（１７０３年２月４日）

元禄十６年（１７０３） ２月４日

評定所は、上野介の嗣子義周から領地を没収し、信濃国高島城主・諏訪安芸守忠虎に預けることを決定する。 　幕府は四大名家に目付・使番を遣わし、四十六士に切腹を命ずる。 　細川家には目付荒木十左衛門政羽・使番久永内記信豊、松平家には目付杉田五左衛門勝行・使番駒木根長三郎政方、毛利家には目付鈴木次郎左衛門福一・使番斎藤治左衛門利常、水野家には目付久留十左衛門正清・使番赤井平右衛門時尹が派遣される。 　若年寄加藤越中守は吉良家に関係のある寄合衆荒川丹波守・御鉄砲頭猪子兵太夫に対して、「吉良 左兵衛を江戸城山吹の間に連れてくるよう」申し渡す。 　寄合衆荒川丹波守・御鉄砲頭猪子兵太夫は左兵衛を連れて評定所へ出頭すると、大目付仙石伯耆守が上座に座り、町奉行丹波遠江守と目付長田喜左衛門らが列座している。大目付仙石は「浅野内匠頭家来ども上野介を討ち候節、其方仕形不届に付領知召し上げられ、諏訪安芸守へ御預け（幽閉）仰 せ付けられ候ものなり」と申し渡す。その後直ちに吉良左兵衛義周は高島藩諏訪安芸守忠虎へ引き渡 される。 　 　幕府は上杉弾正大弼綱憲父子に謹慎を命じる。 　未の刻（午後２時）、上使として荒木十右衛門（赤穂城収城の時の目付。当時は十左衛門と称していた）・久永内記が細川家に着く。荒木は「口上」を読み上げる。 　「内匠儀、勅使ご馳走の御用を仰せ付け置かる。その上時節柄殿中を憚らず不届の仕方に付いてお仕置き仰せ付けらるに付き、上野儀お構いなしとさしおかれ候ところ、主人の仇を報じ候と申し立て四十六人が徒党致し上野宅え押し込み飛び道具など持ち出し上野を討ち候始末。公儀を恐れざる段重々不届きに候、これに依り切腹申し付ける」 　その後で荒木十右衛門は大石内蔵助に吉良左兵衛義周の処分を知らせる。 　申の刻（午後４時）ごろから、切腹が始まり、申の下刻（午後５時）頃終わる。 　切腹の時間は、細川家が４〜５時、松平家が５〜６時、毛利家が３〜４時、水野家が４〜５時となっている。 　四家の協議により、この日の夜、義士の遺体を泉岳寺に送り、泉岳寺第九世・酬山長恩和尚による法要の後、冷光院殿墓側に埋葬する。 　その夜、義士の遺骸を入れた駕籠１挺に足軽２人が付き添い泉岳寺に送られる。そして、亡君浅野内 匠頭の墓域に埋葬される。間新六の遺体は親戚が引き取る。 　亥の刻（午後１０時）、泉岳寺で葬儀が行われる。葬料として細川家が３０両、松平家が５０両、毛利・水 野家が各２０両を布施する。