標高1000メートルの岩山に石灰岩でできた白い城なので ノイ(新しい)シュヴアン(白鳥)シュタイン(石) |
パルジファル |
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王が熱望した歌人の間は5階 |
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階段の天井 | |||||||||||||||||||||
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歌人の間 | |||||||||||||||||||||
歌人の間の壁には、「パルジファル」が描かれています。 | |||||||||||||||||||||
「パルジファル」(Parsifal)を紹介します。 | |||||||||||||||||||||
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第1幕 第1場 森 ピレネー山脈モンサルヴァート山の北側には、聖杯(最後の晩餐の聖杯)を護る聖杯(グラール)城がある。それは、先代・ティトゥレル王(アンフォルタスの父)が、天使たちから、「キリストの最後の晩餐に使われた聖杯と、十字架上の救世主キリストの脇腹を突いた(聖なる)槍とを守るように」と命じられた。「槍」による傷から流れ出たキリストの血は「聖杯」で受け止められたという故事による。 ピレネー山脈モンサルヴァート山の南側には、異教徒の魔法使い・クリングゾルが住んでいる。クリングゾルは、昔は敬虔な者であったが、性欲を克服できずに、自分自身を去勢することで純潔を得ようとする。それでも、クリングゾルは、聖杯領に受けいれられない。そこで、クリングゾルは、魔法の城と花園とをつくり出して、花の乙女たちに聖杯騎士を誘惑させ、槍と聖杯を奪い取ろうとする。 クリングゾルの手先・クンドリは、眠りによって二つの世界を往復する。クンドリは、かつて、十字架上で苦しむキリストを嘲笑したために、聖杯領では贖罪者として、異教の花園では誘惑者として、永遠の罰を受けている。クンドリの誘惑に負けぬ男のみが、クンドリの罪を贖える。それでクンドリに死が許される。 | |||||||||||||||||||||
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聖杯を盗もうとした異教徒の魔法使い・クリングゾールは、聖杯(グラール)城の南側に魔の城を築きました。クリングゾールは、魔法使いの手先・クンドリを使って騎士たちを誘惑する。怒ったアンフォルタス王が出陣する。しかし、逆に、アンフォルタス王は、美しいクンドリに魅惑される。 その間に、クリングゾールは、聖なる槍を盗み、その槍でアンフォルタス王に重傷を負わせる。 アンフォルタス王は、聖杯(グラール)城の老騎士・グルネマンツに助けられるる。アンフォルタス王の傷はどんな手当にもふさがらない。その傷の苦しみで聖杯の儀式もできない。 いまや、アンフォルタス王は、「同情によって智を得た清らかな愚者だけがこの苦痛から救える」という神のお告げをひたすら信ずるのみである。 | |||||||||||||||||||||
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そこへ、白鳥を射落とした若者(実はパルジファル)が連れて来られる。グルネマンツは、その若者に名を聞く。その若者は自分の名すら知らない。そこで、グルネマンツは、その若者に「お前の知っていることを話せ」と言う。その若者は、母の名ヘルツェライデ(心の悩み)と森に住んでいることを話す。 グルネマンツは、「それでは母親は心配しているだろう」と言う。クンドリが「お前の母親は死んでいる」と教える、それを聞いた若者は、怒って、クンドリの首を絞めようとする。驚いたグルネマンツは、慌ててそれを止める。その若者は、気を失いかける。クンドリは、水を汲んできて飲ませる。 グルネマンツは、その若者に「お前があの清らかな愚か者であるかどうか見せてくれ」と言って、聖杯(グラール)城へ連れていく。 | |||||||||||||||||||||
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第2場 聖杯(グラール)城の大広間 先王ティトゥレルの声がアンフォルタス王に「聖杯の覆いを取って儀式を始めるよう」命じる。聖杯がきらめき、王はパンとぶどう酒を騎士たちに配る。 グルネマンツは、その若者もこの席に参加させる。しかし、その若者は、無言のまま立ち尽くす。聖餐が終わって騎士たちは静かに退出する。王は聖餐には加わらずに傷を押さえて苦しんでいる。少年らが王を担架に乗せて聖堂から出て行く。 その様子をじっと見ていた若者は、心臓を押さえ苦しむ。グルネマンツは「どうした?」と問う。その若者は、何も語らない。グルネマンツは、がっかりして、その若者を城から追い出す。 | |||||||||||||||||||||
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第2幕 クリングゾールの城(魔法使いの城) 荒野の中にあるクリングゾルの魔の城である。クリングゾルは、深い眠りについているクンドリを呼び起こす。クリングゾルは、クンドリに、「聖杯城を追い出され、魔の城に侵入した最も危険な愚者(実はパルジファル)を誘惑し堕落させるよう」に命じる。クリングゾールが「若者の童貞さえ奪えば意のままになる」と叫ぶと、あたり一面は美しい花園となる。 その若者(実はパルジファル)は、襲いかかる兵士(誘惑されたした聖杯騎士団)をなぎ倒して進む。 その若者が魔法の花園に着くと、美しい乙女らがその若者を取り囲む。美しい乙女らは、「私たちは花の精で、愛してくれないと枯れてしまう」と誘惑する。 美しい乙女らの魅力に無関心な若者、その場を去ろうとする。美しい姿のクンドリは、その若者に「パルジファル、とどまりなさい」と呼び止める。その瞬間、その若者は母に呼ばれたパルジファルという名前を思い出す。 | |||||||||||||||||||||
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魔法使い・クリングゾルの手先・クンドリは、「あなたの父親のガムーレットが戦死した時、まだ母の胎内にいたあなたに『清らかな愚者』という名を与えるように遺言したこと」「母親はあなたが父と同じように戦場に行かずに済むようにと、荒野で愚か者に育てたこと」「あなたが旅に出たので、あなたの母は死んでしまったこと」などを話す。 若者・パルジファルは、母の愛を知らずにいた自分の愚かさを後悔する。クンドリは、「その苦痛を和らげるのは愛のくちづけだけだ」と熱烈なくちづけをする。その時、若者・パルジファルは、聖杯城で見たアムフォルタス王の苦悩と罪に気がつく。 クンドリは、さらに、「以前、私は、救世主キリストを辱めたために、涙をこぼせないなど、永遠の罰を受けている」と言う。パルジファルは、「アンフォルタスへの道を教えれば、そなたにも救済を与えよう」と答える。しかし、クンドリは「私に身を預けるならば道は教えよう」と誘惑する。 パルジファルは「消えよ汚れた女!」と叫ぶ。クンドリはクリングゾールに助けを求める。城壁に現れた魔法使いクリングゾールは、パルジファルに向かって槍を放つ。しかし、放った槍はパルジファルの頭上で静止する。パルジファルが槍をつかんで十字を切ると、魔法が解けて、城は崩壊し、花園は荒野に変る。 | |||||||||||||||||||||
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第3幕 第1場 グラールの領城 聖杯(グラール)城の老騎士・グルネマンツは、クンドリを助ける。 そこへ甲冑に身を包んだ若者がやって来る。グルネマンツは、客人として迎える。ただ、「聖なる日なので武器を外すように」と求める。その若者は、甲冑を取り、槍を突き立て祈る。グルネマンツは、その若者がかつての阿呆な少年であり、突き立てた槍が聖槍である事に気がつく。 パルジファルは、ここまでの苦労話をして、「私は、アンフォルタス王を救済するために来た」と話す。それを聞いたグルネマンツは、「王は、今、死を望んで不死の聖杯を拝領することを拒んでいる。そのため聖杯守護の騎士らも力を失っている」と話す。 パルジファルはは、グルネマンツに洗礼をしてもらう。そしてクンドリに足を清めてもらう。パルジファルは、最初の務めとしてクンドリに洗礼を行う。クンドリは、永遠の罰から解放されて、初めて涙をこぼす。 グルネマンツとクンドリは、パルジファルに聖杯の騎士のマントを着せて、ティトゥレルの葬儀に向う。 | |||||||||||||||||||||
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第2場 聖杯の殿堂 アンフォルタス王は、先王ティトゥレルの遺骸に祈りを捧げ、聖杯の覆いを取ろうとする。しかし、「もし聖杯を拝んだならば、苦痛を抱えたまま、さらに生き長らえねばならない運命となる」と気付き、「我に死を」と叫ぶ。 パルジファルが現れて聖槍をアンフォルタス王の傷口にあてる。すると傷はたちまち癒える。 パルジファルは、新しい王となることを宣言し、聖杯を取り出す。聖杯は輝き、天上から一羽の白い鳩がパルジファルの頭上に舞い降りる。 クンドリは、呪いから解放されて、死を許される。 | |||||||||||||||||||||
ノンシユヴァンシュタイン城内の写真については、『ワールドガイド・ドイツ』(JTB)などを参照しました。 |