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エピソード

301_02

現代の日本Y(2005年、小泉劇場と郵政民営化)
 ここでは2005年を扱います。
 小泉劇場と郵政民営化を検証します。
 2005(平成17)年1月12日、朝日新聞は、NHKの番組の編集に際し、安倍晋三・中川昭一から「偏った内容だ」として、圧力がかかったと報道しました。
 1月20日、ブッシュは、2期目の第44代大統領に就任しました。
 2月1日、三宅島で、避難指示が解除され、4年5カ月ぶりに帰島が許されました。
 2月4日、厚生労働省は、国内初の変異性ヤコブ病の患者を確認しました。
 2月17日、中部国際空港(セントレア)が愛知県常滑市沖に開港しました。
 3月16日、島根県議会で、竹島の日条例が成立し、韓国の反日感情が高まりました。
 3月25日、愛知万博の「愛・地球博」が開幕しました。
 4月1日、東京都立大学・東京都立科学技術大学・東京都立保健科学大学・東京都立短期大学が合併して、首都大学東京と改称しました。
 4月1日、ペイオフが完全施行されました。
 4月1日、個人情報保護法が全面施行されました。
 4月9日、北京で反日デモ1万人が行われるれ、日本大使館も襲撃しました。
 4月11日、奈良県警は、2年以上にわたり大音量の音楽を鳴らし続け、精神的、身体的な被害を近所の女性に与えたとして、同県の主婦を傷害容疑で逮捕しました。騒音おばさんと話題になりました。
 4月15日、衆・参両憲法調査会は、各議長に最終報告書を提出しました。
 4月20日、松下電器産業製温風機に一酸化炭素中毒が発生する欠陥が有る事が判明し、リコールを開始しました。CMを全て回収を呼びかけるものに差し替えるという事態に発展ししまた。
 4月25日、JR福知山線で脱線事故が起こりました。運転士含め死者107人・負傷者555人とJR史上最悪の鉄道事故となりました。
 5月1日、北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射しました。
 5月6日、日韓両国の歴史研究の合同会議が開かれて歴史認識の違いが明らかになりました。
 5月8日、日本航空のサンパウロ発成田行B747機は、札幌付近の11000m上空で、8000メートル急降下し、新千歳空港に緊急着陸しました。
 5月17日、総務省は、「ブログの開設者数は三月末で延べ約335万人に達した」と発表しました。
 5月19日、総務省は2006年からデジタルラジオ放送を開始する方針であることを明らかにしました。
 5月22日、中国の国家主席と日本の自・公幹事長が会談し、靖国神社参拝と歴史教科書や台湾問題など、日中関係について話し合いました。
 5月23日、公正取引委員会は、日本道路公団が発注する鋼鉄製の橋梁の工事にあたり、工事に携わったメーカーで談合が行われていた事件で、業界団体の幹事8社を刑事告発しました。
 5月27日、日本道路公団の談合に関して、14人が逮捕されました。
 5月30日、金沢地方裁判所は、住基ネットはプライバシーの保護を保障した憲法十三条に違反すると判決しました。
 5月31日、名古屋地方裁判所は、「住基ネットはプライバシー侵害を容易に引き起こす危険なシステムとは認められない」と判決しました。
 5月31日、高速増殖炉もんじゅの設置許可処分に対する無効確認請求行政訴訟について最高裁判所において原告棄却の判決が下り、1985年来の訴訟で国側の勝訴で決着がつきました。
 6月1日、対馬沖の日本海で、日本の排他的経済水域内で違法操業をしていたと思われる韓国の漁船を海上保安庁の巡視船が拿捕。乗組員の身柄や船内への立ち入り検査を巡って韓国側と対立しました。
 6月6日、国内で20頭目の牛海綿状脳症(BSE)が確認されました。
 6月9日、日韓間の歴史共同研究で歴史教科書を研究対象に加える方向で調整に入りました。
 6月19日、JR福知山線脱線事故により不通となっていた福知山線(JR宝塚線)が全線運転を再開しました。
 6月22日、改正介護保険法が成立しました。
 6月27日、平成天皇・美智子皇后は、太平洋戦争の戦没者慰霊のためサイパン島を訪問しました。
 6月28日、神戸地裁は、明石歩道橋事件で、県警察・明石市・警備会社に総額約5億6千8百万円の損害賠償を命じると共に、明石警察署署長と副署長の過失を指摘しました。
 6月28日、大阪高等裁判所は、和歌山毒物カレー事件で一審の死刑判決を支持し、被告側の控訴を棄却しました。
 6月29日、建材を製造している企業や建設業などで、従業員や家族がアスベスト(石綿)が原因とみられる中皮腫などによって多数、死亡していたことが公表されました。
 6月30日、住宅リフォーム詐欺を行っていたとして、リフォーム業者の社員が逮捕されました。
 7月12日、日本道路公団にも捜索が入り、元公団理事が逮捕されました。 
 7月14日、知床半島の世界自然遺産への登録が決まりました。
 7月26日、日本道路公団副総裁が逮捕され、官製談合に発展しました。
 8月4日、夏の全国高校野球大会に高知代表で出場予定だった明徳義塾高校が不祥事のため出場辞退を申し入れ、受理されました。大会後も駒大苫小牧高校や京都外大西高校など、不祥事が相次いで発覚しました。
 8月8日、郵政民営化関連法案が参議院で否決されました。小泉首相は、衆議院を解散しました。これを郵政解散といいます。
 8月10日、巨人の渡邊恒雄会長は、「阪神の星野仙一シニアディレクターを来シーズンから監督に招聘する」と発言し、問題化しました。
 8月15日、終戦してから60年を迎えましたが、小泉首相の靖国神社参拝は見送られました。
 8月24日、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線の東京・秋葉原駅〜茨城・つくば駅間が開通しました。
 9月11日、@44回衆議院議員総選挙が行われ、定数は480人で、自民党296人、民主党113人、公明党31人、共産党9人、社民党7人、国民新党4人、新党日本1人、新党大地1人、無所属18人が当選しました。投票率は67.51%でした。与党が衆議院の3分の2超の議席を獲得しました。民主党は議席を大幅に失い、岡田克也代表が辞任しました。郵政民営化反対派は33人のうち16人が落選しました。
 9月17日、民主党代表選で、脱労組を掲げた前原誠司(43歳)は、元代表の菅直人を2票差で破り、代表に選ばれました。
 9月18日、先の総選挙で落選した民主党の前衆議院議員小林憲司と秘書ら3名が覚醒剤取締法違反の現行犯で逮捕されました。
 9月21日、第163回特別国会が召集され、衆参両院で首相指名選挙が行われ、小泉純一郎自民党総裁が内閣総理大臣に指名されました。
 9月21日、@89第三次小泉純一郎内閣が誕生しました。総務相に麻生太郎、法相に南野知惠子、
外相に町村信孝、財務相に谷垣禎一、文科相に中山成彬、経済産業相に中川昭一、国土交通相に北側一雄、環境相に小池百合子、内閣官房長官に細田博之、経済財政担当相に竹中平蔵らが就任しました。
 9月29日、東京高裁は、小泉首相の靖国神社への参拝は私的参拝であるとの判断しました
 9月30日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対し、大阪高等裁判所は高裁としては初めて違憲であるとの判断を示しました。高裁での判断が分かれました。
 10月1日、日本道路公団・首都高速道路公団・阪神高速道路公団・本州四国連絡橋公団の道路4公団が民営化され、日本道路公団は東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社の3社に分割されました。
 10月1日、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合し、日本原子力研究開発機構が発足しました。
 10月1日、第18回国勢調査が開始されましたが、個人情報保護の観点から回答を拒否する事例や、調査員を装って調査表をだまし取る事件など、トラブルが多発しました。
 10月12日、鳥取県人権侵害救済条例が可決・成立しました。都道府県レベルでの独自の人権救済条例の制定は全国初でした。
 10月14日、郵政民営化関連法案が成立しました。
 10月14日、福岡地方裁判所は、「住基ネットは合憲である」と判決し、地裁レベルでの司法判断が分かれることとなりました。
 10月17日、小泉純一郎首相は、靖国神社参拝を行いました。
 10月19日、総務省は、国内事業者によるブログサービスの登録者数が473万人と発表しました。
 10月21日、自由民主党の党紀委員会は、通常国会で郵政民営化法案採決に反対票を投じ、衆院解散後新党を結成した綿貫民輔ら衆院議員7人と参院議員2人を除名処分しました。
 10月28日、自由民主党の党紀委員会は、特別国会で同法案採決を欠席した野呂田芳成衆院議員を除名とするなど、造反議員に対する処分を決定しました。
 10月23日、武豊騎手騎乗のディープインパクトは、菊花賞に勝利し、1994年のナリタブライアン以来史上6頭目のクラシック三冠制覇を達成しました。無敗の三冠馬は、1984年のシンボリルドルフ以来史上2頭目となりました。
 10月25日、小泉首相の私的諮問機関である皇室典範に関する有識者会議は、皇位継承資格を女性・女系天皇にも拡大することで全会一致で決定しました。
 10月26日、沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設問題で、名護市の辺野古崎にある、米軍キャンプ・シュワブ兵舎地区に一部を海上に突き出す形で建設することで、日米両国が基本合意しました。
 10月26日、改正政治資金規正法が成立し、政治団体間の献金に年間5000万円の上限が儲けられるほか、政党本部による支部の解散が可能となりました。
 10月26日、改正テロ対策特別措置法が成立し、自衛隊の後方支援が1年間延長されることとなりました。
 10月31日、小泉首相は、第三次内閣改造をしました。総務相に竹中平蔵、法相に杉浦正健、外相に麻生太郎、財務相に谷垣禎一、文科相に小坂憲次、厚相に川崎二郎、農相に中川昭一、経済産業相に二階俊博、国交相に北側一雄、環境相に小池百合子、内閣官房長に官安倍晋三、防衛庁長官に額賀nu郎、金融相に与謝野馨、男女共同参画大臣に猪口邦子らが就任しました。
 11月11日、郵政民営化で設立される郵政持株会社の初代社長に西川善文前三井住友銀行頭取の就任が内定しました。
 11月15日、紀宮清子内親王と黒田慶樹の結婚式が帝国ホテルで行われ、紀宮清子内親王は皇族の身分を離れ、民間人となりました。
 11月17日、耐震強度偽装事件が発覚。姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造が21件あると国土交通省の発表により発覚し、深刻な社会問題になりました。
 11月18日、旧新東京国際空港公団発注の成田空港電気設備工事で、空港公団主導による受注調整など官製談合の疑いが浮上し、関わった電機メーカー各社と成田国際空港会社が東京地検の捜索を受けました。
 11月22日、自民党が立党50年大会を開催し、新憲法草案を発表しました。
 11月25日、歌舞伎がユネスコの世界無形文化遺産に登録されることが決まりました。
 11月27日、東京外環自動車道の三郷JCT〜三郷南ICが開通しました。
 11月28日、衆議院議員で弁護士の西村眞悟(民主党)の法律事務所の元職員が弁護士の名義を使用させたとして、大阪地検特別捜査部と大阪府警察が西村議員を弁護士法違反(非弁護士との提携)容疑で逮捕しました。
 12月8日、内閣府食品安全委員会は、アメリカ・カナダ産牛肉の輸入再開を容認する答申を農林水産省・厚生労働省に提出し、これを受けて政府は輸入再開を正式決定しました。
 12月22日、厚生労働省が2005年の人口動態統計の年間推計を発表し、日本の人口が1899年の統計開始依頼初の自然減となりました。
 この項は、『近代日本総合年表』・『昭和・平成現代史年表』などを参考にしました。
小泉劇場と郵政解散
 小泉純一郎首相は、「自民党をぶっ壊す」・「聖域なき構造改革」と絶叫したり、自民党の同僚である族議員に「抵抗勢力」というレッテルを貼ったり、大怪我をおして優勝した横綱貴乃花に「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!」と言ったり、感情をストレートに表現しました。そのことが、政治にうんざりしていた庶民から喝采を引き出しました。
 私が専門にしている『忠臣蔵』の世界でも、吉良上野介が悪役であればあるほど、話は盛り上がるのです。脚本家の橋田寿賀子氏は、「人を笑わすことは難しいが、ひどい悪役を登場させれば、泣かせることは簡単です」と語っています。TVで有名な『おしん』・『渡る世間は鬼ばかり』をみても、小泉劇場では、似通って演出が行われています。
 2001年8月の自民党総裁選で、派閥選挙では、勝目のない小泉純一郎は、一般の自民党員に「自民党をぶっ壊す」と訴えて勝利しました。発足したばかりの小泉内閣は、各社の世論調査で80%という高支持率でした。以後も、その手法で人気を維持し、「私に反対するものすべてが抵抗勢力」として、様々な改革に取り組んできました。
 私が不思議だったのは、日本の貿易は、今や、対米より対中が高くなっています。靖国批判で、日中韓が冷却しているのに、経団連の奥田碩会長は、表立った言動をしていません。そこで、奥田会長と小泉首相の関係を調べてみました。
 「日本経団連も、小泉総理の就任と同時に、小泉構造改革路線を支持するとの姿勢を打ち出し、2003年1月にはいわゆる「新ビジョン」を作成して、消費税の活用をふくむ税制・財政・社会保障の抜本改革や、東アジア自由経済圏の構築などの総合的な政策パッケージを提案し、積極的な提言活動と、その実現に向けた活動を行ってまいりました。さらには、こうした政策本位の政治を実現するために、政治寄附を企業の重要な社会貢献として位置づけ・・・各企業の自発的な政治寄附を要請してまいりました」(2006年1月日本経団連労使フォーラムにおける奥田会長の基調講演より)。
 対中国でなく、先に経団連が考えている構造改革を実施し、消費税の上昇や社会保障の減額が包み隠さず実施してもらおうという本心がよく出ています。
 その結果、小泉劇場のツケが、大企業でなく、中小企業や高齢者に向うのは必然でしょう。
 1979年、小泉純一郎氏は、大蔵政務次官に就任すると「郵政事業の民営化」を主張しています。
 1992年、小泉純一郎氏は、宮沢内閣の郵政大臣に就任しても、「郵政事業の民営化」を主張しています。
 1996年、小泉純一郎氏は、橋本内閣の厚生大臣に就任しても、「郵政事業の民営化」を主張しています。小泉さんの「郵政事業の民営化」に対する執念を感じます。
 2004年4月に、郵政民営化について、アメリカ政府と日本政府との間で協議され、10月に発表された「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(年次改革要望書)には、日本郵政公社の民営化が明記され、小泉さんの執念が加速されることになりました。
 2005年4月27日、郵政民営化法案は、自民党の了承なしで閣議決定されました。
 6月28日、自民党の最高意思決定機関である総務会には、慣例の全員一致から、直前に多数決に変更した上で、挙手採決で決定しました。
 7月7日、郵政民営化法案は、衆議院本会議で、賛成233人、反対228人、欠席・棄権14人、病欠2人で、僅か5票差で可決されました。小泉さんは、可決されたその日のメルマガで「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」という考えで進めてきた構造改革の中でも、郵政民営化は「改革の本丸」ともいうべきものです」と書いています。
 8月8日、郵政民営化法案は、参議院本会議で、賛成108人、反対125人、欠席・棄権8人で、今度は17票差で否決されました。否決されたその日のメルマガで「8月8日、衆議院を解散いたしました。小泉内閣の『改革の本丸』と位置づけてきた郵政民営化法案が参議院本会議で否決され、廃案となりましたが、私は本当に国民の皆さんがこの郵政民営化は必要ないと思っているのか、直接聞いてみなければならないと思い、衆議院を解散しました。
 いわば、今回の解散は『郵政解散』です。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対なのか、これをはっきりと国民の皆さんに問いたいと思います」
 8月8日、自民党執行部は、郵政民営化法案に反対した37人の議員を公認候補者としないことを発表し、対立候補を送り込みました。これを刺客として、マスメディアが盛んに喧伝しました。東京の小林興起には、兵庫の小池百合子を送り込みました。広島の亀井静香には、ライブドアのホリエモンこと堀江貴文を送り込みました。静岡の城内実には女性初の主計官である片山さつき、岡山の熊代昭彦には岡山市長の萩原誠司をぶつけました。岐阜の野田聖子元郵政大臣には、エコノミストの佐藤ゆかりが送り込まれました。どこへ行っても、選挙の話題で一杯でした。
2005年9月11日、衆議院議員の総選挙が行われました。私は、一度も欠かさず投票してきました。しかし、今回は、いつもはガランとしている投票所は、入りきれない人と、今まで見たこともない若い人の熱気で溢れていました。投票率は、小選挙区が67.51%で、前回の59.86、比例区が67.46%で、前回の59.81%を大きく上回りました。案の定、郵政民営化賛成派が圧勝しました。与党の自民党296人・公明党31人が当選し、定数480人のうち327人を占めました。実に68.12%になります。但し、得票率で見れば、与党は小選挙区で全体の49%、比例区で51%です。
 10月14日、郵政民営化法案は、国会で可決・成立しました。
 小泉劇場に沸いた観客も、外に出てみれば、大変なことが待ち構えていました。小泉さんは、「痛みに耐えて」とか「三方一両損」とかいう言葉を使って、大衆を誘導してきました。その結果、住民税が昨年より8倍の増えたということで、市役所に説明を求める人が列をなしているという報道がありました。
 これは、所得1000万円以下の人には老年者控除がありましたが、今年(2006年)から全廃となったからです。すでに2005年からは65歳以上の人には公的年金等控除の上乗せが廃止されています。非課税だった所得税も控除されなくなりました。その結果、収入は同じだのに、所得税4万2000円+国民健康保険料3万5000円+介護保険料2万円=10万円も昨年より増加しました。
 74歳の夫と71歳の妻は380万円の年金生活をしています。所得税は0から6万円、住民税は2万円から5万円、国民健康保険料は22万円から28万円、介護保険料は9万円から13万円に増加しました。
 どうして負担が急激に増えたのでしょうか。財務省などによると、借金まみれの財政再建と高齢化社会に対応するためだと説明しています。負担の中身は、控除の廃止や保険料の増額という形での増税です。財務省は、「幅広く公平に負担を分かち合う」とか「現役世代との世代間格差に配慮した」と美しい言葉で、説明しています。今後消費税のアップや、サラリーマン対象の給与所得控除・配偶者控除・扶養控除の見直しが待っています。
 美しい花にはトゲがあり、優しい言葉や美しい言葉にはウラがあります。激しい言葉やパフォーマンスには、真実を隠す恐怖が待っています。
 小泉さんの煽動に乗り、ハッピを着て応援した人は、今どんな気持ちでしょうか。
 世の中は、うまくしたもので、最近(2006年)の選挙では、勝てないはずの候補が当選しています。苦い水は、すぐ忘れてしまいます。政治家は、また騙します。庶民と政治家の騙したり、仕返ししたりのゲームです。
 もう、そんな低次元の争いは止めて、言葉やパフォーマンスで騙す政治屋を見抜き、落選させる力量をつけたいものです。78歳の神戸の人が「予算が不足すると、国民から税金を取り立てるやり方に、憤りを感じる。皆、黙ってよく耐えているものだと思う」と投書していました。同じことを繰り返さないためにも。
8  追記(上記の文章は2007年3月5日に作成しています)
 以下は、2007年6月15日に作成しました(2007年6月14日付け神戸新聞を参照)。
(1)神戸市の56歳の主婦は、「所得税ダウンでも住民税アップいうてますが、国民健康保険の人は、住民税が基本になるので、アップすれば、国民健康保険料もアップするんですよ。それもすごいアップです」
(2)同じく神戸の自営の72歳の男子は、「区役所から市民税と県民税の通知が届いたんです。なんと、税金が一挙に倍になっているではありませんか。収入の半分が年金暮らしの老人で、昨年とまったく代わらない所得なのに、8万円が16万円にも。増額するとは聞いていたけど、信じられない増え方です」
(3)加古川の70歳の男子は、「一昨年まではなかったけど、昨年は、老年者控除が廃止され、定率減税が半減されたりで、2300円の納税通知が来ました。今日、今年の納税分が届いたんですが、去年の3倍以上になってました。所得税と住民税で税負担はプラスマイナスはゼロとかいうてるけど、違います
やん」
 これを何と表現しべきでしょうか。アメリカのリーガン大統領やイギリスのサッチャーを崇拝する小泉首相の政策は、構造改革を実施し、消費税の上昇や社会保障の減額するというものです。これを見抜けず、小泉劇場に酔いしれた必然の結果です。
 「小泉劇場で踊(オド)らされ、税金を見て、さらに驚(オド)ろかされ」
9  私の家にも市民税・県民税納税通知書なるものが届きました。「ほとんどの方は、所得税が減り、住民税が増えます。両方あわせた税負担は基本的には変わりません」とありました。しかし、私は年金生活者ですから、所得は少しの印税と講師料しかありません。所得税は関係ありません。住民税が上がれば、もろに影響を受けます。社会資本に回らない高齢者から、税金を取るという意図がありありです。私の家も場合も、予想したように、昨年より61%の増税です。
 最初から私は、小泉さんを支持していません。逆に、ヒトラー誕生の悪夢を見たものです。その後継者として誕生した安倍内閣の支持率は8割近くありました。最近やっと30%近くになっています。松岡農相の「政治とカネ」の時は適法として処理しているとかばっていながら、宙に浮いた年金問題では、責任の所在をはっきりさせると言っています。このような人を、二枚舌政治屋といいます。二度と騙されまい。
 政権は交代しないと、必ず腐敗します。

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