（１７０２年１２月１５日午前９時）

元禄１５年（１７０２） １２月１５日

午前９時、新橋辺で、不破数右衛門の献言（？）で、吉田忠左衛門・冨森助右衛門が汐留で一行と別れて、赤坂汐見坂（愛宕）下の大目付仙石伯耆守久尚邸に自訴（自首）し、口上書の写しを差し出す。 　大目付仙石伯耆守は２人をねぎらい、月番老中稲葉丹後守の屋敷に寄り討ち入りの件を報告する。日比谷の上杉邸に高家の畠山下総守基玄を派遣する。 　上杉綱憲は事件を聞き、家臣に吉良邸に繰り出すよう指図する。そこへ老中稲葉丹後守の命を受けた高家の畠山下総守がやってきて、「浅野家臣は幕府の手にある。彼らを討つことは厳にいさめられたい」と伝える。幕府としては、上杉家と浅野本家の争いになることを避けようとしたのである。綱憲はやむなく繰り出しを取りやめる。 　金杉橋辺で堀部安兵衛も追いつく。 　大石内蔵助が磯貝十郎左衛門に「母の見舞いをせよ」といったが、「自分が居ない間に追手が来たら申し開きができない」と断る。 　三田八幡辺で高田郡兵衛が酒樽を出す。殴りかかろうとした義士を大石内蔵助が制止する。 　辰の刻（午前９時ごろ）、４５人が泉岳寺へ到着する。門前で、大石は寺坂吉右衛門に「瑶泉院様・大学様・上方・赤穂の人々に報告せよ」と命令する。そこで寺坂吉右衛門はその場を去る（？）。 　泉岳寺に入った大石内蔵助は浅野内匠頭の墓前に吉良上野介の首をそなえて、仇討ちが成就したことを報告する。 　泉岳寺住職の酬山長恩の指図で、粥がふるまわれる。修行僧の白明（はくみょう）が聞き取りをする。 　泉岳寺住職が寺社奉行へ届け出る。寺社奉行阿部飛騨守が目付川窪小右衛門・本多九右衛門を泉岳寺へ遺わす。