大石内蔵助が討ち入りを決意して、江戸に下る場面があります。
いわゆる東下りです。
日野家用人垣見五郎兵衛と名乗って、本陣に宿泊します。これ
を見た本者の垣見五郎兵衛が大石内蔵助と対面します。
本者は、「本者の垣見五郎兵衛ならば、どうして江戸に下られる
のか」と迫ります。偽者の大石内蔵助は、「上野の寛永寺に寄進に
参ります」と答えます。
本者は、「ならば、寄進目録をお持ちであろう。それを是非拝見
いたしたい」とさらに迫ります。偽者の大石内蔵助は、「ならば」と言
って、一巻の巻物を読み上げる。巻物には何も書いていません。
不審に思った本者は、巻物を覗き込もうとしますが、体を巧みにか
わして、見せません。
やがて、本者の垣見五郎兵衛は、鷹羽違いの紋が付いた長持
ちに気がつき、全てを悟りました。
そして、本者の垣見五郎兵衛は、「あなたこそ本者の垣見五郎兵
衛との、私が偽物でした。本者こそこれを持つのが相応しい」と道
中手形を、大石内蔵助に渡して、本陣を後にしました。
この白紙の巻物を読むシーンが、安宅関を通る若者には、弁慶
が勧進帳を読み上げるシーンとダブルのだそうです。 |
白山麓の尾口村の深瀬と東二口とに、古くから伝承して
きた人形芝居です。毎年2月に演じられます。
演目には「仮名手本忠臣蔵」があります。 |