防目的達成の為国の全力を最も有効に発揮せしむる様、人的及物的資源を統制運用するを謂ふ。 第二条 本法に於て総動員物資とは左に掲くるものを謂ふ。 一、兵器、艦艇、弾薬其の他の軍用物資 二、国家総動員上必要なる被服、食糧、飲料及飼料 三、国家総動員上必要なる医薬品、医療機械器具其の他の衛生用物資及家畜衛生用物資 四、国家総動員上必要なる船舶、航空機、車輛、馬其の他の輸送用物資 五、国家総動員上必要なる通信用物資 六、国家総動員上必要なる土木建築用物資及照明用物資 七、国家総動員上必要なる燃料及電力 八、前各号に掲くるものの生産、修理、配給又は保存に要する原料、材料、機械器具、装置其の他の物資 九、前各号に掲くるものを除くの外勅令を以て指定する国家総動員上必要なる物資 第三条 本法に於て総動員業務とは左に掲くるものを謂ふ。 一、総動員物資の生産、修理、配給、輸出輸入又は保管に関する業務 二、国家総動員上必要なる運輸又は通信に関する業務 三、国家総動員上必要なる金融に関する業務 四、国家総動員上必要なる衛生、家畜衛生又は救護に関する業務 五、国家総動員上必要なる教育訓練に関する業務 六、国家総動員上必要なる試験研究に関する業務 七、国家総動員上必要なる情報又は啓発宣伝に関する業務 八、国家総動員上必要なる警備に関する業務 九、前各号に掲くるものを除くの外勅令を以て指定する国家総動員上必要 なる業務 第四条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは、勅令の定むる所に 依り、帝国臣民を徴用して総動員業務に従事せしむることを得、但 し兵役法の適用を妨げず。 第六条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは勅令の定むる所に依 り従業者の使用雇入若は解雇又は賃銀其の他の労働条件に付必要な る命令を為すことを得 第七条 政府は戦時に際し国家国家総動員上必要あるときは勅令の定むる所 に依り労働争議の予防若は解決に関し必要なる命令を為し又は作業 所の閉鎖、作業若は労務の中止其の他の労働争議に関する好意の制 限若は禁止を為すことを得 第八条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは、勅令の定むる所に 依り、物資の生産修理配給譲渡其の他の処分、使用消費所持及移動 に関し、必要なる命令を為すことを得。 第九条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは勅令の定むる所に依 り輸出若は輸入の制限若は禁止を為し、輸出若は輸入を命し、輸出 税若は輸入税を課し又は輸出税若は輸入税を増課若は減免すること を得 第十一条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは勅令の定むる所に 依り会社の設立、資本の増加、合併、目的変更、社債の募集若は 第二回以後の株金の払込に付制限若は禁止を為し、会社の利益 金 の処分、償却其の他経理に関し必要なる命令を為し又は銀行、信 託会社、保険会社其の他勅令を以て指定する者に対し資金の運用 に関し必要なる命令を為すことを得 第十三条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは勅令の定むる所に 依り総動員業務たる事業に属する工場、事業場、船舶其の他の施 設又は転用することを得る施設の全部又は一部を管理、使用又は 収容することを得 第二十条 政府は戦時に際し国家総動員上必要あるときは、勅令の定むる所 に依り、新聞紙其の他の出版物の掲載に付制限又は禁止を為すこ とを得」 |
現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |