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エピソード

267_04

労働組合法と日教組
 今、日教組はどうなっているのでしょうか。
 私が高校の教師になった時の話です。若さのエネルギーを発散して色々なことに挑戦しました。ある時、校長が私を校長室に呼んで、机の中から1通の封書を出しました。表には墨で黒々と「辞職願い」と書いてありました。「私は君を守ってやるが、守れない時もある」と説教されました。以後、私の行動には責任を伴うようになりました。
 私が教師になった頃、安保闘争の余波もあり、組合活動は活発でした。私も学校や地域の青年部長・分会長などを歴任しました。管理職とも激論を交わしたり、職員会議では、何度も衝突しました。しかし、納得がいく趣旨説明には賛成し、協力もしました。その時の校長さんらと今も交流があります。理論武装には理論武装で応える。それが学校現場の活性化につながり、今の生き方になったと話す校長もいます。
 最近はどうでしょうか。納得させる説明が出来ず、反論に対応できない校長は、人事権を濫用して、自己保身を図ります。イエスマンのゴマスリが周囲を取り巻きます。こんなことで、日本の教育は大丈夫なのでしょうか。
 息子が少年野球に入り、6年生になりました。私は、選手40人、監督・コーチ・役員10人、保護者80人のチームの父兄代表に選ばれました。その時の体験では、文句を言う人ほど、熱心だったということです。納得してもらうまで大変でしたが、納得すると、彼らは何倍も協力を惜しまない人たちでした。貴重な存在でした。
 学校での体験です。私も、40歳代後半、若い頃は想像もしなかった役職に着くようになりました。色々な異見をまとめるのに、膨大なエネルギーを消耗しました。厳しい批判をする先生がいないと会議はスムースに進みます。最初の頃は、欠席を望んだものです。その先生を納得させるために、少年野球の時のような理論武装と情熱をそそいだものです。今の私があるのは、このような先生方がいたからだと思っています。
 部下の批判が怖くて適切に対応できない人は、管理職になるべきではないと思います。
 ここに、文科省初等中等教育局初等中等教育企画課が調査した日教組の統計があります(平成17年10月1日現在)
 この調査は、昭和33年(新採用教職員は昭和35年)から毎年10月1日現在で実施している。今回の調査結果の概要は次のとおり。
1 教職員団体全体の組織率は、昭和51年以降連続して低下してきている。
 今回の調査においてもさらに低下し、これまでの最低となる47.5パーセント(前年48.5パーセント)となり、30年連続の低下となった。
 このうち、日教組の組織人員は約304,000人(前年約310,000人)となり、前年よりも約6,000名減少した。組織率は29.5パーセント(前年29.9パーセント)となり、前年よりも0.4パーセント低下し、組織人員及び組織率ともにこれまでの最低となった。
 一方、非加入者の占める割合は、52.5パーセント(前年51.5パーセント)となり、これまでの最高となった。
2 新採用教職員の教職員団体への加入率は、25.1パーセント(前年25.2パーセント)となり、3年連続して低下し、これまでの最低となった。
 このうち、日教組への加入人員は、約4,900人(前年約4,500人)となり、前年より約400名増加し、加入率は19.8パーセント(前年18.9パーセント)となり、前年より0.9パーセント上昇した。
1958 1965 1975 1985 1989 1990'3 1990 1991 2000 2005
日教組 86.3% 63.3 55.9 49.5 46.7 36.9 35.7 35.2 31.8 29.5
新規加入 76.9% 55.2 53.1 30.9 20.2   19.6 20.0 18.4 19.8
全教           8.8 8.7 10.7 8.8 7.3
1990(平成元)年12月、日教組が分裂しました。
1991(平成3)年4月、日高教左派が全教と統一しました。
*新規加入は、新採用教員の日教組への加入率です。

教職員団体の組織状況

調査年月日 平成17年10月1日 平成16年10月1日 平成15年10月1日
組織別教職員総数 1,031,248 1,037,345 1,045,480
日教組 303,856 29.5 309,913 29.9 317,781 30.4
全教 75,0057.3 7.3 78,7917.6 7.6 81,7877.8 7.8
日高教 11,5981.1 1.1 11,9981.2 1.2 14,1251.4 1.4
全日教連 23,2372.3 2.3 23,8672.3 2.3 24,3372.3 2.3
全管協 3,5150.3 0.3 3,4840.3 0.3 3,5930.3 0.3
その他の組合 72,2927 7.0 75,1367.2 7.2 78,4547.5 7.5
小計教職員団体合計 489,50347.5 47.5 503,18948.5 48.5 520,07749.7 49.7
非加入 541,74552.5 52.5 534,15651.5 51.5 525,40350.3 50.3

日教組組織率・新規加入率(%)
  1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
全体組織率 81.8 63.3 56.2 55.9 52.0 49.5 35.7 33.7 31.8 29.5
新規加入率 76.9 55.2 51.2 53.1 37.2 30.9 19.5 18.9 18.4 19.8
 山梨県、静岡県、愛知県、新潟県、福井県、三重県、兵庫県、大分県などで比較的高い組織率が高い。
 和歌山県、愛媛県など、ほぼゼロの県もあります。
 栃木県、京都府のように、100人前後を組織する府県もある(ウイキペディア)。
全国学力テストの成績は日教組の組織率と関係がある???
 今年(2008年)も全国学力テストが実施されます。
 その目的から、現在までの経緯、課題などを紹介します。
 全国学力テストの目的は何でしょうか。
 文部科学省は「全国学力・学習状況調査の概要について」と題して、調査の目的と特徴を列記しています。
<調査の目的>
○国が全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から各地域における児童生徒の学力・学習状況をきめ細かく把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
○各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
○各学校が各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てる。
<調査の特徴>
○学力の状況のみならず、生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査を実施し、学力とその相関関係等を分析する
○教育委員会、学校等に対して、それぞれの役割と責任に応じ、教育施策や教育活動の改善に必要な調査結果の資料を提供する
○学力や学習環境等の状況をきめ細かく把握し、教育施策や指導の改善につなげるための調査であり、序列化や過度の競争をあおるものではない
 読売新聞(2007年4月21日)は、学力テストの目的と経過を次の様に説明しています。
 今回は、国全体の状況把握だけでなく、教育委員会や個々の学校が課題を把握して、改善を図ることも目的とされる。
 国による全国学力テストの歴史は1956年の全国学力調査までさかのぼる。
 61年からの調査も、国が公表したのは「北海道・東北」「関東」といったブロックごとの平均点までだった。しかし、実施要綱で都道府県自身の結果公表の是非までは示しておらず、結果的には順位を競い合い、テスト準備が公然と行われるようになった。香川県と愛媛県がトップ争いをしたことはよく知られている。
 毎日新聞(2004年11月3日)は、全国学力テストに裏の顔を次に用に伝えています。
 中山成彬文部科学相は11月2日、子どもの競争意識を高めるため全国的な学力テストを実施したいとの意向を小泉純一郎首相に伝えた。「ゆとり教育」から「学力重視」への路線転換を進める文科省の姿勢の延長線上にあるとみられる。ただ1966年度に廃止された全国学力テストの復活には省内でも否定的な意見が多く、実現の可能性は不透明だ。
 首相と会談した際、手渡したメモの中に記していた。メモは「よみがえれ日本」と題し、中山文科相の持論をつづっている。会談後、文科相は「もう少し競い合う心というか、確かな学力と豊かな心と健やかな体、プラスして挑戦する精神が必要だ」と述べた。
 中山文科相は10月にも、学力テストの意義を会見で説きつつ「学校への影響や負担、調査結果の活用方法、継続的な実施の確保も考えて総合的に検討する必要がある」と述べていた。省内で具体的検討は進んでいない。
*解説14:2004年11月段階では、文科省も消極的だったことが分ります。2006年9月26日に安倍晋三内閣が誕生しました。「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長が安倍晋三氏で、その後身の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会長が中山成彬氏です。一気に「テストの成績を子どもに競わせることが学力を向上させる」目的の学力テストが実施されるようになった背景が分ります。
 文科省は、以前の学力テストの失敗を教訓にしたのか、テストという表現を使わずに、「全国学力・学習状況調査」として調査という表現を行っています。競争になると、当然1位が出て、47位が出るのは当然です。都道府県を序列化し、都道府県内の各小中学校を序列化します。その結果、先生をはじめ学校の関係のある者は馬車馬のように上位を目指して、煽られます。やがては、学校選択制が導入され、最後は学校の統廃合が待ち受けています。
 こうした動きを止めるのが、集団力学です。労働組合です。しかし、下記の表から見るように、その元気は残っているのでしょうか。
 産経新聞の政治部外務省兼遊軍担当の阿比留瑠比氏は、自身のブログに「全国学力テスト結果と日教組組織率に関連はあるのかないのか」(2007年10月25日)と題して、次のような記事を発表しています。
 「さて、その中で私が注目していたのは、学力テストの成績とその都道府県の日教組の組織率との関連性がどこまであるか、ということでした。果たして、日教組が強い県の教育効果・事情はどうなっているのだろうかと知りたかったからです。それで、今朝の産経の表と、教育委員会月報(平成18年12月号)に掲載されている都道府県別教職員団体加入状況のグラフとにらめっこして見てみたのですが…。
 結論から言えば、成績と日教組の組織率とが関係するかどうかは「どちらとも言えない」(元神奈川県教組委員長の小林正・元参院議員)ということのようです。…秋田県のように、日教組の組織率が5割を超えているのに成績はトップクラスという県もあり、一概には言えないようでした。地域性が大きいのでしょうね。
道府県 組織率 小学校順位 中学校順位
北海道 50%超 46位 44位
岩手県 40%超 10位 39位
秋田県 50%超 1位 3位
神奈川県 60%超 27位 34位
新潟県 70%近 17位 22位
山梨県 80%超 29位 20位
静岡県 60%超 14位 7位
愛知県 約60% 22位 9位
三重県 約80% 42位 29位
大阪府 30%弱 45位 45位
兵庫県 60%近 23位 27位
岡山県 約60% 39位 38位
福岡県 約30% 38位 40位
大分県 約65% 44位 32位
沖縄県 約35% 47位 47位
*解説15:文科省によると、調査の目的は、都道府県別に序列化したり、日教組との関係を調査するものではありません。現状を把握・分析し、施策・授業を改善するとしています(下表)。
・域内の児童生徒が必要な学力を身に付けているか 施策・授業の改善
・全国や都道府県内の状況と比べてどうか 把握・分析
・学習状況や生活習慣等を含めどこに課題があるか

 産経新聞の記者でも、資料を恣意的に扱わない人もいるんだなーと感じました。
 産経新聞の記者で、「正論」(産経新聞発行)の編集部に安藤慶太という記者がいます。安藤氏は「正論1月号」(2008年)で、「子供の学力を蝕む元凶は教組支配である」と題して、学力テストの序列化を行い、それを日教組の組織率と関係があるとして、執拗で根拠のない労働組合批判を行っています。同じ産経新聞の阿比留瑠比氏が「成績と日教組の組織率とが関係するかどうかは”どちらとも言えない”」と分析しているのに、安藤氏は面白い記事を書いています。
 国語、算数の合計点で小学校のトップは秋田県、中学のトップは福井県であり、2位以降を順に挙げていくと小学
校は福井、香川、青森、富山、京都、東京、広島、鳥取、岩手となる。中学の2位以降は富山、秋田、石川、岐阜、山
形、静岡、香川、愛知、宮崎と続く。
 逆に低学力の都道府県を挙げよう。最下位は沖縄で小中、国語、算数ともに47都道府県中47位だ。小学校ではそれに北海道が続く。そして下から大阪、大分、徳島、三重、滋賀、山口、岡山という順番だ。中学で下から二番目は高知。大阪がこれに続き、北海道、和歌山、滋賀、宮城、福岡となる。
 データを見ていると、小学校では上位にありながら、中学では急に順位を下げているところがある。岩手、千葉、東京、鳥取などである。
 このうち、東京、千葉は中学受験の影響であることがデータから読み取れるだろう。
 逆に小学校は振るわないのに中学では学力順位を上げた都道府県もある。中学卒業時点では伸びている典型的な例としては愛知、山口、徳島、宮崎、群馬であり、静岡、岐阜なども含めてよいと思う。
 地元の公立高校がそこそこの進学実績を残している場合、大半の子供達にとって受験は高校受験が初めてとなる。
 さて学力低迷県について見ていこう。
 日教組の組織率との相関関係はあるか。秋田県などは組織加盟率では数字が高いので、組合加盟率が高いからと言って学力が低くなるとは必ずしもいえないようだ。「日教組王国でも、秋田の場合は、ただの互助組合。組合加盟率とのきれいな整合性がないのはこのためで、こうした都道府県はほかにもある」(文科省関係者)という。
 低学力の双璧は「組合天国」として、北海道(小46位、中44位)と沖縄(小中共に47位)が指摘される。勤務評定を行っていなかったのは、この2県と福岡県であるが、福岡も小学校38位、中学校40位と小中ともに奮わなかった。
 このほか、三重や兵庫などもいずれも日教組が元気な地域だ。兵庫は小学校で23位、中学が27位で、三重は小学校42位で中学は29位だった。また学力低迷県のうち、高知や和歌山などは全教の拠点でもある。
*解説15:産経新聞の安藤慶太氏は、「沖縄・北海道・福岡は、日教組の組織率が高い」と指摘するが、その数字がないことを先ず指摘しておきたい。同じ産経新聞の阿比留瑠比氏が指摘した組織率を見ると、北海道は50%超、沖縄は約35%、福岡は約30%である。大阪は組織率約30%で順位も下位である。
 逆に秋田は日教組王国であるが「互助組合」、つまり御用組合なので、整合性がないという。私が住んでいる兵庫県も御用組合であるが、安藤氏からすると組織率と整合性があり、順位は奮わないらしい。再度、47都道府県の組合の性格を「正確」に調査されてから、記事にして欲しいものです。
 兵庫県には、有名な私立中高一貫の学校もあります。それに負けないくらい元気な公立高校もあります。それでも中学が27位です。安藤氏の分析は、教育の現場を知らない数字のみをこねくりまわす空論・暴論です。
 私の体験から、学力について、発言させてもらいます。
(1)私の小・中学生の頃、非常に優秀な生徒がいたのは、江戸時代に開墾された地域でした。土地が狭く、専業農家では食えないので、勉強してサラリーマンを目指す人がたくさんいたからです。
(2)私の小・中学生の頃、非常に優秀な生徒がいると評判が高かったのは、隣の市の駅周辺を校区にする学校でした。大企業に勤めるサラリーマンがたくさんいたからです。彼らは「子供に残せる土地や財産はない。学歴しかない」とよく言っていたそうです。この学校も組織率は100%ありました。
(3)私の教師時代の話です。ある地区の小学校と中学校の先生になりたくないという話を聞きました。ある地区にある大企業のサラリーマンは東京から一家転住で来ています。いずれ東京本社に帰ります。田舎の小中学校のレベルでは、東京に帰ったら、子供たちが皆についていけないというので、非常に高い学力を要求されていたのです。この学校も組織率は100%ありました。
*解説16:以上のことから分る様に、学力は組合の組織率とは関係ありません。その地域の歴史・文化・経済など複合的な要素があるのです。安藤慶太氏のような単純化・短絡化・単細胞的に表現すると、明解で、分り易く、迎合的に面白いでしょう。しかし、社会とは複雑・怪奇なものです。だから、本当は面白いのです。
 ちなみに、産経新聞の労働組合を調べてみました。産経労組はありましたが、新聞労連から脱退し、団交権も罷業権もない御用組合ということでした。産経新聞の使用者は、1994年1月、リストラと闘うために反リストラ産経労組を結成した松沢弘委員長(産経新聞社経済部記者)を懲戒解雇しました。この時、安藤慶太氏は、どう対処したのでしょうか。
10 *解説17:安藤慶太氏の単純で短絡で単細胞の分析記事を読んで思いついたことがあります。
(1)安藤氏は、もともと単純で短絡で単細胞な表現者だったのでしょうか。
(2)そういう人しか産経新聞社は採用しないのでしょうか。
(3)産経新聞社に入社したら、そうなったのでしょうか。
(4)産経新聞社に残りたいため、そういうフリをしているのでしょうか。
11  この記事は約1週間かかって書き終えました。書き終えた日が偶然、第2回全国学力調査の日(2008年4月22日)でした。調査前や調査翌日(23日)の新聞記事には、次のような内容が掲載されていました。
(1)滋賀県教委が全国学力テストの類似問題を作成し、本番間近になって市町教委に活用を促した問題で、県総合教育センターのホームページ(HP)の問題掲載ページのアクセス数が急増していることが21日分かった。一部は、22日実施のテスト前対策に利用するためとみられる。同テストについては、普段の学習習熟度を測る狙いがあり、民間が発行する参考書も含めて、事前対策が問題視されている(京都新聞2008年4月21日)。
(2)神戸市長田区の私立五位の池小の女子児童(11)は「算数が苦手なので結構勉強しました」と話していた(神戸新聞2008年4月23日)
(3)「競争主義生み出す」と題して、竹内常一・国学院大名誉教授(教育学)の話を掲載しています。
 教育行政を自己評価するためにしても、生徒たちの力の付き具合を調べるにしても全員を対象にして調査をする必要はない。全員を対象にするのは、各学校や各クラスの状況を文部科学省が点検するのが目的だろう。教師の人事考課や学校選択制が導入され、今の学校には競争主義が入り込んでいる。文科省の調査を頂点としたテスト漬けの
状態は、さらなる競争主義を生み、テスト対策の授業が増えて学力格差を広げている(共同通信2008年4月23日)。
(4)今回は、昨年の調査で成績のふるわなかった自治体を中心に、準備を重ねる動きが広まっていた。ある高知市立中は家庭学習用の数学ドリルを1月から導入し、全国調査前日の21日には「問題やマークシートに慣れさせる」とし
て、昨年の数学と国語の問題の一部を解かせた。沖縄県沖縄市の市立小も、昨年の問題を解かせた。16日からの家
庭訪問の期間中も、担任以外の教師がその日家庭訪問のない6年生に三角形の面積など基本問題の特別授業をし
た(神戸新聞2008年4月23日)。
*解説18:以上見たように、日教組とは関係なく、個人であったり、学校であったり、教育委員会が色々な立場・思惑で叱咤激励していることが分ります。2008年度の結果も判明します。
12  朝日新聞(2008年4月5日)は、「日本の教師は信じられる」として、杉並区立和田中学前校長の藤原和博氏を紹介しています。
 「よのなか」科の授業を先生と一緒にやることもありました。でも、校長になった5年前は、何か提案すると一部の先生たちから反発されました。教育界の外の人からも、「保守的で苦労しますよ」とか、「先生の反発が大変でしょう」とか言われてね。
 前例を変えるスピードが速すぎると感じたみたい。僕は提案したら翌週には具体化し、なるべく早く実現する。先生たちの感覚だと、3年かけるところを3週とか3カ月でやるから戸惑ったんだろうな。でも、生徒には「今」しかないし、僕も任期があるから悠長ではいられない。
 校長になってすぐ、校庭に芝生をと提案して猛反発を受けた。他校の例で管理が大変といううわさが流れたこともあって、職員会議ではけちょんけちょん。そこで、企画書を練り直し、町内会に管理を手伝ってもらうことにした。町会長の覚書まで取って、「先生たちには一切、負担をかけないから」と通しました。
 「反対するなら対案を出してほしい」と迫って、次々と提案を実行した。3カ月で「この人は言い出したら止まらない。反対だけしてもダメだ」という理解が定着していったんだね。そもそも改革はすべて生徒のため。教師は生徒のためになることには意外と反対しないんです。
 自分中心で常識のない親への対応をすべて僕が引き受けたのも大きいと思う。地域本部の創設も、先生の負担を減らして授業や部活指導に専念してもらうためだった。
 日本の教師を信じた方がいい。7割以上は、成績4より上のまじめな人たちだと思いました。だからこそ、校長の姿勢が大事なんですよ。
*解説19:なんでもそうです。お互い信頼することから、出発できるのです。
13  追記
 最近、ほとんど読むことのなかった週刊新潮(2008年5月29日号)の記事を飛行機の中で読む機会がありました。テーマは「産経新聞だけじゃない 経費節減でサラリーマンはつらいよ」というものです。
 「産経新聞社は今年4月から”新しい時間管理と超勤制度”を導入した。”今回の新制度導入は、ともすれば長時間労働になりがちな新聞社で社員の健康を守り、ワーク&ライフバランスを重視するとともに、コンプライアンスを遵守し、
社員個々の残業時間に応じてより正確に残業代の支払いを目指すものです”(産経新聞広報部)。
 広報部の話を立派な建前です。
 「裁量労働の記者などはこれまで一律だった手当を今後は残業時間に合わせて払う、事務、印刷系などにもちゃんと払うという、まことに結構な制度だが、会社側は残業代削減30%の目標を掲げているだけに、社員は戸惑いを隠せない」。
 本音は残業代削減30%だったのでしょうか。
14  それに対して、産経新聞社会部遊軍記者の池田証志氏は産経新聞のWeb版ブログで、3回に分けて反論しています(2008年5月23〜25日)。
 「同記事には、”会社側は残業代削減30%の目標を掲げているだけに、社員は戸惑いを隠せない”と書かれていますが、そんな目標はありません。
 ”残業時間を30%削減する”という目標はあります」。
 ”残業代削減30%”は”残業時間を30%削減”とは、表現は違いますが、本音は同じことですよ。
 池田氏は、反論することに注意が集中したのか、「弊社はご存じの通り、マスコミ内では給与が低いので、限られたパイを公正に分け合うことで納得性を確保したいので、新制度を導入した次第です」とも書いています。一般の人と違い、学校の先生やお医者さん、新聞記者などには、勤務時間があってないのと同じです。
 弊社とは、当然、産経新聞社のことです。産経新聞社は「マスコミ内では給与が低い」ので、低い給与を公正に分け合うのが目的だと強弁しています。産経の傑作集の1つで、低い労働条件を脱して、人間的な生活をするために組合があるのです。御用組合の産経には、団結して、良識ある記事を書くという良心もないのでしょうか。
 自分を守ることも出来ない人が、他人に説教をする空しさをしみじみと感じました。

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