磐座神社と権現

権現山と天狗岩
(兵庫県相生市)
 おそらく、初期の信仰の対象は権現山の天狗岩だったと思われます。今も、天狗岩は、矢野のどの位置からも見渡せる象徴的な存在です。龍王山から権現山へは、時間は約5分ですが、急勾配だし、左右は断崖絶壁です。信仰心と苦行が一致していた時代には、多くの人が参拝したでしょう。

 古老の話では、「朝な夕なに、神が降りたという天狗岩を拝んでいた」ということです。

 権現とは、人々を救うために、阿弥陀・菩薩(仏)が権」(仮)に日本の神に姿をかえて「現」れるという神仏混淆の考えです。

 沖ノ島の沖津宮の初期と比較すると、同じ形態であることが分ります。
龍王山の奥ノ院(寺院) 龍王山の龍王社(神社)
磐座神社

(矢野町森)
 さらに、時代が下って、龍王山の麓の現在地に磐座神社を遷座しました。しかし、ここでは、巨岩との関係は残されています。沖ノ島の3期と4期の性格を合わせ持っています。

 このように見ると、相生の磐座神社は、権現山や龍王山を含め、民俗学的にも非常に貴重な存在です。