井の中の蛙とソフト選び |
画像ソフトの選択について
井の中の蛙と言われて |
【024】ソフト選びは汎用性と発展性が原則 | |||||||||||||||||||||||||
(1)最近出会ったパソコン指導者群像 | |||||||||||||||||||||||||
最近、退職した高等学校で、高校生対象に「地域理解を深める」という講座(2コマ×4回)を依頼されたり、色々な研修に招待されました。 そこで、色々なパソコン指導者と出会う機会がありました。 | |||||||||||||||||||||||||
女性であったり、私の子供より若かったり、様々な指導者群像です。 多くの人を指導するだけに、非常に自分の指導に自信を持っているという共通点を感じました。 他方、その哲学には、共感する指導者もいたし、違和感を感ずる指導者もいました。 | |||||||||||||||||||||||||
あらゆることに秀でているのに、非常に謙虚に、話を聞いて、自分の不足分を補おうとする柔軟な姿勢 の人がいました。年齢・男女の差を越えて、信頼の絆を深めることが出来ました。 汎用性と発展性とは何かを真摯に話し合い、理解しあい、今後の交流を確認しました。 例えば、汎用性と発展性からすると、画像処理ソフトはアドビ社のフォトショップが優れていますが、重く て高価なので、ノートパソコンや一般の人には不向きです。そこで、フォトショップの基本部分を軽く廉価 版にしたフォトショップ・エレメンツに落ち着きます。 | |||||||||||||||||||||||||
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他方、多くの方から信頼され、指導してきた経験から、自分の指導に強い自負を持ち、自分の話は するが他人に話には耳を傾けようとしない膠着した姿勢の人がいました。 画像処理ソフトでも、花子とペイントショップが1つのパソコンにインストールされている例を知りました。その理由を聞くと、A指導者は「花子があれば何でもできる」というと、B指導者は「ペイントショップがあれば何でもできる」と譲り合わなかったといます。汎用性・発展性からの議論でなく、自分の使い勝手の良し悪しで決められている悲劇です。 | |||||||||||||||||||||||||
(2)「井の中の蛙」と言われた苦い経験 | |||||||||||||||||||||||||
私には、上の悲劇を笑えない体験があります。 | |||||||||||||||||||||||||
毎年4月4日は、ある高校の担任同士の同窓会があります。生徒との同窓会はあっても、担任同士の 同窓会は非常に珍しい宴会です。 私のホームページのあちこちに登場します。それほど個性的な集団です。すでに20回を迎えました。 | |||||||||||||||||||||||||
この中に、ベーシックで参考書を何冊も出版している先生もいます。今の私があるのは、この先生のお陰です。 ワープロからパソコンに移行した頃、フリーウエアで優秀なソフトがありました。それを使って、生徒にも その良さを宣伝していました。しかも「無料!」と。 フリーウエア(freeware)とはフリー(自由な、無料の)ウエア(商品)という意味ですが、専門的には、その 利用に当たって対価を求められないソフトウエアのことです。 | |||||||||||||||||||||||||
私が使い良さをあつこちに吹聴していると、ベーシックの大家から、文句を言われました。この時だけは納得がいかなかったので、「これでいいんです。私には相性が合うんです」と抵抗しました。すると、ベーシックの大家は「そういう人のことを井の中の蛙と言うんだよ」と厳しく指摘されました。 | |||||||||||||||||||||||||
(3)ソフト選びの原則は汎用性と発展性 | |||||||||||||||||||||||||
その理由は、「人を指導する立場の者が、汎用性・発展性のないソフトを使うと、指導された者が後で、苦労する」というのです。特に生徒を指導する者は肝に銘ずべきだと言うのです。 | |||||||||||||||||||||||||
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汎用性とは、辞書では「すべてのものに汎用性・共通(適合)する性質。一般性」とありますが、私は、「どの職場でも誰か1人は必ず使っていること」と解釈しています。 つまり、フォトショップ・エレメンツは、どこに行っても相談相手がいるという意味です。 | |||||||||||||||||||||||||
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発展性とは、「次の(高い)段階へ移っていくこと」とあります。私は、「基礎・基本をマスターした場合、プロとか専門家と言われている人々が使う道具・機会に通じていること」と解釈しています。 つまり、フォトショップ・エレメンツをマスターした場合、プロとか専門家がつかうフォトショップへの道に通じているということです。 | |||||||||||||||||||||||||
その後、私は、この指摘が正しかったことを、体験します。 そして、常に、私の指導が汎用性・発展性があるか自己批判し、さらに、色々な人に意見を聞きに、謙虚に軌道修正をして来て、現在に至っています。 謙虚さは、自信があれば、自然と出てきます。自信がない時は、強がる。体験から出た真理です。 | |||||||||||||||||||||||||
(4)指導者に求められるのは、先行投資 | |||||||||||||||||||||||||
無料のソフトで、優秀なソフトもあります。しかし、汎用性・発展性という原則からは、児童・生徒を指導する立場の人には勧められません。 確かにフォトショップ・エレメンツやフォトショップは高価です。しかし、そのことで、生徒の目を輝かせたり、コミュニケーションを図るなど教育効果が上がれば、安い投資ではないでしょうか。 | |||||||||||||||||||||||||
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(5)指導者は「井の中の蛙」たるなかれ |
このパソコン論は『研究紀要第44号』(兵庫県社会科研究会、1997年発行)と 『兵庫教育』(兵庫県教育委員会、2000年発行)などを基に展開します。 |