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エピソード

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2007年参院選 自民党の歴史的大敗(1)
 2007年7月29日21時30分頃、安倍首相は、「私の国造りはスタートしたばかりで、総理としての責任を果たしていかなければならない」と述べ、続投する考えを示しました。
 参院選の趨勢は決まっていたものの、安倍首相が強引に引き抜いた教育再生会議担当室長の義家弘介氏(「ヤンキー先生」)の当選は、翌日の午前4時頃でした。
 私は、この異常な続投宣言を見ていて、安倍首相の外祖父(母の父)である岸信介元首相を思い出しました。
 時は1960(昭和35)年で、極東の範囲や事前協議についての政府答弁が拙く、国会内は大紛糾しました。安保闘争です。
 5月19日岸信介首相(外孫が安倍晋三氏)は、安保を強行採決しました。赤城宗徳防衛庁長官(孫がバンソウコで話題になった赤城徳彦氏)は、「アイク訪日前に可決したかったのだろう」と述べています。
 5月27日、17万人が国会周辺を包囲しました。この頃、岸氏は、「アンポ、ハンタイ」と声をあげて無邪気に遊ぶ孫の安倍晋三氏を、愉快そうに眺めていたといいます。
 5月28日、岸首相は、記者団に「あくまで新安保の成立を期する。声なき声に耳を傾ける。今日も後楽園球場は満員だったそうじゃないか」と語りました。(このエピソードは、岸首相が5月3日に伊勢神宮に参拝した時、「デモは首相官邸付近では騒がしいが、神宮球場は満員だし、映画館や銀座などは、ふだんと人出はかわらない。国民の不安が増大しているとは思わない」と話した内容が、後楽園球場の話のルーツではないかと言われています)
 6月15日、東大生の樺美智子さんが圧死する事件がおこりました。江田五月氏(参議院議長に就任)は国会内になだれ込み、検挙された体験を持っています。
それにも関わらず、岸首相は、赤城防衛庁長官に「デモ隊の鎮圧に自衛隊を使うことは出来ないか」と打診しました。しかし、赤城防衛庁長官は「日本人が殺しあうことになり、自衛隊解体論に発展する」として、拒否しました。
 6月15日未明、岸首相は、アイゼンハウアー大統領の来日を断念しました。
 6月18日、新安保条約が自然承認されました。小倉謙警視総監は、「官邸の警備に自信が持てないから」と官邸からの立ち退きを要請しました。岸首相は、「ここが危ないというならどこが安全なのか」と考え、弟の佐藤栄作蔵相・赤城防衛長官ら10人が官邸に居残る道を選びました。
 6月23日、批准書交換の日に、岸信介首相は、退陣しました。
 ここからは、安倍晋三氏が自民党総裁になる前後から、参院選で歴史的大敗を喫したまでを時系列で扱います。
 2006年7月、安倍晋三氏は、『美しい国へ』(文春新書)を発売し、51万部のベストセラーになりました。文藝春秋社によると、同新書シリーズの中で最も売れたそうです。ちなみに印税は2600万円でした。色が安倍カラー
【政権の基本的方向性】
文化・伝統・自然・歴史を大切にする国
新たな時代を切り開く日本に相応しい憲法の制定
開かれた保守主義
自由と規律の国
教育の抜本的改革
【具体的政策】
(1)政治のリーダーシップを確立(首相官邸指導体制を確立する)
(6)「戦後レジーム」から、新たな船出を21世紀の日本の国家像に相応しい新たな憲法の制定に向けて)
 8月24日、松岡勝利の尽力で、党内第2派閥の津島派(75人)が「安倍氏支持色の濃い自主投票」を決めました。
 9月20日、小泉純一郎氏は自由民主党総裁を退任しました。
 河野グループ(大勇会)の麻生太郎氏、谷垣派(宏池会)の谷垣禎一氏、森派(清和政策研究会)の福田康夫氏、森派(清和政策研究会)安倍晋三氏の4人が立候補し、麻垣康三と言われていましたが、安倍氏と同派の福田康夫氏が不出馬を表明しました。2007年7月に参院選が予定されており、そこで勝てる人物を総理にするという背景がありました。
 安倍晋三氏は、森派の所属議員86人、丹羽・古賀派(宏池会)のの48人、二階グループ(新しい波)の15人、伊吹派(志帥会)・津島派(平成研究会)・山崎派(近未来政治研究会)の大部分も支持に回り、安倍支持は約70%に達していました。
 9月20日15時、安倍晋三氏が703票中464票(66%)を得て、第21代自民党総裁に就任しました。基礎票の約70%には達しませんでした。後に厚生労働省の大臣になる柳沢伯夫氏の無念の映像が記憶に残っています。しかし、2001年の総裁選で小泉純一郎氏が獲得した61%を上回っています。大変な人気だったことが分ります。
  議員票 地方票 合 計 得票率
安倍晋三 267 197 464 66%
麻生太郎 69 67 136 19%
谷垣禎一 66 36 102 15%
 9月25日、安倍晋三総裁は、幹事長に森派の中川秀直氏、政調会長に伊吹派の中川昭一氏、総務会長に丹羽・古賀派の丹羽雄哉を起用しめました。特に、中川秀直幹事長は、津島派や伊吹派の候補擁立を阻止し、また積極的な多数派工作をすすめ、安倍晋三優位の流れを作った功労が買われたと言われています。
 9月26日、安倍晋三総裁は、衆参両院の首相指名投票で第90代首相に選ばれました。その後。内閣の顔ぶれを発表しました。
 厚生労働相の柳沢伯夫氏は合同選対本部長、総務相の菅義偉氏と金融相の山本有二氏は、安倍政権の実現に主導的な役割を果たした「再チャレンジ支援議員連盟」の中核メンバー、文部科学相の伊吹文明氏は伊吹派会長、行政改革相の佐田玄一郎氏は津島派の「最優先候補」、内閣の要となる官房長官の塩崎恭久氏は「首相が衆院議員になる前からの親友で、最も気心が知れている」人物、官房副長官の下村博文氏は教育基本法改正や皇室典範改正などの問題で首相と協調した人物、農水相の松岡勝利氏は安倍勝ちムードに尽力した人物、初代防衛相の久間章生氏は津島派の額賀福志郎の出馬辞退の流れを作った人物です。
 この内閣の顔ぶれをみて「論功行賞内閣」とか「お友だち内閣」と揶揄される理由がここにあります。
 政調会長の中川昭一氏は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の会長で、事務局長が安倍晋三氏でした。官房副長官の下村博文氏は「若手議員の会」の事務局次長、沖縄・北方相の高市早苗氏や教育再生担当の首相補佐に任命された山谷えり子氏は、「若手議員の会」の重要メンバーです。
 この「若手議員の会」は、従軍慰安婦問題や沖縄の集団自決などを取り上げる教科書を「自虐史観」と批判し、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択を働きかけてきました。
 下村博文氏は、TV番組などでよくフライング発言をし、高市早苗氏から「政治に責任を持つ立場からは具体的に言うべきでない」とたしなめられる人物で、TVの枠内に入ろうとしてか、外遊では安倍首相に接近し過ぎる姿を再三目撃する人物で、軽率さが売り物の人物であります。早速、教育再生会議のテーマの1つとして「自虐史観の歴史教科書はやめさせる」と本音を披露しています。
 山谷氏も、歴史教科書について「いまだにレーニンの言葉を守っているんでしょうか、自虐的な内容の教科書をつくっている」と述べています。
 安倍氏が最大の課題と位置づける教育再生は、国家権力の教育への介入ということです。
 こうした立場を新保守主義とかタカ派と指摘される所以です。
 10月3日、安倍首相は、衆院代表質問で、従軍慰安婦問題に対する認識を問われ、「いわゆる従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、93年8月4日の河野官房長官談話を受け継いでいる」と述べました。
 10月8日、安倍首相は、中国の胡錦涛国家主席、温家宝首相らと会談し、「双方は日中関係の改善で一致した」と発表しました。
 10月17日、読売新聞社の全国世論調査(面接方式)によれば、安倍内閣の支持率は70.0%でした。小泉内閣の85.5%(2001年5月)、細川内閣の71.9%(1993年9月)に次ぎ、3番目の高支持率で、不支持率は18.0%でした。まさに自民党の思惑は成功したかに見えました。
 大臣を経験もせず、外祖父に岸信介、父に安倍晋太郎を持つ苦労知らずの若者に不安を抱くベテラン議員もいましたが、この人気に、その不安も吹っ飛んだといいます。
 10月29日、伊吹氏は、高等学校の未履修問題に関して「115万人の全生徒が被害者だ」と指摘しました。教育委員会への不信を高める意図があるとも報じられました。
 10月29日、伊吹氏は、岐阜で自殺した中2女子生徒のメモ(コピー)を公表しました。この頃、いじめ自殺の具体的な報道が頻繁に行われるようになりました。心理学者は、このような報道は「自殺の連鎖を産む」と警告を発しました。
 WHO(世界保健機関)が出している「自殺事例報道に関するガイドライン」によると、
(1)やるべきこととして、自殺に代わる手段(alternative)を強調、ヘルプラインや地域の支援機関を紹介など
(2)避けるべきこととして、写真や遺書を公表しない、使用された自殺手段の詳細を報道しない、自殺の理由を単純化して報道しない。
 しかし、伊吹文科相の方法は、世界が認める自殺予防の「ガイドライン」に明らかに違反しています。マス=コミとぐるになって、意図的な匂いを感じます。私だけでしょうか。
 10月30日、再開された衆院教育基本法特別委員会で、高校必修科目の履修漏れ・いじめ問題に関して、教育委員会のあり方、教育行政システムが問われました。安倍首相は、委員会終了後、「教育委員会の機能強化を図る」と記者団に語りました。国家の教育統制に未履修問題やいじめ問題を利用する政府の意図が露見しました。
 11月10日、安倍首相のブレーンでもある八木秀次高崎経済大学教授は、産経新聞に「教基法は教職員の法令遵守が眼目」と題して、次のような記事を掲載しました。
 現行教育基本法では教育界の正常化は難しい。そこで「この法律及び他の法律に定めるところにより行われるべきものであり」との文言を付け加え、教職員に法令遵守の徹底を求めようというのである。
 必修科目の履修漏れでも明らかなように、教育現場の遵法意識は低い。それが国旗国歌の問題や勤務時間中の組合活動、露骨な選挙運動という違法行為にも繋がっている。
 左派系教職員組合の影響力を排除し、教育界を正常化するためにも早期の教育基本法改正が望まれる。
*解説(旧法は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」と規定されています。新法は「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と規定されています。旧法は、教育は国民全体に責任を負うもので、選挙などによって左右されないと規定しています。新法からは、国民全体に責任を負うという文言が消え、法律やその他の法律に従うとなりました。つまり、選挙のたびに、法律が変わり、それに従って教育が左右されるようになるのです。八木氏は、全て自分らの思想が通用していると思っていますが、今はそうです。将来ともそうだと思っているところに、発想の貧弱さを感じます)
 11月14日、朝日新聞の世論調査によると、安倍内閣の支持率は53%、不支持率は21%でした。安倍氏が政治的な信念や考えを「あいまいにしている」は55%でした。
 11月15日、安倍政権が最重要法案と位置づける教育基本法改正案は、衆院の同法特別委員会で自民、公明両党などの賛成で可決されました。
 11月16日、教育基本法改正案は、衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参院に送られました。
 11月24日、伊吹文部科学相は、参院教育基本法特別委員会で、教育基本法改正案の条文にある「(教育は)不当な支配に服することなく」の解釈について、「内閣が常に正しいことをしているとは限らない」としたうえで、「しかし、内閣が不当な支配と思わずにやったことで、不当な支配と思われることは、見解の相違だから司法の場で争うのが日本の仕組みだ」と答弁しました。これは、政府側も意図せず、結果的に条文にある「不当な支配」の主体となることは起こり得るとの見解を示したことになります。
 11月27日、安倍首相は、郵政民営化法案に反対して自民党を離れた無所属議員の復党問題で、復党願と誓約書を提出した11人について復党手続きを進めるよう党執行部に指示しました。誓約書を出さなかった平沼赳夫元経済産業相については、首相は「復党は認められない」と言明しました。
 その誓約書には「郵政民営化を含めた安倍政権の公約実現に邁進する」「誓約に違反したときは議員を辞職する」などとあり、世論から土下座を求めるのかと批判されました。土下座しなかった平沼氏の株が上がったといわれます。
 11月27日夕、安倍首相は、記者団に対して、11人の復党を認めることについては「古い自民党に戻ることはない。復党された後は一緒に美しい国づくりについて汗を流してもらいたい」と語りました。また、復党を認めることは、民営化に反対の意思を示した有権者の票も取り込み、「票の二重取りになる」との指摘に対して、安倍首相は、「政治の場における決断は、政治家である以上、それぞれ選挙で審判を受けるということになる」と反論しました。
10  12月1日、産経新聞社・FNN(フジニュースネットワーク)の「世論調査」によると、「造反組」議員11人の復党について「反対」と回答した人が67.2%、安倍内閣の支持率は47.7%、自民党の支持率も43.4%から37.3%に低下という結果でした。
 12月3日、朝日新聞の世論調査でも、安倍内閣の支持率は47%に低下ししています。自民党では、復党問題で支持率低下は織り込み済みで、ある党幹部は「15ポイントぐらい下がるかと思っていた。思ったより下がっていない」と胸をなでおろしていたと伝えています。
 片山虎之助参院幹事長は、「支持率はテレビの視聴率と同じ。ちょっとしたことで上がったり下がったりするので、一喜一憂することはない」と達観しています。しかし、連立を組む公明党の幹部は「47%にとどまったが、下げ止まっていない」と冷静な分析をしています。
 12月4日、安倍首相は、自民党本部に復党組11人を「ようこそお帰りなさいと言いたい」と出迎えの挨拶を行いました。
*解説(安倍首相は「郵政民営化に反対するものは誰も公認しない」と断言し、反対派には自民党後任の刺客を送り込みました。刺客を相手に無所属で当選した信念の政治家12人だったはずです。小泉路線を継承した安倍晋三氏は首相になって、約2ヶ月後に復党を認めたのはどうしてでしょうか。多くの人が指摘しているように、2007年7月の参院選に備えて、復党組の組織力を活用しようという魂胆からです。小泉前首相がひき付けた無党派層のことをどう計算していたのでしょうか。私は、安倍首相には大きな失点がなかったという人がいますが、第一ボタンの付け間違い(民意の離反)がこの時に起きたと思っています)
*解説(他方、土下座してまで復党した11人の思惑は何だったのでしょうか。無所属の場合、政党交付金が入りません。復党すると約2000万円を入手できます。立派なことを言っても「背に腹は代えられない」ということでしょうか)
 12月14日、教育基本法改正案は、参院特別委員会で自民、公明の与党の賛成多数で可決されました。
 12月15日、改正教育基本法は、参院本会議で与党の賛成多数で可決され、成立しました。約60年を経て改正された「教育の憲法」は、「個の尊重」から「公の精神」に転じました。
 この日以降、いじめ自殺の報道が激減しました。「いじめ自殺の報道」が政治的に利用されたことを知りました。
 12月22日、週刊誌に「都心の官舎で女性と同居」と報じられ、安倍首相が強く推薦した本間正明政府税制調査会会長が1ヶ月半で辞任しました。
 12月27日、佐田玄一郎行革担当相は、政治団体が架空の事務所経費を支出した疑惑について「不適切な会計処理があった」として辞任しました。
安倍晋三氏のバックボーン
 TVや新聞は、安倍首相が歴史的大敗にも「やめない」と言った理由を様々な角度から特集していました。その一つが安倍シンパの山本一太氏(群馬県)や世耕弘成氏(和歌山県)が1人区で当選している。安倍氏が擁立した比例区の中山恭子氏や義家弘介氏らが当選しているというものです。しかし、同僚を多く失った結果からすると、無理な推量というものです。
 安保闘争で歴史に名を残したように、安倍首相も憲法改正を行って、歴史に名を残したいというのもありました。
 外祖父の岸信介氏が、「もう少し我慢していたら、憲法改正もできた」と孫の安倍晋三氏に語ったというのです。
 事実関係を知っている人なら、このようなことを言わないでしょう。もし、やめなかったら、革命が起きていた可能性があります。祖父からその話を聞き、それが真実だと思っていたら、歴史認識が不十分なボンボンです。
 では、何が続投の背景かというと、この項でも盛んに登場しているグループの存在です。
 「新しい歴史教科書を作る会」です。もう一つが「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」です。
 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)によると、「新しい歴史教科書をつくる会とは、既存の歴史教科書(特に中学校社会科の歴史的分野の教科用図書)は、必要以上に日本をおとしめる “自虐史観” に毒されていると批判し、それに代わる、「“東京裁判史観” や “社会主義幻想史観” を克服した、こどもたちが日本人としての自信と責任を持つことのできるような教科書」の作成と普及を目的として結成され運営されている団体のことである」と規定しています。
*解説「作る会」は歴史を科学的に研究する普遍的・中立的なグループでなく、「作る会」は自分たちの作った教科書を採択させ、学校で使用することを目的とする偏向的な政治団体だということです。そのために、極めてイデオロギーに基づく政治闘争が頻繁と起こり、離合集散を行っている団体です。つくる会の教科書を発行していた扶桑社から関係解消を通告され、2008年度以降は『新しい歴史教科書』は絶版になります。子どもたちに日本人としての自信と責任を持たせる教科書作りの立場の人が、発行会社から絶縁状を突きつけられるようでは、子どもたちに絶望と無責任を教えるだけです)
 「つくる会」の教科書については「近代日本を悪逆非道に描き出す”自虐史観”を克服し、次世代の子どもたちに誇りある日本の歴史の真の姿を伝えるべきである。この教科書は”階級闘争史観”や”自虐史観”の拘束から自由になり、世界史的視野のなかで日本国と日本人の自画像を品格とバランスをもって論述している。そのため面白く、通読に耐える唯一の歴史教科書である」と規定しています。
*解説(歴史には光と影があります。光の部分と共に、日本人にとって辛いこと(影)でもそれを事実を受け止め、世界人として克服することが大切な歴史学習です。臭い物(影)に蓋をして、光だけ歴史学習する歴史修正主義では、真に誇りを持つ日本人が育ちません。
 8月11日の読売TVは、次のような番組を放映しました。
 アメリカでは、原爆を運んだ巡洋艦の元乗組員ジミー=オドネル氏(87歳)らがあちこちの学校で講演しています。オドネル氏は「戦争を終結させるための原爆を運んだ私達は大役を果たしたと思っている」と説明しました。生徒が「もし原爆が届いていなかったらどうなっていたの」と問うと、オドネル氏は「日本を侵略して日本人もアメリカ人ももっと多くの犠牲者が出ていたよ」と答えました。オドネル氏の話を聞いた男子生徒は「原爆は戦争を早く終わらせて多くの人を救った。日本を侵略していたらもっと多くの犠牲者が出たと思う」、女子生徒は「無実の人達が亡くなったことは寂しいけど終戦のためには原爆投下はよかったと思う」原爆のお陰で」と答えていました。恐ろしい洗脳教育です。
 しかし、同時に、2007年制作のドキュメンタリー映画『ヒロシマナガサキ』がアメリカの大手ケーブルTV(4000万人が加入)で放映されています。監督は日系三世のスティーヴン=オカザキ氏(55歳)です。彼はアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞しています。見た女性は泣きながら「私の国があんなことをしたなんて本当に心苦しい。核兵器を使うことは終戦の言い訳にもならないし、無責任で凶悪な行為です」と答えました。男性は「被爆者が受けた精神的な衝撃の凄まじさがわかりました。被爆者の話を聞いて戦争は恐ろしいと思った」と話しています。
 光と影の勉強をすることで、世界の人は、歴史を共有できるのです)
 作る会の作成した教科書の教科執筆者です。
◆2001年4月検定合格版
●『新しい歴史教科書』
代表執筆者/西尾幹二
監修/伊藤隆(兼・執筆者)、大石慎三郎、高橋史朗、田久保忠衛、芳賀徹
執筆/小林よしのり、坂本多加雄、高森明勅、田中英道、藤岡信勝、広田好信、八木哲、谷原茂生
●『新しい公民教科書』
代表執筆者/西部邁
執筆/佐伯啓思、佐藤光、八木秀次、宮本光晴、杉村芳美、田内寛人、大津寄章三
◆2005年4月検定合格版
●『改訂版 新しい歴史教科書』
代表執筆者/藤岡信勝
監修/伊藤隆、大石慎三郎、岡崎久彦(兼・執筆者)、新田均、芳賀徹
執筆/九里幾久雄、小林弘治、坂本多加雄、高森明勅、西尾幹二、広田好信
●『新訂版 新しい公民教科書』
代表執筆者/八木秀次
監修/磯前秀二、古賀勝次郎、島田洋一、田久保忠衛
執筆/遠藤浩一、大津寄章三、小林弘治、藤本百男
 「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(考える会)のメンバーです。1997(平成9)年11月の資料です。
代表 O中川昭一
座長 自見庄三郎
副代表 P谷津義男 木村義雄 Q中山成彬 C松岡利勝 八代英太 狩野安 小野清子 森田健作 保坂三蔵
幹事長 S衛藤晟一
幹事長代理 D高市早苗 小山孝雄
副幹事長 森英介 古屋圭司 小林興起 浜田靖一 N吉田六左ェ門 中野正志
事務局長 @安倍晋三
事務局長代理 松下忠洋
事務局次長 G下村博文 M渡辺博道 北岡秀二 山本一太 (26名)
委員 飯島忠義 石崎岳 今村雅弘 岩永峯一 江口一雄 L遠藤利明 J大野松茂 小野晋也 小比木八郎 金田英行 亀井久興 I木村隆秀 熊谷市雄 熊代昭彦 栗本慎一郎 阪上善秀 桜井郁三 桜田義孝 佐藤剛男 佐藤勉 清水嘉与子 新藤義孝 A管義偉 砂田圭佑 園田修光 武部勤 K田中和徳 谷川秀善 田野瀬良太郎 中島洋次郎 B長勢甚遠 中谷元 F根本匠 能勢和子 林幹雄 原田義昭 桧田仁 H平沢勝栄 松村龍二 三浦一水 持永和見 山口俊一 山口泰明 柳本卓治 吉川貴盛 E渡辺喜美 (46名)
 安倍晋三内閣のメンバーです。()内は、「考える会」の役職です。@〜Sは、「考える会」の@〜Sと一致しています。この内閣が安倍晋三首相とお友だちで構成されていることが分ります。
◆大臣級
@安倍晋三 内閣総理大臣 (元事務局長)
A菅義偉 総務大臣
B長勢甚遠 法務大臣
C松岡利勝 元・農林水産大臣 (副代表)
D高市早苗 内閣府特命担当大臣・沖縄北方対策担当・科学技術政策担当・イノベーション担当・少子化 男 女共  同参画担当・食品安全担当 (幹事長代理)
E渡辺喜美 内閣府特命担当大臣 (事務局次長)
F根元匠 内閣総理大臣補佐官 (経済財政担当)
G村博文 内閣官房副長官 (事務局次長)
◆副大臣級
H平沢勝栄 内閣府副大臣
I木村隆秀 防衛副大臣
J大野松茂 総務副大臣
K田中和徳 財務副大臣
L遠藤利明 文部科学副大臣
M渡辺博道 経済産業副大臣
N吉田六左エ門 国土交通大臣政務官 (副幹事長)
O中川昭一 政調会長 (設立時の代表)
◆重要メンバー
P谷津義男 自民党選挙対策総局長(副代表)
Q中山成彬 元・文部科学大臣 (前・会長)
R平沼赳夫 衆院議員(幹事長)
S衛藤晟一 衆院議員(幹事長)

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