データベース化ではなく情報処理化
写真(1)
机上にはパソコン以外何もない」とインクスの山田社長(朝日新聞より)

【1】コペルニクス的転回
 この写真を見て、どんなことを想像するでしょうか。
 山田社長が言うように「机上にはパソコン以外何も」ありません。不気味さを感ずる人もいるでしょう。
 1989年のことです。私のパソコン人生を「コペルニクス的転回」する出来事に出会いました。この写真を見て、その場の雰囲気を思い出しました。
【2】情報処理化(ペーパーレス・情報の共有)しない企業はつぶれる(IBMの担当者)
 私は、ディスプレーの新会社(東芝とIBMが50%づつ出資)の課長に就任した知人に招待されて、会社見学をしました。その時、IBMの担当者から「情報処理化(ペーパーレス・情報の共有)しない企業はつぶれる」と聞かされました。
 これを公共機関(市役所や学校)に当てはめると同じことがいえる。ショック!!
【3】情報(教材)の共有化で、生徒は目を輝かせ、先生の自由な時間を確保
 そう言えば、私の場合も、苦労して作成した教材は私有しています。他の先生方も囲い込んでいます。当然だと思っていました。
 しかし、発想を変えて、苦労した教材を公開すれば、どうなるだろうか。他の先生方も貴重な教材を交換するだろう。飛躍的に、しかも短時間に教材の量・質は高まるでしょう。そうなると、生徒は目を輝かせ、私たちの教材作成の時間を節約できて、自由な時間を確保して、生徒と拘わる時間を増やせるだろう。
【4】研修のテーマ・実践と兵庫県立の教育研修所での講師
 それ以降、私のテーマは「情報(教材)の共有化」で、そのテーマに従って、パソコンやソフト選びなど学校や家での日常生活が展開していきました。
 こういうテーマや実践は、珍しかったのか、私の45歳の時に、兵庫県立の教育研修所での講師の話が舞い込んで来ました。
 それから、毎年のように、県立教育研修所での講師として、色々な先生方を前に、「情報(教材)の共有化」の意義・実践を紹介してきました。退職の年(60歳)も、やはり、県立教育研修所の講師でした。
【5】データベース化と情報処理化は違うのだ!!
 色々な研修を通じて、多くの指導者や先生方と出会う機会がありました。
 優れた指導者には、実技は出来なくても、「生徒の目を輝かせたい。そのためには、先生方の自由な時間を確保したい。そのためには、コンピュータを活用したい」という方がいます。私の持論と同じです。
 コンピュータの技術はなくても、私たちの話を聞き、「これからは光ファイバーの時代だ。子どもたちには情報格差を体験させたくない」と考え、各学校に光ファイバーを導入した教育長がいました。現在、市長です。
 逆に、データベースに関してはトップ級の技術を持っている指導者がいますが、残念ながら、情報処理の知識がないため、情報教育が非常に停滞している地域があります。知識があれば、技術はトップ級なので情報処理にすぐ転換できるのにと思います。
 パソコン用語辞典で調べてみました。
 データベースとはデータをある規則で蓄積し、コンピュータで処理できるようにしたものとあります。
 情報処理とは蓄積されたデータをコンピュータで加工して、その結果を出力することとあります。
【6】情報処理とは、後で利用・活用するために加工・出力すること
(1)「データベース」とは、ワードやエクセル、ホームページビルダーでファイルを作成することです。ペー
パーレス化されていますので、それなりの意味・価値はあります。
(2)「情報処理」とは、バラバラなファイルをリンクすることで、有機的に結合し、その人・その時にあったよ
ように加工し、パソコン上で、ラン上で、或いは印刷して出力することです。
 つまり、あとで、自由に、加工したり、印刷したりすることを前提に、データを入力するのです。
【7】多忙だからパソコンをするのではなく、情報処理をするのだ!!
 多くの人は、多忙で、パソコンが出来ないといいます。これは、ある意味で正しいと思います。
 忙しいから、パソコンをするのでなく、情報処理をするのです。
 多忙だと言う人も、私の一番多忙な時の話をすれば、多忙だと言わないでしょう。
 進路部長で、西播の事務局長をしていました。月1回神戸に出張し、月1回西播に出張します。大学訪
問や企業訪問もします。校内行事も目白押しです。
 人権教育推進委員長で、西播の理事をしていました。2カ月に1回理事会があり、2カ月に1回西播人権
協議会があります。赤穂市内の行事にも参加したり、発表します。
 社会科研究会の理事をしていました。2カ月に1回神戸に出張し、2カ月に1回西播に出張します。
 ソフトボールの顧問をしていました。県代表として近畿大会に出場して、3位に入賞しました。近畿大会に
出場して、上位入賞することは、普段の練習がかなり厳しいということです。
 山川出版社から歴史用語変換辞書が発売されるということで、厳しいチェックにも耐えました。
 多くの先生方が経験していることですが、出張すると、出張した日の授業を、出張でない日に補います。 
 事務局長や理事は、名前だけでは、務まりません。相対立する議題があると、着地点を探して、調整する時間や手間が必要です。
 こうした多忙なことを、乗り切れたのも、情報処理のお陰です。

デジタル技術を駆使して、45日を45時間に圧縮
 写真(1)の説明に戻ります。
 携帯電話は国内契約台数が9000万台。半年でモデルチェンジ。大量生産前に実物の感触を確かめる試作品は、あっという間につくりたい。
 デジタル技術を駆使し、金型づくりの工程を45日から45時間に圧縮。生産性を24倍に引き上げた。
 東京の西新宿の高層タワーの52階にある本社オフィスから東京都大田区にある2工場に、高速回線を通じてデータを転送し、製作機械を制御して、製品を製造する。
情報の共有化が頭脳
 設計・加工などすべての工程にかかわる700台のパソコンは、50台の製作機械を制御して、製品を製造する頭脳となっている。
 日本の伝統的な金型産業は、設計者が紙に図面を引き、鉄がにおう現場では、図面を職人が解読して金型を作っていた。そんな光景は過去のものになっている。
ペーパレス(デジタル化)化が不可欠
 三井金属時代の話ですが、取引先の自動車メーカーの役員に「試作品を1日で作ってくれ」と言われました。ふつう14日かかっていたものをです。紙の図面をやめることで、4日で仕上げました。