（１７０２年１２月１５日午後２時）

元禄１５年（１７０２） １２月１５日

幕府は、役人を吉良邸に派遣する。目付は一同から事情を聴取して口上書を作成する。隣家の土屋主税・本多孫太郎・牧野一学からも事情を聴取する。 　泉岳寺からの報告を寺社奉行阿部飛騨守正喬が、町方の報告を町奉行松前伊豆守嘉広がする。吉良邸検分の目付阿部式部・杉田五左衛門も戻ってくる。これをもとに老中と若年寄が評定する。老中筆頭阿部豊後守正武は「このような忠節の士を出したることは国家の慶事である」と評定をしめくくる。一同もこれに同意する。 　決裁を仰ぐために将軍に目通りする。将軍徳川綱吉は「あっぱれな者どもじゃ」という。阿部は「大名家にお預け、その上で処分をゆっくりお決めになるのがよろしいかと存じます」と上奏すると、綱吉は「そのように致せ」と答える。この扱いは大名か旗本に対するものである。 　夕刻、幕府は、４４人の身柄を泉岳寺から仙石久尚邸に移すことを決定する。 　幕府は、四十六士を熊本藩５４万石（細川越中守綱利）・伊予松山藩１５万石（松平隠岐守定直）・長門長府藩５万石（毛利甲斐守綱元）・三河岡崎藩５万石（水野監物忠之）に預けることを決める。 内蔵助ら１７人 肥後熊本城主５４万石・細川越中守綱利 主税ら１０人 伊予松山城主１５万石・松平（久松）隠岐守定直 八十右衛門ら１０人 長門長府城主５万石・毛利甲斐守綱元 十次郎ら９人 三河岡崎城主５万石・水野監物忠之 　大目付仙石伯耆守は四大名を大廊下に呼び出し、老中稲葉丹後守の指示を伝える。預かり側から色々と質問が出る。「受け取りに我々が行くのか」。大目付「いや」。大名「家老でいいか」。大目付「勝手次第である」。駕籠も勝手次第、預かり場所も勝手次第である。 　老中は引き取り方として大目付仙石伯耆守、目付鈴木源五右衛門・水野小左衛門を任命する。