有名人が高校生に贈る 『心に残る一冊の本』
アンケート結果を、毎回、お2人 紹介いたします
アンケート実施(1977年)後の35年目にアップ
「私たちの思い出・宝物を多くの方に共有を!」との願いを
手塚治虫さんより届いた直筆の「心の残る一冊の本」

朝日新聞のトップ記事になった理由
 朝日新聞神戸支局の記者が相生市の我が家に飛んできました。早速トップ記事として掲載されました。その記事は後日にアップします。

 トップ記事になった理由を、その記者は次のように語ってくれました。
 「以前、朝日新聞でも同様の企画をしたが、50数通の返事だった。だのに、地方の先生の企画に200通以上の回答があった。どんな仕掛けをしたのか? とても気になった」

 私は、1942(昭和17)年に生まれました。TVもゲームもありません。楽しみと言えば、近所の子供たちと山でチャンバラごっこしたり、川で泳いだりの川遊びに夢中でした。それ以外では、小学生のころはカバヤのキャラメルを買って、おまけの図書券を集めて得た世界名作全集、小さな中学校の小さな図書館の全ての本、高校では『日本古典文学選集』(岩波書店)の全冊を読破しました。チャンバラごっこや川遊びは「その時だけの喜び」、読書は「永続する喜び」という2つの喜びを体験しました。

 所が、1970年代後半になると、TVは当然、ゲームが大はやりし、劇画ブームを迎えました。子どもたちの周囲から読書をする楽しみが亡くなって行きました。夏目漱石の本や『万葉集』などは10代・20代‥‥60代と読んでも、年代によって、読後感が大きく変わる喜びを今も味わっています。10代・20代で読み損ねた古典を今読もうとしても、集中力や忍耐力・記憶力がなくなって、無理です。

 若い時にしか読めない古典がある。そう考える若い教師が集まって、どうすれば、高校生に読書に親しむ動機を与えられるかを、論議しました。その結果、授業で紹介する有名人、高校生があこがれる有名人にアンケートをお願いすることにしました。1977(昭和52)年8月のことです。

 あて名書きには、アンケートに関心を持った高校生に頼みました。出す時も返事が来た時も、アンケート結果を授業中に読んだ時も、今までにない「歓声」がクラスを満たしました。それをきっかけに紹介された「一冊の本」を読む生徒が出てきました。
 この時の体験を大切にしてほしいと、その時の若い教師(今は60歳台後半)は願っています。

有名人に送ったアンケートのお願い
 残暑厳しい申、先生方には各々の分野の第一線で活躍されていることと存じます。
 さて、高校につとめている教師は、「心に残る一冊の本」を高校生に紹介したいと思っています。
 つきましては、私達が授業中、使用する教科書の著者、紹介する参考資料の著者、人生観の所で紹介する各々の分野の指導者、以上の先生方に「心に残る一冊の本」を教えて頂き度く、お願いする次第です。
 御多忙とは存じますが、右の点を涼とされ、折り返し御投函下されますよう伏してお願い申し上げます。