料理のレシピが100ページ余り出来た頃に、師匠から「パソコン教室の前座をやってみないか?」と言われた。私は驚きながらも、そこはB型のイケイケ人間で怖いもの知らずである。「なんとかなるさ」と大胆にも引き受けてしまった。そして師匠とは前日に、私のするべき事を1・2分打ち合わせをしただけである。マッタク、引き受ける方も引き受ける方だが、頼む方も頼む方である。
さて、いよいよパソコン前座デビューの日である。私はマウスを操作しながら2・3分で終わる予定であった。ところが教室の方々は誉め上手におだて上手。私は拍手にすっかりのぼせ上がって、10分余りもしゃべっていたそうだ。役者は3日したら止められないというが、私は1回ですっかり病みつきになってしまった。そして次回にはアレもしたい、コレはどうだろうか?と次々としたいことが湧きあがってくるようになり、更にパソコンの前から離れられなくなった。
生花を教えていた亡父が、「自分は若いまだ修行時代から弟子をとっていた。」と、話していたのを思い出す。それは、父の師匠に「教えながら覚えるのが一番の近道だ。弟子をとれ。もし分からないことを聞かれたら、即答は避けてすぐに儂の所へ聞きに来い。」と言ってもらったそうだ。それで「夜遅く何回も聞きに行ったものだ。」 と懐かしそうに言っていた。私にも早く弟子をとるように促していたが、何をしても中途半端で、生花の方もサッパリものにはならなかった。でも、教えながら覚えるのが近道だ というのは真実だなと今頃思う。
こういうチャンスを与えてくれた我が師匠に感謝。それ以上に、頼りない前座に温かい拍手で応援してくださる教室の方々にお礼を言わなくてはいけない。
来月に続く
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