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エピソード

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「岡ちゃんごめんなさい」現象━W杯決勝トーナメント進出(2)
 前回に続いて、「岡ちゃんごめんなさい」現象の続編です。
 大宅荘一氏はテレビの出現を「一億総薄痴時代の到来」と予言しました。
 現在は、私も含めて一億総評論家時代の到来と言えます。民主主義時代には必要なことですが、総評論家時代に必要なことは、「読解力」と「表現力」です。後追い記事の横行を厳しく評論することも大切なことです。
39 オランダ戦 宮城でもPVで熱烈応援 -産経新聞(2010年6月21日)
 サッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の日本対オランダ戦が行われた19日、仙台市青葉区国分町の元鍛冶丁公園でパブリックビューイング(PV)が開催され、日本代表の奮闘を見守ろうと約1000人のサポーターが集結した。
 PVは県サッカー協会などが主催。当日の予報は雨だったが、降り出すことはなく、週末開催ということもあり、開場した午後7時にはすでにスクリーン前に人だかりができる盛況ぶりだった。
 応援に駆けつけた泉区の会社員、小松敬さん(33)は「カメルーン戦の勝利で波に乗っている。このまま勢いを持続してほしい」と、ホイッスルが待ちきれない様子。サポーターは、お気に入りの選手のユニホームなど思い思いの格好で、懸命に声援を送っていた。
参考:パブリックビューイング(Public Viewing)とは、スポーツ競技において、スタジアムや街頭などにある大型の映像装置を利用して観戦を行うイベントのことです。
40 片瀬那奈の秘策「前半15分までに先制」-産経新聞(2010年6月24日)
 大のサッカーファンで、フジテレビのW杯中継スペシャルサポーターを務める女優、片瀬那奈(28)は「前半15分までに全員攻撃で先制し、その後は全員で守り抜け!!」とサンケイスポーツに熱いメッセージを寄せた。
 引き分けでも日本は1次リーグを突破できますが、しっかりと勝ちに行ってほしい。日本とデンマークのチーム力の差は、ほとんどないように思います。引き分け狙いの余裕を持った戦い方をすると、足もとをすくわれかねませんから。
 一方のデンマークは、勝たないと決勝トーナメントに進めないので、引いて守ってカウンター狙いで得点を取る彼らのスタイルを捨てて、しゃかりきになって点を取りにくると思います。そこに、すきも生まれるはずです。だからこそ、日本も最初から守るのではなく、ガチンコで攻めてほしいのです。
 得点は、できるだけ早い時間に取ってほしいですね。全員で攻めて、前半15分までに1点をもぎ取るぐらいの勢いがないとダメ。そして、先制点を挙げたあとは守備的な選手を投入し、今度は全員で守り抜く。
解説:素人の女優さんでもこれ位の発言は出来るという典型的な例です。「先制点を奪い、後は守り抜く」ということができれば、優勝候補のブラジル。アルゼンチン・スペインにも勝っちゃいますよね。
41 中田氏“激辛エール” 「守備重視」なら未来ない- 産経新聞(2010年6月24日)
 「全員でずっと守備をしている(現在の)姿勢では、日本のサッカーに未来はない!」。南アW杯2試合を現地で観戦した同氏は、近い関係者に日本の戦いぶりをバッサリ、こう表現したという。
 引き分け以上で1次リーグ突破が決まるデンマーク戦は、リスクを冒して攻撃に出る必要はない。欧州予選でロナルドを擁するポルトガルを退け、1位突破したデンマークの実力を踏まえれば、岡田監督の守備を固める現実路線は理にかなっている。
 後継者として期待し、1次リーグ初戦のカメルーン戦で値千金の1得点をマークしたMF本田に対しても、「まだ動きが悪い」と奮起を促す。
 言葉の裏には大きな期待が込められている。腰を引くな、受けに回るな−。前を向く後輩たちの姿に思いをはせる。(ペン・志田健、浅井武、川端亮平 カメラ・財満朝則、森本幸一)
42 日本、歴史的勝利で決勝Tへ - 産経新聞(2010年6月25日)
 【ルステンブルク(南アフリカ)=森本利優、奥村信哉】サッカーのワールドカップ(W杯)は24日夜(日本時間25日未明)、ルステンブルクのロイヤルバフォケング競技場でE組の日本−デンマークを行い、日本が3−1で快勝、勝ち点を6として、同組の2位で1次リーグを突破し、決勝トーナメント進出を果たした。
 日本は前半17分に本田(CSKAモスクワ)、同30分に遠藤(G大阪)のフリーキックから直接ゴールを決めた。デンマークは後半36分、トマソンが1点を返したが、日本は同42分、岡崎(清水)が押し込んで3点目を挙げた。
 日本の決勝T進出は、2002年日韓大会に次いで、2大会ぶり2度目だが、自国開催以外のW杯では初めて。岡田武史監督は日本人監督として史上初めて1次リーグ突破を実現させた。
 決勝T1回戦で日本は、F組1位のパラグアイと29日午後4時(同午後11時)からプレトリアで初の準々決勝進出を懸けて対戦する。
43 中田英寿氏「こういうサッカーが見たかった」- 産経新聞(2010年6月25日)
 日本代表の劇的勝利を現地で観戦し、日本テレビ系列の中継でゲストとして見守った元日本代表、中田英寿氏は、中継のなかで「素直にうれしい。守りから入らず攻めにいき、日本らしいパスワークもみられた。こういうサッカーが、僕の見たかったサッカーです。短い期間のなかで、日本代表のサッカーは目に見えて進化している」と語った。
44 「岡ちゃん、ごめんね」 日本、W杯決勝T進出、Twitterに“謝罪ハッシュタグ”出現- Yahoo!ニュース (2010年6月25日)
 「岡田監督、すみませんでした」「正直、3連敗と思っていました」――6月24日早朝、サッカーワールドカップ(W杯)で日本代表がデンマークを破って決勝トーナメント進出を決めことを受け、Twitterで岡田武史監督に謝罪するハッシュタグ「#okachan_sorry」が生まれ、盛り上がっている。
 W杯前、日本代表は韓国を相手にした強化試合で惨敗するなど結果が出ず、岡田監督の采配を批判したりW杯での惨敗を予想するユーザーも多く、監督バッシングも起きていた。
 だがW杯グループリーグでは初戦のカメルーンに勝利すると風向きが変わり、デンマークに3-1で勝利して決勝トーナメント進出を決めると、岡田監督の采配を評価する向きが高まった。
 Twitterの「#okachan_sorry」では「みんなで謝ろう!そしておめでとう」「岡田監督、申し訳ありませんでした。あなたではダメだと思っていました。心からお詫びします」「罵倒してすいませんでした。逆境のリーダーとして付いていきます」など、ユーザーが反省の弁をのべている。
 2ちゃんねるにも「岡田監督にごめんなさいをするスレ」「岡田監督に焼き土下座をするスレ」など“謝罪スレ”が立ち、多くの書き込みで盛り上がっている。
45 16強入り決定に岡田監督「ほっとしている」- 産経新聞(2010年6月25日)
 試合後の岡田監督の一問一答は次の通り。
 −−今の気持ちは
 「最初の目標を達成できてほっとしている」
 −−選手に対しては
 「本当に最後まで集中を切らさずやってくれた。すばらしい選手とできて誇りに思います」
 −−試合前の選手への指示は
 「いつも通り勝ちにいく、点を取らないと勝てないという気持ちで入っていった。立ち上がりのシステムは攻撃的にいったつもりだが、相手に間、間でやられていた。システムを変更した時間帯に1点とれてよかった」
 −−相手はパワープレーできましたが
 「パワープレーはどうしようもない。ボールに競って、周りが拾うプレーをよくやってくれた」
 −−改めて勝利の要因は
 「個で戦うのではなくチームで戦っている。サッカーがチームスポーツであることを証明しようと戦っていた。さらに成長してくれている」
46 「代表がんばれ」グッズ売り上げ急増 一番人気は本田-朝日新聞(2010年6月25日)
 サッカーW杯日本代表への応援熱の盛り上がりとともに商戦も熱くなっている。
 名古屋市中区栄3丁目のサッカーショップ加茂は25日、開店と同時に商品の問い合わせ電話が鳴りっぱなしになった。開幕前の客足は前回ドイツ大会に比べると鈍かったが、「初戦のカメルーン戦に勝ってガラリと変わった」と同店の壁瀬忠司さん(55)。来店客数は開幕前に比べて3倍超に急増した。売れ筋は1万〜2万円のレプリカユニホームで、1番人気はやはり本田選手という。
 デンマーク戦でゴールを決めた遠藤選手のユニホームを買いに訪れた愛知県南知多町の大学生田中英美さん(21)は「旬な選手のユニホームで応援したい」。次戦はパブリックビューイングに出かけるつもりだ。一緒に来た同県みよし市の大学生折笠はるかさん(21)は「開幕前は1次リーグ敗退だと思っていたけれど、有言実行の本田選手はすごい」とたたえた。
47 【W杯記者コラム】虹の国から 「岡ちゃん、ごめんなさい」- 産経新聞(2010年6月25日)
 だれがこんな結果を予想しただろうか。サッカーW杯で日本が2勝も挙げ、堂々と決勝リーグに進むことを。出場国中で「最弱」とまで言われた前評判を覆し、強豪国を次々に打ち破った日本代表の戦いぶり
 デンマーク戦が行われたルステンブルクの競技場は、圧倒的にデンマークサポーターが多く、自国の選手がボールを取るたびに大歓声。ところが、前半17分のフリーキックで、本田圭佑選手が「無回転シュート」を決めると、歓声はどよめきに変わった。
 相手サポーターをもうならせたひと振り。会場の日本人サポーターが「鳥肌が立った」と表現したが、まったく同感だった。
 この快挙は、本田選手の活躍やチームの一体感、岡田武史監督の戦術など、要因を挙げればきりがない。ただいまは、本大会前には連敗が続き「岡田ジャパン」に失望したサポーターも、世界の舞台で結果を出した彼らをたたえるべきだろう
 日本のネット掲示板でも「岡田監督に謝るスレ」などが立ち上がったらしい。ここは一つ、自分も言わせてもらいたい。「岡ちゃん、ごめんなさい」
(ジョージ 白岩賢太)
48 岡崎、念願のW杯初得点「努力の積み重ね」- 産経新聞(2010年6月25日)
 1点差に迫られた後の後半42分、味方のスローインから大久保が出したスルーパスを本田が粘って折り返したところに詰めて左足で押し込んだ。デンマークの反撃を無力化するダメ押し点。ややもたつきながら泥臭く決めたのも岡崎らしい。
 「今までやってきてよかった。努力が積み重なってゴールになった」と岡崎。“いじられキャラ”そのままに、チームメートにもみくちゃにされた。
 試合前に同世代の本田から「オレが得点するからお前も取れよ」と声をかけられていた。好機でパスを出してくれた本田の気持ちに応え、その約束も果たした。(北川信行)
49 「岡ちゃんごめん」「総懺悔」ツイッターに「謝罪」殺到-朝日新聞(2010年6月26日)
 《予選敗退とかほざいて岡田さんマジですみませんでしたっ》《沈んでる日本に元気くれてありがとう〜》。簡易投稿サイト「ツイッター」などには25日、大会前の下馬評を覆して決勝トーナメントに進出したサッカー日本代表の岡田武史監督をたたえ、率直に謝ろうという書き込みが殺到した。
 《正直3戦全敗だと思ってました。ごめんなさい》《迷将、とばかにしてごめんなさい》《総懺悔(ざんげ)!って雰囲気ですね。特に大手マスメディア! 土下座してあやまりましょう
 中には《まさか日本国民まで欺くほどの情報戦を繰り広げているとは知りませんでした!》というものや、《でもあれだけ泥にまみれたからできた決断もあったよな?》などというものも。
 《仮に決勝トーナメント初戦で負けでもしたら皆、手のひらを返すように元に戻る》
50 【主張】W杯16強入り みんなで快挙を喜びたい- 産経新聞(2010年6月26日)
 サッカーのワールドカップ(W杯)で日本がデンマークを3対1で破り、決勝トーナメントへの進出を決めた。大会前の日本代表に対する評価は低かっただけに、1次リーグ突破は大変な快挙である。
 デンマーク戦は南アフリカの現地時間24日夜、日本時間では25日明け方の試合だった。それでも、テレビ中継は30・5%もの視聴率(関東地区)を記録した。スタンドでは大きな日の丸が翻っていた。肩を組んで君が代を歌うチームの姿も印象的だった。意気消沈する出来事が多い現在の日本にとり、勇気と希望にあふれた朝となった。
 日本代表の活躍は1次リーグの3試合を通して評価する必要がある。初戦のカメルーン戦は、相手チームのゲームメークに対する意思統一が希薄だったこともあり、多分に幸運な面もあった。守りに重点を置いた戦い方への評価も、必ずしも芳しくはなかった。
 それでも、勝つことはそれ自体が重要である。この試合で選手も監督も自信を付けたはずだ。次の世界ランク4位のオランダとの戦いは、敗れたとはいえ、世界の強豪とも十分、渡り合えるという手応えを感じさせた。
 デンマーク戦は引き分けでも決勝トーナメントに進出できるという有利な条件だった。だが、その比較優位にしがみついて守りの試合をしていたら、勝利はおろか、引き分けすら期待できない。
 ピッチの上の選手たちにそうした消極性はみじんも見られず、勝利を目指して果敢に攻め、そして攻撃的に守った。ひたすら前へ向かう姿勢が、堂々たる勝利につながったということができる。
 W杯に限らず大きな大会では、試合を重ねることで一戦一戦、力をつけ、強くなるチームがある。今大会ではまさしく日本がその例だろう。16チームによる決勝トーナメントでは、まずパラグアイと対戦する。今大会で勢いがある南米の強豪だ。
 いろいろなチームと真剣勝負ができる。日本代表はいま、その苦しさと楽しさを実感しているに違いない。濃密な時間の中で自信を付け、成長する。その体験は、閉塞(へいそく)感の強い現在の日本への貴重なメッセージでもある。
 決勝トーナメントでは、日本代表が一試合でも多く、そうした体験を積み重ねることができるよう声援を送りたい。「ベスト4」はもう、夢ではない。
51 勝負師を支えた「ディシプリン」 運動部長・山根俊明- 産経新聞(2010年6月26日)
 今回の南アフリカ大会で岡田監督が打った“バクチ”には驚かされた。1トップに本田圭佑を置くシステムを初めて試したのが、開幕前日の練習試合。ぶっつけ本番でカメルーン戦に臨んだ。新聞には「迷走」の見出しも躍る。もし負けていたら、どれほど非難されたことだろうか。それでも、岡田監督は選手のコンディションなど日々変わりゆく状況を分析して、「確率が高い方」を選び続けた。
 「その選択が正しいかどうかは、やってみなければわからない。でも、このチームのことを一番考えているのはオレだから」。岡田監督から、そういう信条を聞いたこともある。とても常人では考えられない大きな賭けは、チームへの責任感からくる究極のリアリズムに裏打ちされていた。世間の評判など気にせず、超現実的な決断を下して決戦に臨む「勝負師」。大会前に批判を重ねていたわれわれメディアも、「1次リーグ突破」という結果を突きつけられ、白旗を揚げるしかなかった。
 当初は戦術変更への疑問もあったようだが、それを胸のうちにとどめ、全力で戦い抜いた。
 10年ほど前、日本のサッカー界では、「ディシプリン」という言葉がもっと頻繁に使われていた。「規律」「共通理解」などと訳されていたが、要するに「選手たちが同じ目的のために、決められた約束ごとを守る」こと。・・控え選手、スタッフらとの団結力を含め、日本の強みは「ディシプリン」にあると改めて痛感した。
 「ディシプリン」を最大の武器にして、決勝トーナメントで世界の強豪に挑む日本−。さらなる感動や教訓を得るために“岡田ジャパン”の南アフリカ滞在が1日でも長くなることを願おう。
52 弱者の自覚、大人のチームへ変貌 - 産経新聞(2010年6月26日)
 日本が新たな歴史を作った。引き分けでも1次リーグ突破が決まる試合だったが、攻め続け、W杯の1試合としては過去最多の3点を奪った。今大会ベスト4入りを公言する岡田武史監督は会見で「最初の目標を達成できた。(4強は)まだ雲のかなただが、ひとつずつクリアしていきたい」と次なる高みを見据えた。その顔には自信があふれていた。
 もっとも、ほんの1カ月前までのチームは最悪だった。攻めてはパスを回してばかりでシュートを打たず、守備では球際で競り負け、軽率なミスからカウンターに沈む。試合後、サポーターからブーイングを浴びる試合が続いていた。
 それが南アでは180度変わった。積極的にシュートを放ち、何人もの選手がしつこくボールにくらいついた。何より1カ月前には感じることのできなかった「熱」を、3試合発し続けた。
 なぜ、短期間のうちにこうも変われたのか。1968年メキシコ五輪銅メダリストの杉山隆一氏(68)は「直前に何かを変えるのは難しいこと。それが刺激になったか、選手から戦う気持ちが伝わってくる。選手間で相当な話し合いをしているのではないか」と分析する。
 岡田監督は日本を出発後、思いきって戦い方を変えた。守備に重きを置き、メンバーも入れ替えた。「アジアでは通用しても、世界では通用しない」という現実を受け入れた形だった。一方、選手も危機感があったのだろう。事前合宿地のスイス・ザースフェーで初めて選手だけのミーティングを開いた。そこで意思統一されたのは「自分たちは弱い」ということ。「下手くそなりに泥臭くやらないといけない」(闘莉王)と、監督の割り切りに同調した。
 「自分たちで話し合いながらできた」と阿部が話せば、岡田監督は「ここまでできるようになったんだと、自分にとってうれしい驚きだった」と喜んだ。自分たちで考え、プレーするのはジーコ元監督時代から日本が目指してきたもの。それを選手はこの大舞台でやってみせた。
 主将の川口は「もう選手だけのミーティングをする必要はない。みんなやるべきことはわかっている」と話す。監督の“指示待ち”だったチームが、苦しかった半年間を経て、成熟した大人のチームへと変貌を遂げた。(森本利優
解説:森本利優記者が最も厳しく岡田監督を批判(岡田監督の罷免を要求したり、大会では予戦全敗を予想)していました。大会前の練習試合で連敗した結果を踏まえての「典型的な後追い記事」です。
 それが決勝トーナメント進出という初の快挙を日本人監督が成し遂げました。その結果、森本利優記者は勝利の勝因を「自分たちで考え、プレーする」ことになったとしています。これ位の記事ならサッカーに無知な私でもかけます。技術は簡単には身につきません。だとすると、予選全敗の時、本大会までに「自分たちで考え、プレーする」ことを求め、そうすれば、勝機はあると書くべきでしょう。恥ずかしい記事です。
53 おまえらは、はやく岡ちゃんに謝罪しろよ-掲示板(2010年6月26日)
 さんざん批判しといてなに手の平返してんだよ
 俺はツイッターで謝罪したよ
 なんで謝るんだよw岡田の目標はあくまでベスト4だろ? 最初から決勝トーナメントが目標だったら謝るけど、まだ先じゃん とにかく終わるまで現状維持だな
 岡ちゃん不合格の横断幕持ってた奴、もう証拠隠滅したのかなw
 俺はオシムが倒れた時岡田しかいないだろってずっと言い続けてた で、今年に入って結果が悪くなったときもずっとかばってた それでもGL予想は2分け1敗だったけど
 いやあれだけ叩かれたから逆に開き直れたんじゃないのか
54 パラグアイ戦、カギは堅守突破 得意のFK、ミドルシュートが有効か- 産経新聞(2010年6月27日)
 堅守速攻−。パラグアイの1次リーグの戦いぶりは評判通りだった。特に目についたのが3試合で1失点の堅い守備だ。対戦相手に許したシュート数は初戦から順に10、6、4。計20本の被シュート数は決勝トーナメントに進出した16チームで最少だった。
 大会公式記録を見れば、パラグアイの堅守の一端が浮き彫りとなる。国際サッカー連盟(FIFA)は試合ごとに、個々の選手が18分割したピッチのどのエリアでパスを受けたかを示すデータを集計している。
 それによると、自陣ゴール正面のエリアでパラグアイがパスを通されたのは、3試合でわずか6回。前線からの素早い寄せに加え、センターバックのダシルバらが球際に抜群の強さを発揮し、決定的な場面に持ち込まれる前にピンチの芽を摘み取っていたことが分かる。
 日本は1次リーグ3試合で失点こそ2と少ないが、計39本ものシュートを浴びせられた。自陣ゴール正面で通されたパスは計26本。デンマーク戦では、このエリアに顔を出したトマソンに6本ものパスが通った。守備の安定感では明らかにパラグアイに分がある。
 もっとも、最終ラインに190センチ超のセンターバックを並べたデンマークと比較すれば、高さはない。デンマーク戦で本田、遠藤が直接FKで2点を奪った日本。得点源であるセットプレーはもちろん、遠めから積極的にミドルシュートを狙っていくのも有効だろう。(細井伸彦)
解説:この記事も後追い記事の典型です。過去の実績と数字を分析しているだけです。気楽な記事です。
55 取材3倍増!岡田ジャパン注目度No.1 - SANSPO.COM(2010年6月27日)
 岡田ジャパンが注目度“世界一”となっていることが27日、分かった。国際サッカー連盟(FIFA)によると、29日のパラグアイ戦(プレトリア)の記者席申請数が、決勝トーナメント1回戦で2番目の483席に。ディエゴ・マラドーナ監督(49)率いるアルゼンチンや、27日のドイツ−イングランドという好カードを差し置き、デンマーク戦の3倍に及ぶ躍進ぶりだが、岡田武史監督(53)は「勝つだけ」と言い切った。
 ピッチ上でのサプライズの連発に、世界各国のメディアがあわてて日本の取材に取りかかった形で、注目度の上がり方は「断トツの世界一」(FIFA関係者)だ。
 FIFAのバルク事務総長も「韓国と日本の戦いぶりは見事。もはや欧州が唯一の強豪というわけではなくなった」と話し、「(14年ブラジル大会で)W杯の出場枠を変更することはない」とアジアの出場枠「4・5」も維持することを明言。02年日韓W杯で韓国を4強に導いた名将、ロシア代表のヒディンク監督ですら「10年前では考えられなかったこと。驚いている」と目を丸くする。
56 デンマーク戦、午前5時以降の視聴率は40.9% 関東-朝日新聞(2010年6月28日)
 ビデオリサーチは28日、日本テレビ系で25日に放送されたサッカー・ワールドカップ(W杯)の日本―デンマーク戦の終盤の視聴率(関東地区)が40.9%だったと発表した。後半途中の午前5時から番組終了の午前5時40分までの集計。瞬間最高視聴率は、試合終了のホイッスルが鳴った午前5時20分と同19分の46.2%だった。他地区の平均視聴率は関西地区で35.9%、名古屋地区で38.1%、北部九州地区で35.6%、札幌地区で44.9%だった。
 午前3〜5時の平均視聴率は25日に発表されており、関東地区は30.5%、関西地区は27.4%、名古屋地区は26.2%、北部九州地区は26.9%、札幌地区は30.6%。
 未明に放送されたサッカー中継では、2006年W杯の日本―ブラジル戦で22.8%(関東地区、午前3時半〜同5時)を記録しているが、今回はそれを大きく上回った。
57 「日本の強みはスピード」「カウンターとFKに要注意」 パラグアイで日本への警戒感高まる- 産経新聞(2010年6月28日)
 【アスンシオン=松尾理也】サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、日本との決戦を控えたパラグアイでは、次第に日本代表への警戒感が高まっている。「日本の強みはスピードだ。彼らは空いたスペースを素早く埋めてくる。ニュージーランド戦と同じと考えていると、痛い目に遭う」。パラグアイ有力紙ナシオンは、マルティノ監督の言葉を引用して、日本への警戒感をあらわにした。
 ウルティマオラ紙は「カウンターからの速攻と、フリーキックには要注意。パス回しもうまい」と、日本を「格下」と見る空気はすでにない。
58 片瀬那奈、攻め勝て!キーマンは松井選手 - 産経新聞(2010年6月29日)
 フジテレビW杯中継スペシャルサポーターを務める女優、片瀬那奈(28)は「ひとつのミスが命取りになるシビアなゲームになる。サンタクルスを筆頭に超攻撃的チームなのでしっかり守って世界レベルの高度な試合を展開して攻め勝ってもらいたい。キーマンは、調子の良い松井大輔選手。必ず点に絡む活躍をしてくれると思います。2−1で日本の勝利。初のベスト8を祈っています」とエール。
59 日本敗退直後に再び「ニッポン」 W杯列島ドキュメント-朝日新聞(2010年6月30日)
 相手の5本目のゴールが決まり、日本の敗退が決まる。「わー」と悲鳴があがり、一瞬水を打ったように静まりかえった。直後にニッポンコールが再びわき起こる。
1:37 東京・渋谷駅前
 PK戦が始まった。遠藤保仁選手が1本目を決めると、約100人の若者が一斉に両手を突き上げ歓声をあげた。
0:00 東京・渋谷駅前
 スクランブル交差点では規制線が張られ、斜め横断が禁止された。霧雨が降る中、警察官が「足元が滑るので駆け出さないでください」と呼びかける。若者が騒ぐ様子を写真に撮りに来たというアマチュアカメラマンの男性(57)は「おもしろい景色ですね」
23:00 東京・渋谷のスクランブル交差点
 信号が青になるたびに、中央に若者が集まって跳びはね、体をぶつけ合う。男子学生(21)は「楽しい。こうなりゃ、勝っても負けても関係ないよね。朝まで騒いじゃいます」。警察官によって交通整理が始まった。
60 評価一変、名将・岡田 「やっぱりすごかった」- 産経新聞(2010年6月30日)
 「岡ちゃん、ありがとう」。サッカーのワールドカップ(W杯)決勝トーナメントで、日本代表は勝利に一歩及ばなかった。しかし、最後のPK戦まで死力を尽くして戦い抜いた青いサムライたちに、ファンらは惜しみない拍手を送った。とりわけ多くの称賛を集めたのが岡田武史監督大会前には「迷将」扱いされ、バッシングまで起こった岡田監督だが、いまや「名将」。
 「岡田監督、謝ります」「今までごめんなさい!」
 インターネット掲示板には29日、岡田監督への謝罪と、称賛の声があふれかえった。流行のミニブログ「ツイッター」でも「#okachan_sorry」(岡ちゃん、ごめん)という共通テーマが登場。キックオフ後は、「#okachan_believe」(岡ちゃん、信じてる)というテーマで、試合が展開するごとに「ふんばれ!」「いいぞ!」など声援が飛び交った。
 W杯開幕直前、岡田ジャパンは親善試合などで敗戦を続け、サポーターらは不満を募らせた。2月にサンケイスポーツが実施した調査では約9割が「監督交代」を希望し、試合後のスタンドに「岡チャン不合格」と書かれた怒りの横断幕が掲げられたことも。
 しかし、ふたを開けてみれば、1次リーグを勝ち抜き、決勝トーナメントでも善戦。ファンからは「よく頑張った」「ありがとう、岡ちゃん」と感謝の言葉が絶えなかった。
 産経新聞が29日、東京・銀座など繁華街でサッカーファンに話を聞いたところ、「1次リーグ敗退」を予想していたという多くの人たちが「威厳を感じる」「ツキも監督の手腕」「好感が持てる」などと岡田監督の指揮ぶりを称賛。厳しい予想をした自分を“懺悔”した。
 新聞などでも開幕前は、専門記者や評論家が岡田監督を厳しく評価。「迷走」「迷将」「付け焼き刃」などの活字が躍ったが、最後には、そうした論調が逆に批判を浴びるようになった。
 評論家のセルジオ越後さんも批判を浴びた一人。2月に監督交代を提言し、開幕前には1次リーグ突破の可能性を「0%」と予想した。
 法政大学の稲増龍夫教授(社会心理学)は、「国と国がぶつかるときには、ある種のナショナリズムが生まれ、国民は結果に大きな期待を抱く。そのとき、チームがうまくいけば称賛するし、ちょっとの失敗で評価が百八十度変わることもある」と指摘する。
 パラグアイ戦の前に会見した岡田監督は、自身に対する評価が一変したことを尋ねられると、こう答えた。「これだけ変わるということは、また変わる。一喜一憂していられない。バッシングを受けても進むべき道を進む。褒められても進むべき道を進む」
 進むべき道を進んだ岡田監督と日本代表の選手たちへの拍手。試合終了後も鳴りやまなかった。
61 「勝てていたと思う」中田英寿氏 - 産経新聞(2010年6月30日)
 日本−パラグアイ戦を中継したTBS系列の番組にゲスト出演した元日本代表、中田英寿氏は試合後、「より頑張ったのは日本、より試合巧者だったのはパラグアイだったという印象。ただ、改めて日本のポテンシャルの高さを感じた。パラグアイは100%の力を出したが、日本は出していない。ディフェンスの部分は充実し、成長していたが、攻撃の部分では、デンマーク戦でみられたサイドからの攻めがなかった。デンマーク戦のような攻撃を仕掛けていれば、勝てていたと思う」と語った。
62 世界が絶賛 岡田JAPANは「ライジング・サン」-産経新聞(2010年6月30日)
 サッカーのW杯で、事前の低調な予想を覆して決勝トーナメントに進出、対パラグアイ戦で惜敗した日本の戦いぶりを各国メディアは「サッカーのライジング・サン」などとたたえた。(ワシントン 犬塚陽介、大内清、ソウル 水沼啓子)
(1)本田は万能選手…米
 ケーブルテレビ局ESPN(電子版)はパラグアイ戦を振り返り、「試合を通じて日本の方がより素早く、創造的で、守備も良かったが、得点を挙げられなかった」と日本代表の健闘をたたえた。
 米紙ニューヨーク・タイムズは、Jリーグ1部(J1)名古屋の元監督で現在は英プレミアリーグの名門アーセナルのベンゲル監督が今年4月、岡田監督と会食した際のエピソードを紹介。日本の劣勢を予想したベンゲル氏が、日本が決勝トーナメントに進出すれば「君の銅像が東京の真ん中に立つだろう」と語ったことに触れ、タイムズ紙はそろそろ「彫刻家を雇う時期かもしれない」とつづった。
(2)「ライジング・サン」…英
 英紙インディペンデント(電子版)は、前評判の低かった日本が「汗の最後の一滴まで」力を振り絞って格が上のパラグアイを苦しめたことを高く評価し、「サッカーのライジング・サン」と賛辞を贈った。
 コラムは日本代表のモラルの高さにも注目。駒野友一選手がPKをはずした際、岡田武史監督が「まばたき一つしなかった」ことなどを、驚きを交えて伝えた。同紙は別の記事でも、岡田監督が試合後に「(敗戦の原因は)私の力不足」と述べたことなどを紹介、敗退後に言い訳に終始し続投に意欲を示しているイングランドのカペロ監督(イタリア人)の言動を皮肉った。 
(3)アジア・サッカーの力を証明…韓国
 韓国のニュース専門テレビYTNは、「日本は惜しくもベスト8進出に失敗したが、終始一貫して対等な競技を繰り広げ、アジアサッカーの力をもう一度証明した」と日本代表の健闘もたたえた。
63 パラグアイ戦の視聴率は57・3% TBS開局以来最高記録「ありがとう」抜く- 産経新聞(2010年6月30日)
 サッカーW杯南アフリカ大会で、日本の決勝トーナメント1回戦が行われた29日の対パラグアイ戦を生中継したTBS系の番組平均視聴率(速報値)が、関東地区で57・3%(午後10時40分〜深夜1時10分)だったことが30日、ビデオリサーチの調べで分かった。関西地区は54・1%(同)だった
 瞬間最高視聴率は、関東地区で午後11時46分(前半ロスタイム時間帯)の64・9%。関西地区は午後11時41分の62・3%だった。
 TBSでは昭和47年12月21日放送のドラマ「ありがとう」の56・3%を抜いて同局の全放送番組で過去最高の視聴率となった。山田修チーフディレクターは「ただ驚いている。一丸となって必死に戦い抜いた岡田ジャパンの雄姿が視聴者に感動を巻き起こした結果だ」とコメントしている。
 今回のW杯南アフリカ大会としては、それまで最高だった6月14日の日本対カメルーン戦の45・5%(NHK総合)を抜いた。
 歴代のサッカー中継では、2002年6月4日に行われたW杯日韓大会の日本対ベルギー戦の58・8%(NHK総合)に次いで第6位。前回ドイツ大会の最高視聴率だった2006年6月18日の日本対クロアチア戦の52・7%(テレビ朝日系)を上回った。
 サッカー中継での最高平均視聴率は、2002年6月9日に行われたW杯日韓大会の日本対ロシア戦の66・1%(フジテレビ系)。
64 「日本はベスト8に値したかもしれない」と仏レキップ紙- 産経新聞(2010年6月30日)
 フランスのスポーツ紙レキップ(電子版)は、松井大輔選手や本田圭佑選手を中心に何度も相手ゴールを脅かした闘志は「ベスト8に値していたかもしれない」とたたえた。
 同紙は試合全体は「(両チームの)厳格な規律に支配され、守備的で、時につまらないミスが目についた」と総括しながらも「日本は時折、激しく仕掛け、攻撃のレベルを上げようという姿勢を示した」と指摘。特に闘莉王選手の攻撃参加が「何度も相手を戦慄させた」と分析した。
 さらに日本とパラグアイの実力は完全に拮抗していたとして「双方とも初のベスト8進出を懸け、失敗が許されなかったため、攻撃より守備に重点が置かれた」と指摘(共同)。
65 「もっと侍のように勇ましく戦うべきだった」オシム氏苦言- 産経新聞(2010年6月30日)
 「スカパー!」の解説を務めた前日本代表監督のイビチャ・オシム氏(69)は日本−パラグアイ戦の終了後、番組を通じて「W杯で日本は自信を手にした」と評価した一方、この日の試合内容について「もっと侍のように勇ましく戦うべきだった」と苦言を呈した。
 オシム氏は、パラグアイとの120分間の死闘について「サッカーファンではない人の目を開かせる戦いだった。選手たちはこの戦いで自信を手にしたはずだ」と賞賛。1次リーグでカメルーン、デンマークに勝ち、オランダと渡り合った日本の戦いぶりを「どんな強豪ともかなり対等な試合をすることができるということが証明された」と評価した。
 一方で「自分の力だけでゴールを上げることができるという誤解に基づくプレーがあった」とこの日も辛口のオシム節を展開し、「日本人は歴史を通じて勇敢さを保ってきた民族。侍の時代にしろ、戦争中の神風攻撃にしろ、勇気がなければできなかった。サッカーでは自分の命をピッチの上で失う危険はない。もっと侍のように勇ましく戦うべきだった」と、守備的な消極プレーに注文を出すことを忘れなかった。
66 岡田・日本代表監督の一問一答-共同通信(2010年6月30日)
 岡田監督は8強入りを逃した悔しさを押し殺すように話した。
 ―もっと攻めればという後悔は。
 「試合内容に対する悔いは残っていない。選手たちは日本人としての誇りを持って、アジア代表としての誇りを持って最後まで戦ってくれた。そういう選手たちを勝たせてやれなかったのは、わたしの責任。わたしの執着心、執念が足りなかったと感じている」
 ―点を取れなかった。
 「サッカーにおいて、点が取れなかった原因を一つに絞るのは難しい。もともと、それほど得点力のあるチームではない。わたしの執着心と執念が足りなかったからだと思う」
 ―世界を驚かせたか。
 「われわれは驚かすためにやって来たのではなくて、勝って驚かせようと言っていたと思う。その意味で勝てなかった。目標に達しなかったということで満足はしていない」
 ―日本のチームプレーは世界に通じたか。
 「サッカーはレクリエーションではなく、勝ち負けのあるスポーツ。通用したかどうかは、やはり結果で応えないといけない。そういう意味でまだ足りなかったという感じが残っている」
67 森本「起用されなくて残念」伊紙に語る-産経新聞(2010年7月1日)
 30日付のイタリアのスポーツ紙ガゼッタ・デロ・スポルトによると、サッカーのワールドカップ(W杯)日本代表の森本貴幸選手は6月29日のパラグアイ戦後のインタビューで「試合の最後に私のスピードでチームの助けになれると思ったが、(起用されず)そうならなかった。岡田監督は特に守備のことを考えていたと思う。残念だ」と語った。
 同紙は「森本が守備を最優先にする監督を攻撃」との見出しで、「試合後半、パラグアイは疲れていた印象だった。森本のような足の速いFWを使う勇気が岡田監督には欠けていた」と、監督の采配を批判した。
 森本選手はイタリア1部リーグ(セリエA)カターニアに所属。
68 長谷部選手「今度、岡田さんと食事に行きたい」-朝日新聞(2010年7月1日)
 ゲームキャプテンの長谷部(ウォルフスブルク)は、チームへの感謝の言葉を繰り返した。
 ゲームキャプテンに指名されたのは大会直前。26歳は「こんなに名ばかりのキャプテンはいない。やってることは何も変わらなかった」と謙遜するが、大役を全うした。2列目からの飛び出しや体を張った守備で中盤の要として貢献。パラグアイにPK戦で敗れた直後には、整列をうながす場面もあった。「もっと試合をしたかったのが本音。岡田監督は、監督と選手の間柄では食事に行ったり飲みに行ったりしない方なので、今度一緒に行きたい」と笑顔だった。
69 虹の国から 真の「虹の国」へ生まれ変われるか-産経新聞(2010年7月1日)
 「岡田ジャパン」がきょう帰国した。日本での盛り上がりは想像もつかないが、彼らの戦いぶりを現地で取材した1人として、健闘をたたえる母国の出迎えはうれしい。
 今回の取材は日本代表を追い掛けることが目的だった。スイス合宿にも帯同し、南アフリカ入り後はベースキャンプ地で取材を続けたが、社会部記者として、もの足りなさを感じるようにもなった。
(ヨハネスブルク 白岩賢太)
70 社説-W杯日本惜敗―人々の心に決めたゴール-朝日新聞(2010年7月1日)
 2010年に自分は何をしていただろうか。ずっと後になって思い出そうとするとき、多くの人がサッカーのワールドカップ(W杯)決勝トーナメントの、29日のゲームを手がかりにするかも知れない。
 「あれは、日本がパラグアイと死闘を演じた年だった」というふうに。
 日本代表はパラグアイにPK戦の末敗れた。初の8強の夢はついえた。しかし、南米の試合巧者とぎりぎりまで競り合い、堅守を維持しつつも攻めの姿勢を貫いた。激しくひたむきに、選手たちは持てる力を振り絞った。
 ままならぬ就職活動、リストラの嵐がおさまらない企業社会……。出口が見えない状況に社会が迷い込んでいる今、死力を尽くす選手の姿は、深く人々の心に刻み込まれたのではないか。
 1次リーグ初戦でアフリカの強豪、カメルーンに競り勝った。本田選手が挙げた1点を、献身的な守備で守りきった。世界ランキング4位のオランダに屈しはしたが、0―1の惜敗。デンマーク戦では本田、遠藤両選手の芸術的なフリーキックなどで、3―1と完勝した。英国のBBC放送は「感動的な日本」と称賛した。
 快進撃に日本中が熱狂していった。W杯直前の強化試合で4連敗し、日本代表は土壇場に追い込まれていたから、なおさらだった。
 選手に声援を送る人々の胸の中にあったのは、劣勢の中でも自らを信じ、闘い続けてきた選手たちへの深い共感だろう。年齢や性別を超えて、ここまで日本中が一体感を感じるような出来事は、久しくなかった。
 岡田監督は昨年、日本外国特派員協会での記者会見でこう話した。
 「南アでの結果によっては、おそらくいろいろな影響が出る。成功すれば日本も自信を持つだろうし、失敗すれば景気が悪くなるかも知れない」
 設定したハードルが高かったからこそ、選手は自らを極限まで追い込めたのだ。パラグアイ戦後の、大久保選手の言葉が象徴的だ。「限界はないんだって思った」
71 岡田監督「日本人の魂を持って戦ってくれた」 代表帰国-朝日新聞(2010年7月1日)
 サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会でベスト16入りした日本代表チームが1日、関西空港着の航空機で帰国した。海外開催のW杯で初めて決勝トーナメントに進出した選手たちを出迎えようと、空港ロビーには約4200人のファンが詰めかけ、岡田武史監督(53)らに「お疲れさま」と声をかけていた。
 記者会見には、岡田監督のほか、本田圭佑選手(CSKAモスクワ)ら大会登録メンバー22人が出席。岡田監督は「予定よりも少し早い帰国になって残念。日本人の代表として、脈々と続いてきた日本人の魂を持って戦ってくれた」と選手たちをたたえた。代表監督続投については「これから4年やるエネルギーはとてもじゃないけどない」と改めて否定した。
72 天声人語-夢中にし、元気づけた岡田ジャパン-朝日新聞(2010年7月1日)
 めったに泣かない人の涙は胸を打つ。W杯のパラグアイ戦を終えた日本代表も、多くが頬をぬらしていた。仲間の泣き顔に、完全燃焼はおれも同じだと涙でこたえる、そんな絵に見えた。こみ上げる思いは、真夜中の列島も湿らせた▼0―0の末のPK戦。選手の髪に、ちぎれた芝がついている。延長戦まで120分を走り、転がり、精根尽きた男たちが、肩を組んで祈った。敗者を作るための儀式は、いつも非情である▼4戦とも、人数をかけて泥臭く守った。体格で劣ろうが、激しく動き回り、少ない決定機を待った。たびたびの円陣と、「このチームでもっと」のコメントが示すように、控えや裏方を含む結束も素晴らしかった▼結束、連帯は、南アフリカ大会のキーワードでもある。出稼ぎで都市に出た黒人にとって、サッカーは横につながる唯一の場だったのに、黒人参加のプロリーグは人種差別につぶされた。苦難の時を経て、W杯開催の誉れを手にした人々だ。わが代表の健闘にも励まされたかと思う▼乾いた日々が続く。結果こそ悔しいが、もらい泣くほどの共感もたまにはいい。国民をやきもきさせ、夢中にし、元気づけた岡田ジャパン。世界を驚かせ、燃え尽きてなお、未知の成果を持ち 帰る。もう一つの「はやぶさ」を、熱い拍手で迎えたい。
73 【主張】8強ならず 世界に示した日本の誇り - 産経新聞(2010年7月1日)
 勝たせてやりたい。いや、勝ち抜きたい。そう思って120分余、テレビ観戦した人が大半だったのではないか。
 サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の決勝トーナメント1回戦で日本はパラグアイと対戦し、延長戦でも0−0と勝負がつかず、PK戦の末に惜しくも敗れた。W杯初となる8強入りは果たせなかった。
 しかし、日本代表選手たちのチームワーク最優先の熱い戦いぶりに拍手をおくりたい。
 テレビ中継の平均視聴率は57・3%(関東地区)だった。国技の大相撲が賭博問題で存亡の危機に瀕(ひん)しているときだけに、日本サッカー陣の奮闘が光る。
 日本は持ち前の運動量と組織的な守備力を武器に、身の丈に合った日本流のサッカーを貫いた。パラグアイ戦では再三ゴール前で猛攻を浴びるピンチに見舞われたが、そのつど必死の守備でしのいだ。文字通り、体を張った守りを見せた中沢佑二選手のコメントが印象深い。
 「世界とここまで対等に戦えたことはなかった。胸を張って帰りたい」
 「サッカー国力」で日本はまだ新興国を脱出したところかもしれないが、発展の余地は十分だ。14年ブラジル大会では、さらに日本流サッカーを進化させ、世界をあっといわせてほしい。
74 代表引退? 中村俊選手「はい、もうします」-朝日新聞(2010年7月1日)
 中村俊輔選手(32)は帰国会見後、個別に記者の取材を受ける場で「日本代表引退もささやかれていますが?」と質問され、「はい、もうします」とだけ答えた。ほかにも質問は飛んだが、報道陣を振り切るように、無言のまま足早に去って行った。
 関西空港に姿を見せた中村選手は終始うつむき加減で、ファンが出迎えた到着ロビーを通り過ぎた。記者会見場では岡田武史監督の後ろのいすに座り、厳しい表情を浮かべて正面を見据えていた。
 中村選手は1次リーグのオランダ戦の後半に途中出場しただけだった。
74 関空で出迎え 最多4千人超-朝日新聞(2010年7月2日)
 日本代表が関西空港の到着ロビーに姿を見せると、詰めかけた約4200人のファンは大きく手を振り、「ありがとう」などと割れるような歓声で出迎えた。
 一行は午後5時すぎに関西空港に到着。ロビーでは数人の選手たちがXサインで歓声に応じたが、多くは表情を変えることなく会見場があるホテルに向かった。
 関西国際空港会社によると、詰めかけたファンの数は、2008年5月に韓国の人気俳優ペ・ヨンジュンさんが来日した際の約3千人を超え、1994年の関空開港以来最多。(千葉正義、坂本泰紀)
素人新聞記者の後追い記事の悲喜劇(2)
 ワールドカップ本大会前、岡田監督解任・決勝トーナメント進出0%とする世論が圧倒的でした。
 初戦のカメルーンに勝利し、オランダにも勝利して決勝トーナメントを決めた日本チームに日本中は熱狂しました。
 朝日新聞は、2010年7月2日付で「関空で出迎え 最多4千人超」と報じました。
 そういう世論に棹を差すように、朝日新聞は、2010年7月1日付で、作家・馳屋周氏の「思った以上に悔しがれない」という記事を掲載しました。これは勇気ある言動です。しかし、馳屋周氏の記事を読んでがっかりしました(これは前回紹介しました)。
 朝日新聞は、2010年7月3日付で、編集委員・森本舜二氏の「日本代表とは、何だったのか 躍進の熱狂と不可解」という記事を掲載しました。これも勇気ある言動です。これもひどい記事です。
 大きな流れに棹を差すには、流れになった気楽な大衆を納得さすだけの「読解力」と「表現力」が必要です。以下、検証します。
編集委員・森本俊司 日本代表とは、何だったのか 躍進の熱狂と不可解-朝日新聞(2010年7月3日)
 熱狂のなかに何とも割り切れない思いを残し、日本は去っていった。振り返っても、わからない。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会でのサムライ・ジャパンとはどんなチームだったのだろうか。
 もう少しで8強だったのだから、強かったのは間違いない。でも、1次リーグのカメルーン、オランダ、デンマークを相手に、日本のボールキープ率はそれぞれ44%、39%、44%。球はことごとく支配された。ちなみに3試合すべて、キープ率5割未満で決勝トーナメントに勝ち抜けたのは日本しかない。
 いつからだろう。私たちが字に支配されて暮らすようになったのは。市場占有率。内閣支持率。テレビ視聴率・・。ライバルよりも高い数字をたたき出さなければ敗者になるという恐怖心を、知らないうちに私たちは植えつけられてしまった。そんな呪縛を打ち破り、数字では劣っても勝者になれる道を日本チームは示したといえる。
 なのに、単純に亭べないところが不思議だ。
 思い切ってメンバーと戦術を変えてここまで躍進できたのなら、なぜ岡田武史監督はもっと早く変革に着手しなかったのか。素人目にも不可解である。なにより、大会前に不振にあえぐ監督を「無能」呼ばわりしていたメディアたサポーターが、勝ち進むにつれ手のひらを返したように「名将」と持ち上げ始めたのは、不思議というよりも不気味でさえあった。
 海外はどう見たのだろう。英国留学中にサッカーとそれを取り巻く社会を研究した神戸大の小笠原博毅・准教授(社会学)は、カメルーン戦を見た英国の記者から「アンチ・フットボーキル」と聞かされた。「サッカーを台無しにする凡戦」といったニュアンスだろう。ドイツ人の知人は、日本に敗れたデンマー
クを、戦術ミスで自滅しだ「愚か者」と評したという。
 「目の前の相手に勝てばいいじゃないかという割り切った姿勢からは、強くなるための長期的なビジョンがまったく感じられなかった」と小笠原さんも語る。根本的な問題を直視せず、対症療法的に小さな成功を収め、祝祭の後に課題が先送りされるのだとしたら、この日本という国の姿とそっくりだ。
ドイツの旧守護神カーン氏「日本は急成長」と絶賛- 産経新聞(2010年6月25日)
 サッカーのワールドカップ(W杯)で、日本がデンマークを破り決勝トーナメント進出を決めたことについて、世界屈指のゴールキーパーだったドイツのオリバー・カーン氏は24日、同国の公共放送「ZDF」で解説者として、「日本は2002年のW杯日韓大会以降、急成長している」と絶賛した。
 カーン氏は「日本は強かった。2本のフリーキックが見事だった」と指摘。さらに、ゴールキーパー川島永嗣選手のプレーについて「集中して処理していた」と評価した(共同)。
FIFAレポートも評価「デンマークを超えた冷静な日本の試合運び」- 産経新聞(2010年6月25日)
 南アW杯で、FIFAは毎試合終了後に公式サイトに戦評を掲載しているが、日本−デンマーク戦について、戦評は「デンマークを超えた冷静な日本の試合運び」と紹介した。
 レポートでは、さらに「日本にとってデンマークを打ち負かすのは、本田圭佑と遠藤保仁の2つのワンダフルフリーキックと岡崎慎司のゴールで十分だった」として、「この勝利で、デンマークの望みを絶ちきった」と論評した。
 この日の試合では、日本がシュート数が15本だったのに対し、デンマークはそれを上回る19本。しかし、枠内に飛んだのはデンマークが7本(37%)だけだったが、日本は10本(66%)と決定力が光った。
 さらに、ボールポゼッションは日本が43%、デンマークが57%。ファール数は日本が圧倒的に少なく、デンマークは23回だったのに日本は10回しかなかった。
 反則が少なく、相手のシュートはDF陣のブロックで防ぎ、枠に飛ばせない。そして、攻撃陣が決めるときはちゃんとゴールを決める。
 FIFAが「冷静な試合運び」と評したほど、試合巧者が日本チームだったことは、こうしたデータにも裏打ちされている。
 レポートは、3点目の岡崎のゴールをアシストした本田についても触れており、「巧みな脚さばきだった」と評価した。
 朝日新聞の編集委員・森本俊司氏のサッカー歴やサッカー指導歴は知りません。
 しかし、ワールドカップニ本大会で出場したキャプテン・カーン氏は、決勝トーナメントで大活躍し、ドイツチームを準優勝に導きました。そのカーン氏の評論と森本氏の評論とどちらが表現力が豊かでしょうか。
 わっカーの専門家集団・FIFAレポートも「反則が少なく、相手のシュートはDF陣のブロックで防ぎ、枠に飛ばせない」など「冷静な試合運び」と評論しています。
 朝日新聞の意図は理解できますが、その選手を誤ったようです。こういう選手こそ評論から退場すべきです。
長谷部選手「今度、岡田さんと食事に行きたい」-朝日新聞(2010年7月1日)
 ゲームキャプテンの長谷部(ウォルフスブルク)は、チームへの感謝の言葉を繰り返した。
 ゲームキャプテンに指名されたのは大会直前。26歳は「こんなに名ばかりのキャプテンはいない。やってることは何も変わらなかった」と謙遜するが、大役を全うした。2列目からの飛び出しや体を張った守備で中盤の要として貢献。パラグアイにPK戦で敗れた直後には、整列をうながす場面もあった。「もっと試合をしたかったのが本音。岡田監督は、監督と選手の間柄では食事に行ったり飲みに行ったりしない方なので、今度一緒に行きたい」と笑顔だった。
 多くの後追い記者は、「選手が一丸となった」ことを大活躍の原因としています。そんな単純な解説を臆面もなく記事にしています。
 それならば、退陣などと大騒ぎする前に、「選手として一丸となれ!」とキャンペーンを張るべきでしょう。

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