体験 的パ ソコ ン論
初めてのデジタルビデオカメラ
・決定的静止画は動画から切り取る
・動画のインパクト

【010】デジタルビデオカメラ(ソニー)
(1)その時代(1996年以降)


 インターネットもはじめ、デジカメで撮影した画像をパソコンで処理したり、プリンタで印刷も出来るようななった。
 しかし、デジカメではインパクトのある静止画が撮影できないことにもどかしさを感じていた。
 
右側上の様な動きのある写真が撮りたかった。
 右側下のしずくが今にもしたたり落ちる直前の写真が撮りたかった。
 いくら努力し、工夫してもデジカメでは不可能であった。
 そこで購入したのがソニーのデジタルビデオカメラレコーダー(DCR-SC100)である(下の写真)。当時のビデオカメラはかなり高価で、個人ではなかなか手が届かなかった。私の真意が通じたのか、展示品ではあるが、3年間の補償期間をつけるという条件で、かなり割安で購入することができた。

2秒の動画(上の写真をクリック)
ADSLか光ファイバーでご覧下さい
「デジタルビデオカメラではデジカメになりますが
デジカメはデジタルビデオになりません悪しからず」
(これはポテトチップスのCMをもじった真理です)

 右側上の静止画をもう一度見ていただきたい。多くの人は「剣道の試合で胴が決まった写真ですね」とだけ答えるだろう。
 右側下の静止画をもう一度見ていただきたい。多くの人は「綺麗な写真ですね」とだけ答えるだろう。 まばたきしている間に試合が決まる剣道の「その瞬間」の写真は、デジカメでは無理である。デジタルビデオカメラ(以下ビデオカメラ)ではじめて可能になったのである。
 水滴がしたたり落ちる直前の写真も、ビデオカメラではじめて可能となったのである。

2)魅力
 
 ビデオ編集に携わったことのある人は、1秒間に絵が30枚使われていることを知っている。映画も1秒間に30枚のコマが動いている。だから自然な動きが伝えられるのである。
 1秒間に30枚の絵が動いていることは、その30分の1枚の写真を切り取ることで、決定的な写真をパソコンに取り込むことが出来るということである。右側の上・下の写真はこのようにして誕生したのである。 このインパクトのある、決定的な写真を見て、多くの人はデジカメとは違うビデオカメラの魅力を感じたのである。
 右側上の剣道の写真は私の勤務していた高等学校のホームページを飾ることになる。
 右側下の花の写真に感激した同じ高等学校の写真部の生徒が、ビデオカメラで撮影した「学校と周辺の花」として今もホームページを飾っている(学校と学校周辺の花・樹木ここをクリック)。
 このようにして、ビデオカメラ時代の到来を予感できた。この動きをいち早く導入した私は、入学式・卒業式は勿論、重要な学校行事で「記録係」という役を任されるようになった。
 この時撮影した動画が貴重な財産となり、後に動画の特性を発揮する事になる。これは後に述べる。
(3)課題
 当時のビデオカメラのデータをパソコンに取り込むには別売のキャプチャーボードが必要であった。そして1秒間に30分の1の静止画を苦労しながら切り取っていったものである。
 動画を簡単に静止画に切り取り、スムーズにパソコンに取り込める時代の到来を待っている。
4)フォト機能とメモリースティック機能
(1)60分のビデオテープに120シーンを撮影
(2)フィルム写真は1200シーンを撮影
(1時間でメモリースティックに簡単・楽々保存)
 まもなくソニーがフォト機能とメモリースティック機能がついたデジタルビデオカメラ(以下ビデオカメラ)を発売した。学校の記録係という名目で、旧機種は私の妻へ払い下げ、早速新機種を購入した。
 花や自然を扱ったTV番組を見ていると、同一シーンは7から8秒で次のシーンに転換していることがわかった。すこし長いと思って時計を見ると10秒を越えている。そこで、私はロング10秒、ロングからアップへのズーム(あるいはパンニング)10秒、アップ10秒と分けて撮影することにした。60分のビデオテープ120のシーンがとれます。
ソニー(DCR-PC100)
 (1)ビデオカメラを再生しながら一番いい所で一時停止ボタンを押し、微調整ボタンで1秒間に30分の1枚の決定的写真を引き出し、フォトボタンを押してメモリースティックに保存します。これをPCカードに入れて、パソコンに挿入すればいいのです。
 (2)ソニー製のパソコンでは動画を取り込み、一時停止から微調整ボタンを使って、決定的な写真を切り取る機能も付いている。
 膨大な枚数の写真を切り取る場合は(1)の方が有効である。最近のビデオカメラの場合、リモコンが付いているので、(1)の操作はより簡単で適切になっている。
 子どものフィルム写真などはアルバム用の静止画として利用するので、1枚に3秒しか撮影しません。この場合は1200シーンがとれます。相手が動かない動画なので、シーンが変われば、機械的にフォトボタンを押します。理屈では60分で1200枚の静止画をメモリースティックに保存ことになります。
(5)ビデオカメラの静止画は画素数が少ない?
実際の使用はハガキサイズかそれ以下のサイズ
100〜200万画素数で十分
 私の上記のような撮影・保存・利用方法について、「デジタルビデオは画素数が少ないので、写真が汚いのでは?」という質問があります。確かに最近ではデジタルビデオでも画素数が300万とか500万という製品が出てきました。
 (1)100〜200万画素数(ハガキサイズ)
 (2)300万画素数     (A4サイズ)
 (3)500万画素数     (A3サイズ)
 殆どの人はA4サイズの用紙を使います。その時A4に全面写真を使うことはなく、ハガキサイズの写真を使うでしょう。年賀状に使う場合もハガキサイズかそれ以下ということになります。私の場合はホームページに使用することがほとんどですから、ハガキサイズ以下です。アルバムにして保存する場合も1ページ縦横各々3枚の9枚ですから、ハガキサイズ以下です。このページの写真も全てビデオカメラです。
 

(6)ここで学んだこと…ここでもパソコンリーダーは先見の明が必要

 右の写真は2003年から現在(2004年)放映しているキャノンのデジタルビデオカメラのCMである。キャッチフレーズは「写真DVという新ジャンルへ」である。内容は先述したように、「ビデオカメラはデジカメになるが、デジカメはビデオカメラにはならない」キャノン版ということである。つまり写真(デジカメ)+DV(デジタルビデオ)ということ。
 パソコン本体は勿論のこと、その周辺機器を合わせると、大変な金食い虫である。予算があり余っているいる所は別として、デジカメを買い、またビデオカメラを買ったのでは無駄としかいいようがない。
 ビデオカメラを買ったなら、動画を取り込んで静止画にしたり、動画を編集するパソコンを購入する必要がある。その時の出たとこ勝負では、パソコンリーダーとはいえない。
 時代を先取りした研修が、予算を有効にしかも発展的に使える武器となるのではないでしょうか。
キャノン(写真DVという新ジャンルへ)

このパソコン論は『研究紀要第44号』(兵庫県社会科研究会、1997年発行)と『兵庫教育』(兵庫県教育委員会、2000年発行)などを基に展開します。