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エピソード

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2007年福田康夫内閣〜2008年麻生太郎内閣
 ここでは、その後の小泉劇場と郵政民営化を麻生政権を中心に検証します。
 麻生太郎氏は、以下の表を見ると、5代の総理大臣に渡って要職を経験していることが分かります。
 麻生太郎氏は、サラブレッド、大企業の経営者、大臣・幹事長などを経験いているにもかかわらず、指導者として朝令暮改を繰り返し、指導者として「そこまで言っちゃ、おしまいよ」発言を繰り返しています。経済が順調で、官僚機構が機能しておれば、「お笑い」で済ませられますが、ミゾウユウでなない未曾有の国難には、大丈夫なのか検証する必要があります。
麻生太郎氏の要職経験
役  職 総理大臣
1996 11 経済企画庁長官 橋本龍太郎
2001 経済財政政策担当大 森 喜朗
政務調査会長 小泉純一郎
2003 総務大臣 小泉純一郎
11 総務大臣 小泉純一郎
2005 10 外務大臣 小泉純一郎
2006 外務大臣 安倍晋三
2007 幹事長 安倍晋三
2008 幹事長 福田康夫
 2007(平成19)年3月21日、麻生太郎氏は、長崎県時津町の講演で、日本独自の中東和平外交として、ヨルダン渓谷の開発を進める「平和と繁栄の回廊」構想に触れて、「米国人にできないことを日本がやっている。日本人というのは信用がある。青い目で金髪だったら多分駄目よ」とか、「われわれは幸いにして黄色い顔をしている。そこ(中
東)で搾取をしてきたとか、ドンパチ、機関銃撃ったとか1回もない」と演説しました。
 7月19日
、麻生太郎外相は、講演で、国内外の米価を比較する例え話の中で「7万8000円と1万6000円はどちらが高いか。アルツハイマーの人でもわかる」などと発言しました。選挙戦に突入しているにもかかわらず、閣僚から命取りになるような発言が続発します。「安倍内閣の緊張感のなさ」のなせる業(ワザ)と人々は嘲笑しています。
 7月20日、麻生太郎外相は、鳥取県倉吉市での演説で、「酒は『きちがい水』だとか何とか皆言うもんだから、勢いとかいろんなことありますよ」と演説しています。
 7月22日、産経新聞の世論調査によると、安倍内閣の支持率は29.1%で、初めて30%以下となりました。
 7月29日、第21回参議院議員選挙が行われました。自民党は27議席減の大敗でした(資料1)。
 8月27日、安倍改造内閣が発足しました。総務大臣に増田寛也氏、法務大臣に 鳩山邦夫氏、外務大臣に町村信孝氏、財務大臣に額賀福志郎氏、文部科学大臣に伊吹文明氏、厚生労働大臣に舛添要一氏、農林水産大臣に遠藤武彦氏、経済産業大臣に甘利明氏、国土交通大臣に 冬柴鐵三氏( 公明党)、環境大臣に鴨下一郎氏、防衛大臣 に高村正彦氏、内閣官房長官に与謝野馨氏が就任しました。
 9月12日、安倍首相が突如辞任しました。
 9月23日、自民党の総裁選挙で、福田康夫氏は、安倍路線からの脱却を図り、麻生派以外の8派閥の支持を受けました。その結果、330票を獲得して、第22代総裁に選出されました(資料2)。
 福田氏陣営を「派閥談合」と批判した麻生氏は、地方票で善戦し、目標の150票を大きく上回る197票を獲得しました。
 9月26日福田康夫氏が第91代内閣総理大臣に就任しました。総務大臣に増田寛也氏、法務大臣に鳩山邦夫氏、外務大臣に高村正彦氏、財務大臣に額賀福志郎氏、文部科学大臣に渡海紀三朗氏、厚生労働大臣に舛添要一氏、農林水産大臣に若林正俊氏、経済産業大臣に甘利明氏、国土交通大臣に冬柴鐵三氏( 公明党)、環境大臣に鴨下一郎氏、防衛大臣に石破茂氏、内閣官房長官に町村信孝氏が就任しました(安倍改造内閣からの留任)。
資料1━第21回参議院議員選挙の結果
政党名 合計
議席数
非改選 当選 増減 政党名 合計
議席数
非改選 当選 増減
自民党 83 46 37 −27   公明党 20 11 +1
民主党 109 49 60 +28   共産党 −2
社民党 −2   国民新党  
資料2━各候補者の得票
立候補者 議員票 地方票
福田康夫 254 76 330
麻生太郎 132 65 197
  386
(無効1)
141 528
 2008(平成20)年2月、麻生太郎氏は、熊本市での講演で、中国製冷凍餃子中毒事件に関して、「日本の農産物に付加価値がついた」「(日本の)農産物、高いけど、うまい、きれい、加えて安全、3つきたんじゃないの?」「農協は中国に感謝しないといけない。ものすごく付加価値がついた」と演説しています。
 7月、麻生太郎氏は、講演の中で、「1930年代、ドイツではナチス党がやたら出てきて、当時のワイマール共和国に対し、度々審議拒否。しょうがない、この際ナチス党にやらしたらどうだといって、ああいうことになった」と演説しました。日本の現在の民主党とナチスを同一視するかのような内容でした。
 8月2日、福田改造内閣が発足しました。総務大臣に増田寛也氏、法務大臣に保岡興治氏、外務大臣に高村正彦氏、財務大臣に伊吹文明氏、文部科学大臣に鈴木恒夫氏、厚生労働大臣に舛添要一氏、農林水産大臣に太田誠一氏、経済産業大臣に二階俊博氏、国土交通大臣に谷垣禎一氏、環境大臣に斉藤鉄夫氏(公明党)、防衛大臣に林芳正氏、内閣官房長官に*町村信孝氏が就任しました(前福田内閣からの留任)。
 9月1日、福田首相は、麻生太郎氏に、「この難局で首相を続けることは難しいので辞めようと思う。華々しく総裁選をやって、君の人気で自民党を蘇らせてほしい」と語りました(産経新聞)。
 9月1日、福田首相が突如辞任を表明しました。
 9月1日、福田首相の辞任について、産経新聞は次のように書いています。
 年内解散に向け、福田政権に圧力をかけていた公明党も動揺を隠さない。代表の太田昭宏は「正直言って驚いている。首相として熟慮した末の判断だろう。首相の発言を重く受け止めたい」と厳しい表情のまま。
 9月3日、福田首相辞任ごの状況について、産経新聞は次のように書いています。
 麻生が政権を取れば、総裁選の勢いを利用して組閣直後に解散を打つとの見通しが強まっている。「10月14日公示、26日投開票」との情報も流れており、党内は次期衆院選に向け、臨戦態勢に入りつつある。
 9月12日、麻生太郎氏は、日本記者クラブ主催の自民党総裁候補討論会で、「経営者として申しあげさせていただけば、まず間違えていただいては困るのは、私は郵政民営化を担当した大臣ですからね、忘れないでください。私が総務大臣として担当しておりました。私が担当としてやらせていただきましたので。郵政民営化を国営に戻すかのごとき話がばらまかれているのを知っていますけれども、私はその種の話をしたことは一回もないと存じます」
 9月14日、麻生太郎氏は、名古屋駅前での街頭演説で、8月末の東海豪雨に関連し、「(豪雨が起きたのが)安城や岡崎だったからよかったけど、名古屋だったらこの辺全部洪水よ」と発言しました。これに対して、安城市・岡崎市の両市長は「未曾有の豪雨で犠牲者も出ているのに、不適切で配慮のない発言だ」と抗議文を送りました。
 9月22日、党大会にかわる両院議員総会で、麻生太郎氏が圧倒的多数で自民党総裁に選出されました。
 9月23日、新総裁に選出された麻生氏と政局を、産経新聞は次のように報じています。
 新首相となる麻生太郎氏は、大久保利通から数えれば「5世議員」ということになる。世襲議員批判など吹き飛ばしてしまうほどの華麗な家系は政界随一だ。
 「オレは生まれはいいが、育ちは悪い」。宴席などでは、こう言ってはばからない。失言も数多いのだが、それほどたたかれないのは、そうしたやんちゃな性格のおかげか。
 実力政治家になると、一晩に2つも3つも会合をこなす。そういう場合でも、麻生氏は最後に必ず、たとえ短時間でも銀座や六本木のなじみの酒場に顔を出す。
 とかく地味でパフォーマンスも苦手な福田康夫氏とは、えらく違ったイメージを持つ宰相の出現だ。
 「麻生か小沢か」。日本政治が初めて本格的に経験する政権選択選挙がやってくる。
 景気対策重視路線の麻生氏は、補正予算を成立させてからの衆院解散を考えている
 9月24日、福田内閣が総辞職しました。
 9月24日麻生太郎氏が第92代内閣総理大臣に就任しました(資料3)。総務大臣に鳩山邦夫氏、法務大臣に森英介氏、外務大臣に舛添要一氏、農林水産大臣に石破茂氏、経済産業大臣に二階俊博氏、国土交通大臣に中山成彬氏、環境大臣に斉藤鉄夫氏(公明党)、防衛大臣に浜田靖一氏、内閣官房長官に河村建夫が就任しました(前福田内閣からの留任)。
 9月24日、麻生首相は、自民党の細田博之幹事長、保利耕輔政調会長らに対し、衆院選向けの政権公約(マニフェスト)の策定を急ぐように指示し、自身の総裁選公約をもとに経済対策などを柱とする考えです(朝日新聞)。
資料3━各候補者の得票
立候補者 議員票 地方票
麻生太郎 217 134 351
与謝野馨 64 66
小池百合子 46 46
石原伸晃 36 37
石破茂 21 25
  386
(無効2)
141 528
 9月24日、「とてつもない金持ちに生まれた人間の苦しみなんて普通の人には分からんだろうな」(毎日新聞)
 9月25日、朝日新聞の世論調査によると、麻生内閣の支持率は48%、不支持率は36%でした。安倍内閣発足時の63%、福田内閣発足時の53%を下回っています。比例区の投票先は、自民36%、民主32%です。麻生首相と小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相54%、小沢代表26%で、麻生首相が圧倒しています。
 9月25日、ぶら下がり記者会見で、麻生首相は、支持率については「もっと、私は上がってくるんではないかというふうに期待をしております」と期待感をもって答え、麻生対小沢については「麻生を選ぶのか、小沢を選ぶのかという戦略を立てておったところですから、その方向で進むべきだろうと思っております」と自信を持って答えています。
 9月25日、中山成彬国土交通相は、インタビューで、次のような発言をしました(産経新聞)。
(1)成田空港の拡張が地元住民の反対などで進まなかった経緯について、反対派らによる「ゴネ得」と述べ、「戦後教育が悪く、公共の精神が欠けている」と批判しました。
(2)外国人観光客の誘致策に関連し「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないので内向きになりがち」と述べました。
(3)大分県の教員汚職事件にも言及し、「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」と述べました。
 9月28日、中山国土交通相は、相次ぐ失言の責任を取り、在任5日間で正式に辞任しました。内閣発足早々のダメージに与党の動揺は収まらない。与党内では代表質問終了日の10月3日の解散に向け、地ならしを始めており、3日解散が濃厚な情勢となってきました(産経新聞)。
 9月28日、公明党の北側一雄幹事長は、首相官邸で麻生首相と会談し、「政策を実現するには早期に国民に信を問うべきだ」と強調しました。「10月3日」を念頭に早期解散を促したとみられます(産経新聞)。
 9月30日、麻生首相は、週内解散は見送り、予算案審議と経済情勢の成り行きを見極めて解散のタイミングを慎重に判断する。補正予算案の審議入りが決まったことで、10月26日で調整していた衆院総選挙の投開票日は、11月2日以降になる見通しだ(朝日新聞)。
 10月2日、麻生首相は、衆院本会議の代表質問で、社民党の重野安正氏から日本の植民地支配と侵略への反省と謝罪を表明した村山首相談話に対する姿勢をただされると、「ご指摘の談話や小泉首相談話は、先の大戦をめぐる政府としての認識を示すもの。私の内閣でも引き継いで参ります」と明言しました(朝日新聞)。
 10月5日、麻生首相は、従軍慰安婦問題に関して、(旧日本軍の関与を認めアジア諸国に謝罪した)河野談話について、「政府の基本的立場は現在も談話をふしゅうする(踏襲)」と述べました。これはは「(とうしゅう)」の「ふしゅう」と読み間違えたものでした。
 10月5日、朝日新聞の世論調査によると、麻生内閣の支持率は41%、不支持率は42%です。衆院比例区の投票先は、自民33%、民主34%です。麻生首相と小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相52%、小沢代表20%で、麻生首相が圧倒しています。
 10月10日、麻生首相は、月刊誌『文芸春秋』に寄稿した論文のなかで、「臨時国会の冒頭、所信表明演説と各党の代表質問が終わった時点で衆院解散に踏み切る考えだった」と冒頭解散を念頭に、次期総選挙を「私と小沢氏のどちらがそれに足る国のトップリーダーなのかを国民に審判していただく戦いである」と麻生対小沢戦力を書いています。さらに「私は逃げない。勝負を途中で諦めない」とも書いています。
 10月18日、自民党の大島理森国会対策委員長は、青森県八戸市で、衆院解散について、政府・与党が27日の週にまとめる総合経済対策に触れて「その時点で(首相から)明確に方針が示されるのではないか」と述べ、今月の最終週にも麻生首相が判断するとの見方を示した(朝日新聞)。
 10月18日、細田博之幹事長は、埼玉県川島町で、講演し、「麻生さんは今は解散して勝利を収め、(その後)景気対策中心に打ち出すことが最も望ましいとの考えを持っている」と語った(朝日新聞)。
 10月19日、朝日新聞は、新宿区のスーパーを視察した麻生首相は、「物価の話とか品切れの話とか、値段が同じだけど量が減ったとか、現実にどうかなと関心があった」と述べました。物価高を実感? 首相がスーパー視察、夕食は帝国ホテル」と書いています。
 10月22日、ぶら下がりの記者会見で、次のようなやりとりがありました(産経新聞)。
記者「1晩で何万円もするような高級店に行っている。庶民の感覚とはかけ離れている」
麻生首相「ホテルが一番多い。あなたは高級料亭に毎晩みたいな話で作り替えてますけど、それは違うだろうが」
記者「高級…」
麻生首相「そういう言い方を、引っかけるような言い方やめろって。もうちょっと事実だけ言え、事実だけ。(ダイニングバーの)『馬尻』がいつから高級料亭になったんだ。言ってみろ。そういう卑劣な言い方はだめ」
 10月26日、麻生首相は、秋葉原の街頭演説会で、非正規社員が正規社員に転換されると婚姻率が上昇したとして、「女性がもう、結婚する相手が、なんとなーく、食いっぱぐれそうな顔してるとこりゃちょっと、結婚したらあたしが一人で働かないかんと。そら、なかなか結婚したくないよ。そら、女性のほうも選ぶ権利がある」と述べました。
 10月26日、麻生首相は、11月投開票を前提に選挙準備を進めてきた公明党の太田代表と会談し、政治空白を避けるため、政局より政策を優先する意向を伝えました。同党も「首相が決断すればやむをえない」(幹部)と最終的には解散先送りを容認する見通しだ(朝日新聞)。
 10月28日、麻生首相は、参院外交防衛委員会で、カップ麺1個の値段を聞かれ、「日清食品が最初出したときはえらく安かった。いま400円くらいします?そんなにしない?私、最近自分で買ったことないので」と答弁しました(当時は170円でした)。
 10月28日、麻生首相は、衆院解散について、記者団に、「政局より政策。それが答えだ」と強調した。ただ、解散先送りの背景には、自民党が独自に実施した情勢調査で、与党の過半数維持が厳しい結果が出たことも影響しているとみられる。総選挙の時期は、早くても来年1月以降にずれこむ見通しだ(朝日新聞)。
 10月30日、麻生首相は、首相官邸で記者会見し、「行政改革や景気の回復を前提に、3年後に消費税率を引き上げる」。一方、衆院解散については当面は見送る考えを示した(朝日新聞)。
 10月31日、浜田靖一防衛相は、先の大戦を日本の侵略とする見方に疑問を示し、集団的自衛権行使容認を求める論文を公表した防衛省の田母神俊雄航空幕僚長の更迭を決めました。
 10月31日、大阪高裁の小田耕治裁判長は、請求を退けた一審判決を支持、元隊長らの控訴を棄却しました。
 沖縄戦で住民に集団自決を命じたとする虚偽の記述で名誉を傷つけられたとして、元日本軍守備隊長らが「沖縄ノート」の著者大江健三郎さん(73)と岩波書店を相手に、出版差し止めや慰謝料などを求めて控訴していました。
 11月4日、麻生首相は、航空自衛隊の田母神俊雄・前幕僚長が日本の侵略や植民地支配を正当化する論文を発表して更迭されたことを受け、浜田防衛相に対し、関係者を厳しく処分し、再発防止策を講じるよう指示しました。
 11月10日、麻生首相は、自民党役員会で、学生らとの居酒屋懇談を話題にして、「ホッケの煮付けとか、そんなもんでしたよ」と発言しました。それに対し、大島理森国対委員長は「ホッケに煮付けはありません。ホッケは焼くしかないんです」と突っ込む一幕がありました。居酒屋メニューで「浮世離れ」を露呈した格好だ(産経新聞)。
 11月11日、朝日新聞の世論調査によると、麻生内閣の支持率は37%、不支持率は41%です。不支持が支持を上回りました。衆院比例区の投票先は、自民30%、民主33%です。民主が自民を上回りました。麻生首相と小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相49%、小沢代表23%で、麻生首相が圧倒しています。
 麻生首相が景気対策の目玉として打ち出した定額給付金について、「必要な政策だと思う」は26%、「そうは思わない」が63%でした。定額給付金・不必要63%でした。
 11月12日、麻生首相は、母校学習院大で、日中青少年友好交流年の閉幕式でのあいさつで、「ちょうど半年前の今日、四川省で発生した大震災、みぞうゆう(未曽有)の自然災害というものを乗り越えて……」と読み間違えました。さらに、日中の交流について、「1年のうちにこれだけはんざつ(頻繁)に両首脳が往来したのは日中関係史上過去に例がありません」と読み間違えました。
 11月12日、自民・公明両党は、「定額給付金」について、所得制限のあり方や支給手続きなど具体的な内容のほとんどを支給窓口を担う市町村に「丸投げ」した大枠を決定しました。
(1)2009(平成21)年1月1日を基準日に、住民基本台帳に掲載されている氏名、住所、生年月日などの情報から、給付対象者と給付額を決定。
(2)受け取る方法として最有力なのが、申請者があらかじめ指定した金融機関の口座に振り込む方式。
 11月12日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、定額給付金については、「僕は元々受け取る気ありませんから」「手間ひまかかってごちゃごちゃするってのは、地方に持ってこられても、ものすごく大変だと思うね。大枠だけで、あとは地方にとって一番簡単な方法を選んだ」と語りました。
 11月14日、麻生首相は、ワシントンで、同行記者団に、定額給付金について、「給付なんておれはいらない、というプライドもある人もいっぱいいる」と述べました。
 11月14日、東京都の石原慎太郎知事らは、所得制限の判断や支給について、事務量が煩雑化するとして、「国がもうちょっと指針を示さないと混乱が起こる。都合のいい時だけ地方分権でおまえたちがやれって。それは無理だ」と語りました。
 11月19日、麻生首相は、全国知事会議で、地方の医師確保策についての見解を問われ、「自分が病院を経営しているから言うわけじゃないけれど、大変ですよ。はっきり言って社会的常識がかなり欠落している人が多い」「(医師不足が)これだけ激しくなってくれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないですかと。しかも『医者の数を減らせ減らせ、多すぎる』と言ったのはどなたでした、という話を党としても激しく申しあげた記憶がある」と述べました(朝日新聞)。
 11月19日、麻生首相は、「道路特定財源の一般財源化に伴い地方に新たに配分する1兆円について、地方交付税として自由に使える金1兆円を配分する」と語りました。
 11月20日、自民党の山本有二道路調査会長は、道路特定財源の一般財源化により1兆円を地方交付税として配分するという首相発言について、記者団に「あり得ない。誰も守らない。交付税を交付金と読んだらつじつまが合う」と皮肉・批判しました。
 11月20日、麻生首相は、経済財政諮問会議で、保険料で支え合う医療制度の議論の中で、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言しました。
 11月20日、麻生首相は、経済財政諮問会議で、社会保障費の効率化の議論の中で、「67、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている、医者にやたらかかっている者がいる。学生時代はとても元気だったが、今になるとこちらの方がはるかに医療費がかかってない」と指摘しました。自らの朝の散歩が役立っているとしたうえで、「私の方が税金は払っている。努力して健康を保った人には、何かしてくれるというインセンティブ(報奨)がないといけない」と強調しました(朝日新聞)。
 11月20日、麻生首相は、「道路特定財源の一般財源化に伴い地方に新たに配分する1兆円について、地方交付税として配分する」との発言を「交付税に限る必要がない」と修正しました。交付税は、地方公共団体が自由に使える税金です。道路特定財源は、道路に使用が限定され、国交省から支給され、癒着・天下りの温床と批判されています。
 11月20日、麻生首相の発言は、総額2兆円の定額給付金について、「全世帯対象」から「高額所得者に辞退してもらう」などと変わった。綸言汗の如しである。一度口に出した君主の言は取り消すことはできない(産経新聞主張)。
 11月25日、公明党の太田昭宏代表は、松江市の党支持者らとの会合で、「10月解散、11月選挙にズームを当ててきましたが、いつかといわれると分かりません。申し訳ありません」と陳謝しました。
 公明党は小沢・民主党と対決する「衆院選の顔」として麻生太郎首相の誕生を歓迎していたが、首相の失言問題などもあって内閣支持率は低迷し続けている。公明党内は「こんなはずではなかった。だから早く解散した方がよかったのに」(別の幹部)とのぼやきで満ちている(産経新聞)。
 11月27日、麻生首相は、記者団に対して、「たらたら飲んで食べて何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言したことについて、「病の床にいる人の気分を害したなら、おわびする」「発言(の一部)を切り取られた。予防にもっと力を入れることによって医療費全体を抑制できる」と釈明しました。
 11月27日、社民党の福島党首は、常任幹事会で、「自分が損していると言うが、自分の半径50センチのことしか視野に入れていないのではないか。改めて総理の資質が問われる」と批判しました。
10  12月1日、産経・FNN合同世論調査によると、麻生内閣の支持率は27.5%、不支持率は58.3%です。不支持は支持の2倍以上です。どちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相31.5%、小沢代表32.5%で、小沢代表が初めて麻生首相に逆転です。定額給付金・不適切76.9%でした。
 12月6日、麻生首相は、長崎県諫早市の自民党長崎県連主催の演説会で、定額給付金について「私はそんな金をもらいたくないという人はもらわなきゃいい。1億円あっても、さもしく1万2000円が欲しいという人もいるかもしれない」と演説しました。
 12月7日、朝日新聞の世論調査によると、麻生内閣の支持率は22%、不支持率は64%です。不支持は支持に3倍です。衆院比例区の投票先は、自民28%、民主36%です。民主が自民をさらに上回りました。どちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相30%、小沢代表35%で、小沢代表がここでも麻生首相に逆転です。定額給付金・納得できない60%でした。
 12月7日、共同通信の世論調査によると、麻生内閣の支持率は25.5%、不支持率は61.3%です。衆院比例区の投票先は、自民27.4%、民主28.7%です。どちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相33.5%、小沢代表34.5%で、小沢代表がここでも麻生首相に逆転です。定額給付金・妥当でない55.7%でした。
 12月15日、麻生首相は、参院決算委員会で、高額所得者が定額給付金を受け取ることについて「多額の金をもらっている方が1万2000円をちょうだいというのを(過去に)私は『さもしい』と申し上げた。(定額給付金は)困っている人にと発想した話で、1億円も収入がある方はもらわないのが普通だ。人間の矜持の問題なのかもしれない」と述べました。
 12月17日、「事実関係は確認されていない」と反論していた在ニューヨーク日本総領事館のホームページ(HP)は、「状況が変わった」として反論文を削除しました(朝日新聞)。
 12月18日、厚生省は、民主党の藤田幸久参院議員の照会に対して、参院外交防衛委で、麻生首相の親族が経営していた旧麻生鉱業の連合国捕虜強制労働問題で、厚生労働省は麻生鉱業で連合国捕虜300人が労働させられていた事実を明らかにしました。その内容は、次の通りです。
 公文書は1945年8月15日付で、旧麻生鉱業吉隈炭坑の捕虜収容所にオーストラリア人197人、英国人101人、オランダ人2人がいたとし、同年7月にはオーストラリア人2人が死亡したとの記述もある。陸軍省を引き継いだ旧第一復員省などが作成し厚労省が保管していた。
 12月19日、麻生首相は、ハローワーク渋谷で、六本木などで働きたいという若者に対して、「今まで何してたんだ?新しい仕事というのは『これがやりたい』と言わないと、相談される方も『何かないですか』と言われても困る。何がやりたいか目的意識をはっきり出すようにしないと、就職というのは難しい」と説教しました。
11  2009(平成21)年1月6日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、定額給付金について、次の様に述べました。
記者:首相ご自身は受け取るか。
首相:「生活給付金、っていうようなイメージで最初スタートしたんですが、あのころと時代が大きく変わってしまった。ずいぶん情勢が違っている、というところが1点ありますんで。ただこれは消費刺激という点に意義があるということですんで、是非みなさん方には使ってほしいなと。私自身がどうするのか、というのは今、まだ判断をしている段階でありませんで、私自身はそのときになって考えたいと思っていま」と語り、定額給付金について判断を留保する考えを述べました。受け取りを決めれば「また、発言がぶれた」とも批判されるので、最終的な判断は先送りしたものとみられる(朝日新聞)。
 1月7日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、定額給付金について、次のように述べました。
記者:全国市長会の佐竹会長が「定額給付金が生活支援ではなく、消費刺激とすると同じ2兆円でも考えが違ってく
る。もう一度、検討すべきだ」と述べたが、2兆円の使い方について再検討する考えはあるか。
首相:生活給付と消費刺激という面が両方ありますんで、ぜひ給付が来たら、ぜひ消費できる方、余裕のあるところはぜひ使っていただきたい。私自身はそういう気持ちが強くあります(産経新聞)。
 1月8日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、定額給付金について、次のように述べました。
記者:高額所得者がもらうのは「さもしい」と発言されていますが、この発言を撤回するお考えはありますか。
首相:私の言っている趣旨は、ずっと一貫していると思っています。
記者:さもしいという発言は撤回されないということでよろしいんでしょうか。
首相:いや、撤回するもしないも、言っていることはずーっと同じことです
12  1月11日、公明党の太田昭宏代表は、NHKの討論番組に出演し、麻生太郎首相が定額給付金の受け取りを明言していないことについて「首相も考えや今までの発言もあってのことだろう。しかし、閣僚も含めて受け取ることを基本にして(給付金支給を)やるということが消費の拡大になる」と述べ、首相や閣僚が受け取るべきだとの考えを示しました(産経新聞)。
 1月11日、朝日新聞の世論調査によると、麻生内閣の支持率は19%、不支持率は67%です。衆院比例区の投票先は、自民25%、民主38%です。どちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相30%、小沢代表35%で、小沢代表がここでも麻生首相に逆転です。定額給付金・有効でない71%でした。
 1月11日、共同通信の世論調査によると、麻生内閣の支持率は19.2%、不支持率は70.2%です。衆院比例区の投票先は、自民27.5%、民主31.1%です。どちらが首相にふさわしいかでは、麻生首相22.1%、小沢代表46.4%で、小沢代表は麻生首相の2倍の支持です。定額給付金・評価しない70.5%でした。
 1月12日、産経・FNN合同世論調査によると、「首相に一番ふさわしいのは誰か」と問うと、小沢一郎氏(13.2%)で1位、小泉純一郎氏(9.9%)、渡辺喜美氏(8.7%)、麻生太郎氏(5.9%)、舛添要一氏(5.5%)、石原伸晃氏(5.1%)でした。
 1月13日、2兆円の定額給付金を盛り込んだ08年度第2次補正予算案と関連法案は、自民、公明両党などの賛成多数で衆院を通過しました。
 1月15日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、会合で、平成20年度第2次補正予算案に盛り込まれた約2兆円の定額給付金を撤回し、使途見直しが必要との認識で大筋一致したと報告しました(産経新聞)。
 1月16日、麻生首相は、記者会見で、定額給付金について、「個人に給付されるものにもらえとかもらうなとか言えない。ぜひみなさんに使っていただきたい」と述べました。
 1月17日、麻生首相は、自民党都道府県連幹事長会議で、「全国から幹事長集めて、1回ぐらい飲ませないのは、おかしいじゃないかと。飲むなら、ちゃんと車座にならんと。お約束します」「『あのやろー、すぐ、ぶれる』とか何とか、すぐ書かれてますから、ちゃんとぶれずにやりあげたことだけは、まず最初に申し上げたい」と語りました(朝日新聞)。
 1月19日、麻生首相は、参院予算委員会で、「ぶれている、ぶれているって、定額給付金の話とか(地方)交付税の話とかよく言われましたが、申し上げた通りになった。結果論として、ぶれたことはなかった」と語りました。
 1月25日、麻生首相は、朝青龍に対し、「内閣総理大臣 朝青龍殿」と”賞”ぬきの表彰状を読み上げ、「数々の試練を乗り越えての優勝。やっぱり横綱は強くなくちゃ」と祝辞を贈りました。
 1月31日、鳩山邦夫総務相は、宇都宮市で、記者団に対し、旧日本郵政公社が1万円で売却した鳥取県内の「かんぽの宿」が6千万円で転売されていたことについて、「6千万円で転売されたというのは衝撃的だ」と述べ、旧公社時代を含め、日本郵政の施設の売却価格を疑問視しました(朝日新聞)。
 1月25日、麻生首相は、大相撲初場所は25日、横綱朝青龍(28)が涙の復活優勝を飾った。平成13年夏場所以来、8年ぶりの横綱同士の優勝決定戦で、白鵬(23)を寄り切り、5場所ぶりのV。
 麻生太郎首相が、優勝した朝青龍に表彰状と内閣総理大臣杯を手渡した。土俵に上がった首相は朝青龍に対し、表彰状を読み上げた後「数々の試練を乗り越えての優勝。やっぱり横綱は強くなくちゃ」と笑顔で復活Vを祝福。続いて重さ約40キロの総理大臣杯を介添人の助けを借りて授与した。表彰状を読み上げた際には「内閣総理大臣賞」の「賞」の字を読み飛ばしたのか、「内閣総理大臣 朝青龍殿」と“迷走”する場面もあった。
13  2月2日、麻生首相は、自民党役員会で、定額給付金について、出席者の一人から「いつまでも意思表示しなければ、優柔不断だと思われる」などと指摘され、小声で「おれはもらわない。最初から受け取らないと決めている」と話しました(朝日新聞)。
 2月4日、複数の自民党幹部は、自民党役員会で、麻生首相が「受け取る気はない」と明言したと語りました。
 2月5日、麻生首相は、衆院予算委員会で、民主党の川内博史氏の質問に対し、定額給付金を「受け取る意思はない」と2日の自民党役員会で明言したとの報道について、、「誤報だと思う。このようなことをまだ、わたしは役員会で明言したことはない。新聞(報道)のような事実はない」と全面否定しました。
 2月5日、麻生首相は、衆院予算委員会で、分社化された日本郵政グループについて、「民営化された以上、もうからないシステムは、駄目だと思います」「基本的に、今4つに分断した形が本当に効率としていいのかどうか、もう1回見直すべき時に来ているのではないか」と述べました。
 2月5日、麻生首相は、衆院予算委員会で、民主党の筒井議員が「小泉内閣の閣僚として、郵政民営化を推進した責任がある筈だ」との質問に対し、「郵政民営化、小泉総理の下に、(私は)賛成じゃありませんでしたので、えらい騒ぎになった。しかし私は内閣の一員ですから最終的には賛成した。みんな勘違いしているが、(私は)郵政民営化の担当大臣ではなかったんです。(私は)総務大臣だったんだけど、郵政民営化担当は、私は(民営化に)反対だと分かったので、私だけ外されていました。担当相が竹中さんだったことは、是非記憶してもらいたい。ぬれぎぬをかぶせられると、おれも甚だ面白くないから」と応じました。
 2月5日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、郵政民営化について、次のように語りました。
記者:総理は今日、予算委員会の中で、「4分社化が本当に効率として良いのか。もう一度見直すべきときが来ているのではないか」と述べられましたが、見直しについて具体的にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
首相:検討されている委員の諮問の答えを受け取るのが私の立場ですから、内容について、私がこうしろああしろなんていう立場にありません。
記者:現在の与党の議席は郵政民営化を訴えて圧勝した選挙の結果であって、今日の総理の発言は自分が寄って立つ議席の根拠を否定するものだという批判があるのですが
首相:ああ、ぜんぜん関係ないと思います
 2月5日、自民党関係者によると、小泉元首相は、町村派議員に電話し、「麻生氏は郵政民営化に反対していなかった。反対なら(小泉内閣で)総務相をやっているわけがない」と語ったという。
 衆議院議員選挙当時の幹事長だった武部勤・党改革実行本部長も「(麻生首相の発言は)非常に不見識と言わざるを得ない」と指摘した(読売新聞)。
 2月9日、麻生首相は、予算委員会で、民主党の筒井信隆氏の質問に次のように答えました。
筒井氏:(郵政解散の際に)島村農水相は(解散書類への)署名を拒否して罷免された。麻生首相は信念を曲げた
首相:政治家としてそういう考えもあろうが、私みたいな考え方もあろう
筒井氏:民営化のどこに反対だったのか
首相:(私は)間違いなく民営化に賛成でなかった、最初の時。しかし、(総務相に就任して)2年間の間に、いろいろ勉強して、経営のことを長期的に考えたら、民営化した方がいいと、最終的にそう思った。民営化には賛成ということで、最終的にサインした
 2月9日、麻生首相は、予算委員会で、民主党の渡部恒三氏の質問に対して、「奇人変人としては正しい行為だと思いますけれど、いかがなものかと(当時の小泉首相に)申し上げました」と答えました。
14  2月10日、共同通信社の全国電話世論調査によると、麻生内閣の支持率は18.1%、不支持率は70.9%です。衆院比例区の投票先は、自民25.9%、民主55.3%です。民主党支持は、自民党支持の2倍以上です。
 2月10日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、郵政民営化について、次のように語りました。
記者:首相は衆院予算委で、「私は郵政民営化担当大臣ではなかった」と発言したが、去年9月の自民党総裁選で
は、「私は郵政民営化を担当した大臣」と発言している
首相:(小泉内閣で)総務相を2期やりました。1期目は間違いなく、郵政民営化を担当する所管の大臣。しかし、2期目、(民営化法案を)決定する時には郵政民営化担当というのは外されて、(旧)郵政省所管の大臣ではありました。二つ分けてお話しにならないと混線される
記者:予算委で「郵政選挙で国民に問うたのは郵政の民営化であって、4分社化は問うてない」という発言をしました
首相:法律的には(4分社化は)あん中(法案)に入ってますよ。だけど、あの時、4分社化を知っている人は、ほとんどおられないというのが私の認識です
 2月10日、麻生首相は、小泉純一郎元首相に電話し、郵政民営化をめぐる自らの一連の発言について真意を説明した。首相が「言葉足らずで心配かけてます」と述べると、小泉氏は「あの当時はみんな反対だったからなあ」と応じた(産経新聞)。
 2月12日、小泉元首相は、「郵政民営化を堅持し推進する集い」で、次のように語りました。
 (麻生首相について)怒るというより笑っちゃうくらい、ただただあきれている。
 一昨日(10日)も総理から話がしたいということで電話で話をしたんですが、そのときに、たまたま小野次郎代議士のブログに「総理それはないでしょう」というのを読んでいたんです。もう一つ、世耕(弘成)参院議員の「それをいっちゃあおしめえよ」。だからね、総理にね、「こういう意見が耳に入っていないでしょうから、官邸にこの小野次郎さんの文章と世耕さんの文章をファクスで送るから、よく読んでおいてくれ」と言っておきました。
 (定額給付金につい)3分の2を使ってでも成立させなければならないとは思わない。
 政治に一番大事なのは信頼感だ。特に総理。総理の発言を信じられなければ、選挙は戦えない(産経新聞)。
 NIE(教育に新聞を)ということで、たくさんの新聞から引用しました。お礼申し上げます。
ブレブレ人が総理になる21世紀の不思議
 私の教え子に、こんな生徒(A君)がいました。
 教育実習中のことです。この時期、先生チームが地域のチームとソフトボール大会をすることになっています。若いA君に、「ピッチャーが出来るか」と問うと、「絶対ですよ。僕の球は誰も打てません」と自信満々です。それでピッチャーをしてもらうことにしました。なるほど、絶対打てないはずです。ボールがキャッチャーに届かないのです。
 なぜ、A君が投げる自信もないのに大言壮語したか分かりません。それ以来音信不通でした。
 無事、神戸の私立B高校の先生になりました。3年後、姫路の私立C高校の先生になりました。所が、教科指導で行き詰って、校長に厳しく叱責されたらしく、私にその極意を聞きに来ました。1回や2回では覚えられないので、「飛び飛びでもいいから、1年間、都合のいい日に、研修に来れるか」と問うと、「教師の首がかかっているので、是非お願いします」と必死で懇願する。「約束を厳守出来るならと」引き受けました。
 2回はきちんと来ましたが、3回目は「都合で行けない」という。「じゃ、次回は、都合のいい日を連絡するように」と約束しましたが、それ以降、連絡がなく、音信不通となりました。
 数年後、A君から電話があり、「姫路の私立C高校をやめ、今、県職で特別支援D学校の生徒の就職斡旋の仕事をしている。先生は、進路指導のベテランとも聞いているので指導してほしい」という依頼でした。私は、前回のこともあ
り、「相談にはのるが、指導はしない」と答えました。何回か質問があり、相談に乗りましたが、やがて約束の日がルーズとなり、その後、音信不通となりました。
 数年後、A君から電話があり、「特別支援D学校をやめて、姫路の近くの私立高校に勤めるようになったので、指導してほしい」という依頼でした。私は、つい、相談に乗ってしまうのでした。
 麻生首相の記事を書いていて、忘れていたA君のことを思い出しました。
 A君は、自由奔放な生き方や行動をしています。強力な縁故(コネ)があるのか、いい職場を簡単にやめても、また新しい職場に就職します。A君は、凡人には及びもつかない魅力を持っています。
 しかし、「約束をしても、すぐ、前の約束を忘れ、新しい人との約束をしてしまう」というのです。
 私の場合、一度約束をして、後により重要な話があっても、先約を重視します。そのため、「しまった」ということがよくあります。そのため、約束をする時は、吟味に吟味を重ねるようにしています。それでも「しまった」という体験は今でもあります。「言い訳はしない人生を送ろうね」というのが、私の生徒への一言でもありました。
 逆に、簡単に約束を忘れたり、解消する人は、信用できません。
 最近、「忠臣蔵」の講演でなく、「大石内蔵助」の講演依頼が多くなりました。これは、「一度決めたことは、ブレることなく、艱難辛苦の末、成し遂げた大石内蔵助の重さ」に対する「麻生首相のブレまくる軽さ」に対する教訓でしょうか。
 定額給付金のブレについても後述しますが、もっと郵政民営化に対するブレは「怒りを通り越して笑っちゃうくらい」ひどいもんです。
 現在は、情報化時代です。麻生氏の発言は、ほとんどインターネットで確認できます。
 麻生首相は、2月5日の衆院予算委員会で、「郵政民営化、賛成じゃありませんでした。郵政民営化担当は、私は反対だと分かったので、私だけ外されていました。担当相が竹中さんだったことは、是非記憶してもらいたい。ぬれぎぬをかぶせられると、おれも甚だ面白くないから」と答えました。
 当時の記録を再現しました。
 2005年8月8日15時、小泉首相は、臨時閣議を開催しました。島村宜伸農水相、麻生太郎総務相ら閣僚が解散に反対しました。小泉首相は、個別に説得をしましたが、最後まで解散詔書への署名を拒否した島村農水相を罷免し、首相自身が農水相を兼務して解散詔書を閣議決定しました。ということは、麻生氏は、この段階で小泉首相の説得を了承しているのです。
解説1:2005年9月11日、衆議院議員選挙が行われました。衆議院で郵政民営化に反対した自民党の議員には刺客が送られるという異常で狂気に満ちた選挙でした。その結果、自民党は大勝しましたが、郵政民営化反対派は33人のうち半数に近い16人が落選しました。麻生氏は、反対も棄権もしていません。
 さらに当時の記事を丁寧に読むと、麻生総務相は衆院の解散には反対していますが、小泉首相の説得により解散詔書に署名しています。郵政選挙後も総務相に任命されています。小泉元首相が言うように、「反対なら、任命するはずがない」ということがの方が説得力があります。
 2009年2月7日の神戸新聞の正平調は、「小泉内閣の総務相として、反対派の若手議員を大臣室に呼びつけ、賛成を迫ったのはどなただったか。さらに国会での審議入りを前に、反対する総務省の幹部を降格させたのは」と書いています。
 2008年9月12日、麻生氏は、自民党総裁候補討論会で、「まず間違えていただいては困るのは、私は郵政民営化を担当した大臣ですからね、忘れないでください。私が総務大臣として担当しておりました」と断言しています。
解説2:2005年といえば、今から4年前のことと言うかもしれませんが、あのような異常な出来事は、私のような凡人でも覚えています。ましてや当事者が忘れることはないでしょう。
 2008年9月と言えば、半年にもなりません。半年前の発言を覚えていないようでは、日本丸の船長は務まりません。
 今まで、多くの失言を繰り返し、手痛い目に会ったにもかかわらず、全く学習していません。しかし、自民党の国会議員から支持を受けて、総理大臣になりました。私の教え子A君と同じだというのは、この点です。
 次に、麻生首相の論理の組み立てを検証したいと思います。
 2009年2月6日、郵政民営化について
記者:きのう、予算委員会で、郵政民営化が決まるときに「本当は賛成じゃなかった」というような発言をした。もし、賛成でなかったのであれば、当時総務大臣だったと思うが、総務大臣を辞任すべきだったのではないかという考えもあるかと思うが、どうお考えか
首相:あのときは、いろいろな意見がありました。郵政民営化担当大臣ではありませんでした。私は外されてましたんで。総務大臣ですけど、郵政民営化担当というのは、私ではありませんでした。私はいろいろ意見がありましたから、私だけじゃありません、他に多くの意見がありましたから、そのとき意見がありました。最終的に結論が出ましたから、最終的に結論が出たなら、それに従う。『内閣の一員として当然じゃないですか』。そうお答えしたと思いますが
解説3:記者の「民営化に反対なら、総務大臣を辞任すべきだったのではないか」という質問に麻生首相は、「民営化担当の総務大臣ではなかった」から辞任する必要はない、しかし「最終的に結論が出たなら、それに従う。『内閣の一員として当然じゃないですか』」と前言にない言葉を弄してその場を取り繕っています。
 だれもこのような詭弁を受け入れない。
 私たちは、首相の釈明を求めているのではない。平和や発展についての首相の指針なり所信を期待している。そういう庶民の気持ちが全く分かっていない。
朝日新聞社説:「郵政」発言―麻生首相の見識を疑う(2009年2月7日)
 耳を疑うような発言が、麻生首相から飛び出した。「私は郵政民営化に賛成じゃなかった」
 おとといの衆院予算委員会での、民主党議員の質問に対する答弁である。発言はこう続く。
 「しかし、小泉内閣の一員として最終的に賛成した。(旧郵政省を管轄する)総務相だったんだけど、私は反対だと分かったので、郵政民営化担当ははずされた。ぬれぎぬをかぶされるとオレもはなはだおもしろくない」
 そのころ麻生氏が郵政民営化に慎重だったのは事実だ。だが、麻生氏が今率いる自民党は、小泉元首相が「郵政民営化に賛成か反対か、国民に聞いてみたい」とぶち上げた05年の総選挙で大勝し、その遺産でかろうじて政権の命脈を保っている。衆院の再議決で野党優位の参院の結論を覆せるのも、そのおかげなのだ。
 それなのに、こともあろうに、自らに託された権力の最大の裏づけになっている郵政民営化について、反対だったと平然と言ってのける神経を疑う。
毎日新聞社説:郵政見直し 首相発言のあまりの軽さよ(2009年2月7日)
 同法が閣議決定された05年春当時、麻生首相は小泉内閣の総務相だった。ところが衆院予算委でこの点をただされた首相は「私は郵政民営化に賛成じゃなかった」とあっけらかんと答弁。民営化担当ではなかったかとの指摘には
「反対だったので(担当を)外されていた。ぬれぎぬを着せられると、おれもはなはだ面白くない」とまで語ったのだ。
 そこまで言うのなら、なぜ、当時、総務相を辞任するなどして体を張って反対しなかったのか。「私は反対だった」で済むと思っているとすれば、首相としてという以前に、政治家としてあまりに無責任だ。
産経主張:郵政民営化 見直すべきは改革の逆行(2009.2.7)
 民主党が全国郵便局長会による衆院選の支援を背景に、民営化見直しを強く求める国民新党との連携を強化しており、自民党があおられている面もあるようだ。
 こうしたなかで、首相は「民営化に賛成ではなかった」「郵政民営化担当相は竹中平蔵氏だった」と耳を疑うような発言もしている。これでは国民も改革への逆行としか受け取れまい。
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