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エピソード

306_04

今、賢い消費者になることが求められています(1)
 最近、つくづく、過去の知識・体験では、判断できない商品が氾濫しています。
 在職中、高校生には「賢い消費者たれ」と話をしてきました。重たくない財産(物でなく、技術)に投資しようとか、流行の音楽CDは買わず、FM放送を録音して、流行が去ってから、本当に買いたい曲だけ買おうとか、私の実践的体験論を語り、大きな支持を得たものです。
 今、その言葉を自分に言い聞かせています。
電子書籍(iPad)について
 2010年4月3日、アメリカで、アップル社の新型多機能情報端末・アイパッド(iPad)が発売されました。発売初日に30万台以上が販売されました。発売から28日間で100万台が販売されました。6月21日、300万台が販売されました。

 日本では、2010年5月28日、アイパッド(iPad)が発売されました。東京都渋谷区のソフトバンクモバイルの旗艦店「ソフトバンク表参道」では、孫正義社長が姿をみせ、アイパッドを「ライフスタイルを変える魔法の端末」などと表現しました。
 アイパッドの国内販売価格は、通信機能のみの機種で4万8800円から、携帯電話回線網(3G)も使える機種で5万8320円から、となっています。
 TVのワイドショーは勿論、NHKのニュースやクローズアップ現代でも、アイパッド(iPad)の電子書籍が取り上げられました。
 年配の人は「こんなのが欲しかったんだ」と言って、手で画面をなぞると、文字が大きくなったり、指を右から左に動かすと、次のページが表示されました。
 別な人は、電子書籍を手に持って、家を出て、喫茶店で読んでいました。
 画面を押すと、文字が大きくなるので、喜ぶ老婦人の映像も紹介されていました。

 朝日新聞(2010年7月29日付け)は、「ソフトバンク、iPadで大躍進 営業利益1千億円台に」と題して、次のよ追うな記事を載せています(和気真也氏の署名記事)。
 携帯電話大手3社の2010年4〜6月期決算が29日、出そろった。ソフトバンクモバイルは「iPad」と「iPhone4」の国内販売を手がけ、営業利益を初めて1千億円台に乗せる躍進だった。
 ソフトバンクは米アップルのiPadを5月、iPhone4を6月に国内では独占的に発売した。新規契約から解約を差し引いた4〜6月の契約純増数は、前年同期の2倍強の69万台と過去最高の伸びを記録した。
 朝日新聞は、『てくの生活入門』欄で、「iPadの長所と短所」と題して、2回(2010年8月2日・8月9日付け)にわたり、以下のような記事を掲載しました(西田宗千佳、斎藤幾郎、丹治吉順の3氏)。
 丹 次は重さ。片手で持ち、もう一方の手で操作するのが基本だが、約700グラムあり、持つ手が非常に疲れる。落とすと割れやすいから、神経も使う。購入を検討している人には、実機を5〜10分、しっかり手で持って使ってみることをすすめたい。
 西 iPadはノートパソコンより軽いが、携帯電話のように片手で持って使うのは日本人には相当厳しい。同じ姿勢で長時間使える構造ではない。
 丹 初めて使う前、パソコンに接続する必要があるのも要注意。iPadでパソコンが不要になると期待したが、違った。
 斎 パソコンなしでは写真の整理も不便。iPad上でアルバムを作って分類できない。
 丹 バックアップも問題だ。
 丹 電子書籍が騒がれているが、iPadのようなバックライト液晶で活字の本を読むのは目が疲れる。
 西 明るさが調整できる点を歓迎する人もいるので一概には言えないが、目が疲れるのは事実。eインクを使ったアマゾンのキンドルなどの方がずっと読みやすい。活字本の場合、キンドルなら数冊続けて読めるが、iPadは1冊が限界だった。ただし、雑誌などのカラー表示は最も美しくて読みやすい。
 丹 iPadの購入をすすめられるのはどんな人だろうか。
 斎 パソコン操作のストレスから解放されるならフラッシュなしでよい人(前回上参照)。スペック(性能値)よりレスポンス(反応)を取る人だと思う。
 西 パソコンの情報を身近な知人と一緒に見たい人。家庭で気楽にネットを使いたい人。パソコンの日々の管理が面倒と感じている人だろう。
 丹 「買い」の時期は?
 西 iPhone4に搭載されたiOS4がiPadに提供される今秋(予定)が一つの狙い目。iOS4のマルチタスク(複数プログラムの同時作動)機能はiPad向きだ。
 丹 他社製のライバル機が出てくるまで待つというのは?
 斎 何ともいえない。操作性で今すぐiPadを超えるのは難しそうだし、実用性の高いアプリがそろう保証もない。ただ本体のみでUSBやSDカードが使え、ファイルの扱いがパソコンに近ければ、多少使い勝手が悪くても、パソコンに慣れた人が受け入れる可能性は高い。
 シニア層には、より大きな文字表示や、「かな入力」対応なども重要だ。
 丹 iPadは「夢の端末」と言われるが、正確には「夢の方向を示した端末」だと感じる。人とデジタルを近づける糸口を開いた半面、本当に近づけるには、前回に指摘したような処理能力や重量など現実的な課題がいろいろある。iPadの次号機やライバル機が、これらの課題にどう対処するかを見てから購入を検討しても遅くはないのでは。

私の感想:iPadは日本でも大きな話題になりました。その結果、ソフトバンクは、「営業利益を初めて1千億円台に乗せる」利潤を得ました。
 しかし、朝日新聞の3氏の評論を読む限り、「処理能力や重量など現実的な課題がいろいろある。iPadの次号機やライバル機が、これらの課題にどう対処するかを見てから購入を検討しても遅くはない」と発売1年後を待っても言いと、私の持論と同じ評価でした。
 私は、1年後に買うかと問われたら、ズバリ、「買いません」。私は、デジタル化に大賛成です。しかし、書籍としてでなく、史資料として、二次活用できるからです。単に読むだけという一次利用のためなら、全く必要ありません。やっと、電子書籍について、情報に惑わされない賢い消費者になれました。


電子辞書
 電子書籍と紛らわしいですが、れっきとした別製品の電子辞書があります。
 電子辞書はとても魅力的です。ミニ・パソコン位の大きさに、紙辞書が100冊も入っています・

 電子辞書の収録辞書(100コンテンツ)です。
(1)百科事典(1コンテンツ):
@ブリタニカ(約154,000項目、イラスト・図版など約1,200点)
(2)国語(18コンテンツ):
@岩波書店広辞苑(約240,000項目、収録図表約2,770点)
A学研漢字源(収録漢字13,255字、録熟語約48,000語)
B角川書店類語新辞典(収録語数約50,000語)
C旺文社全訳古語辞典(収録語数約22,500語、収録図表約280点)
D大修館書店古語林(収録数3,651項目)
E学研パーソナルカタカナ語辞典(収録語数約28,000語)
F学研四字熟語辞典(収録項目約1,450項目)
G学研事ことわざ辞典(収録項目 約4,500項目)
H学研言葉の作法辞典(収録項目 約1,800項目)など
(3)英語・英会話(15コンテンツ):
@OXFORD現代英英辞典(収録項目 約183,500語、収録例文 約85,000例)
A大修館書店ジーニアス英和辞典 (収録語数約96,000語、収録図表約260点、音声項目約100,000語)
B大修館書店ジーニアス和英辞典(収録語数 約82,000語)
C三省堂カタカナで引ける英和辞典(収録語数 約44,000語)
D三省堂英文ビジネスレター事典(収録項目 約1,600項目、収録例文 約4,000例)
EDHC英会話とっさのひとこと辞典(収録例文 約8,000例、収録音声 約3,000例)
F大修館書店英語名演説・名せりふ集(収録数 13点、音声項目 収録時間 約22分10秒)など
(4)旅行(11コンテンツ):
@三省堂デイリー日中英・中日英辞典(収録項目 日中英 約13,000項目、中日英 約5,000項目)
A実業之日本社ブルーガイド英語(収録例文約2,300例、収録単語約4,500語、音声例文約2,300例)
B実業之日本社ブルーガイドイ+イタリア語(例文約2,500例、単語約8,500語、音声例文約1,300例)
C実業之日本社ブルーガイドイ+フランス語(例文約2,500例、単語約8,000語、音声例文約1,300例)
D実業之日本社ブルーガイドイ+スペイン語(例文約2,500例、単語約7,500語、音声例文約1,300例)
E実業之日本社ブルーガイドイ+ドイツ語(例文約2,500例、単語約8,000語)
F実業之日本社ブルーガイドイ+韓国語(例文約2,500例、単語約8,500語、音声例文約1,300例)
G実業之日本社ブルーガイドイ+中国語(例文約2,500例、単語約5,200語、音声例文約1,100例)
H学研世界の料理・メニュー辞典(収録語数 約3,200語)
I学研トラベル英会話(収録例文 約1,460例)など
*解説:学校へ持って行ったり、旅行に持って行ったりすると、すごい威力を示すでしょう。

私の感想:非常に魅力的ですが、私は買いませんでした。
 その理由は、分からない字源が表示されても、パソコンに「コピー&貼り付け」機能がないことです。表示された意味をひたすらパソコンに入力しなおす必要があります。
 他方、CD辞書は購入しました。例えば岩波書店の『広辞苑』では、紙辞書は価格13,650園ですが、CD辞書は価格10,500円と割安です。
(1)『源氏物語』(CD辞書(広辞苑))の必要なデータをパソコンに「コピー&貼り付け」
げんじものがたり【源氏物語】
平安中期の長編物語。紫式部の作。宮廷生活を中心として平安前・中期の世相を描写し、全編を桐壺・帚木ははきぎ・空蝉うつせみ・夕顔・若紫・末摘花・紅葉賀・花宴・葵・賢木さかき・花散里・須磨・明石・澪標みおつくし・蓬生よもぎう・関屋・絵合・松風・薄雲・槿あさがお・少女・玉鬘たまかずら・初音・胡蝶・蛍・常夏とこなつ・篝火・野分・行幸みゆき・藤袴・真木柱・梅ヶ枝・藤裏葉・若菜(上下)・柏木・横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻・雲隠・匂宮・紅梅・竹河・橋姫・椎本しいがもと・総角あげまき・早蕨・宿木・東屋・浮舟・蜻蛉かげろう・手習・夢浮橋の五十四帖に分つ。幻まで前編とし、主人公光源氏を中心に藤壺・紫の上など幾多の才媛を配して、その華やかな生涯を描く。雲隠は、光源氏死去の意を寓し、巻名だけで文なく、匂宮・紅梅・竹河の三帖は後編への連鎖をなす。後編の橋姫以下の十帖は、光源氏のあとを受けつぐ薫・匂宮に宇治の八の宮の姫君たちを配して、複雑な人間関係を写したもので、特に宇治十帖と称する。構想上は、前編を藤裏葉までと若菜以下とに二分し、全編を3部に分けて見ることが多い。アーサー=ウェーリーの英訳その他外国語訳もある。
(2)張り付けた必要なデータから編集用データを選択
げんじものがたり【源氏物語】
平安中期の長編物語。紫式部の作。宮廷生活を中心として平安前・中期の世相を描写し、全編を桐壺・帚木ははきぎ・空蝉うつせみ・夕顔・若紫・末摘花・紅葉賀・花宴・葵・賢木さかき・花散里・須磨・明石・澪標みおつくし・蓬生よもぎう・関屋・絵合・松風・薄雲・槿あさがお・少女・玉鬘たまかずら・初音・胡蝶・蛍・常夏とこなつ・篝火・野分・行幸みゆき・藤袴・真木柱・梅ヶ枝・藤裏葉・若菜(上下)・柏木・横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻・雲隠・匂宮・紅梅・竹河・橋姫・椎本しいがもと・総角あげまき・早蕨・宿木・東屋・浮舟・蜻蛉かげろう・手習・夢浮橋の五十四帖に分つ。幻まで前編とし、主人公光源氏を中心に藤壺・紫の上など幾多の才媛を配して、その華やかな生涯を描く。雲隠は、光源氏死去の意を寓し、巻名だけで文なく、匂宮・紅梅・竹河の三帖は後編への連鎖をなす。後編の橋姫以下の十帖は、光源氏のあとを受けつぐ薫・匂宮に宇治の八の宮 の姫君たちを配して、複雑な人間関係を写したもので、特に宇治十帖と称する。構想上は、前編を藤裏葉までと若菜以下とに二分し、全編を3部に分けて見ることが多い。アーサー=ウェーリーの英訳その他外国語訳もある。
(3)張り付けたデータを自分風に編集する
【源氏物語】
 平安中期の長編物語。紫式部の作。宮廷生活を中心として平安前・中期の世相を描写し、五十四帖に分つ。
 前編は主人公光源氏を中心に藤壺・紫の上など幾多の才媛を配して、その華やかな生涯を描く。
 後編の十帖は、光源氏のあとを受けつぐ薫・匂宮に宇治の八の宮の姫君たちを配して、複雑な人間関係を写したもので、特に宇治十帖と称する。

情報処理から比較(紙辞書:電子辞書:CD辞書)←クリック
「賢い消費者の条件」━自分自身の価値基準をもつ
 魯山人は、「味だけは誰にも伝えることができない」と言っています。
 私は、小さい時から、父の手伝いで、農業に酷使されました。その結果、米や野菜、果物などに関して、本物の味を舌で覚えることができました。
 妻が、時々、「これが本物のゴマやでー」と神戸の知人に紹介された専門店で、ゴマを買ってきます。しかし、私が舌で覚えた味ではないのです。
 在職中、相生では数少ない、接待できる料理屋さんがありました。予約の時間に5分ほど遅れた時のことです。大将から「時間を厳守してもらわないと、一番美味しい状態で出せん!!」と厳しく注意を受けました。
 大将が板場に去った後、割勘の接待(?)なので、客の1人が「客に対して失礼なことをいうなー」と不愉快の表情をしました。私は「この場は私が主人なので、腹も立つでしょうが、我慢してもらいたい」と説得しました。
 皆は、「美味しかった!!」と言い、腹を立てた客もそこの常連さんになりました。
 息子の代になりました。座敷の通されると、本日の献立が全て、卓の上に整列していました。大将は、一品一品が最も美味しい状態で出していました。熱い物は熱く、冷たい物は冷たく‥‥。
 二度とこの店を利用することはありませんでした。
 隣の赤穂には、「大将は変人だが、美味しい店がある」と紹介された料理屋さんが数軒ありました。
 共通点は、予約してもカウンター席に座らされたことです。「一品一品が最も美味しい状態で出すには、カウンターの距離」というのです。
 1軒は、息子がカウンターの向こう側で調理し、父親がノレン奥から味を指図する料理屋でした。最近、久し振りでその店に行きました。電話で「カウンター」を予約すると、怪訝そうに「カウンターですか」という返事でした。カウンターに座ったものの、若奥さん(息子の嫁さん)が奥から料理を一品一品出してきます。味も違うし、接待方法の違うので、「大将は?」と聞くと、若奥さん「今は主人(若大将)が独立してやっています」という返事でした。その後、二度と行くことはありませんでした。
 今も昔も通っている料理屋さんが、残り、数軒だけになってしまいました。
 この料理屋さんは、今も同じ接待方法で、味も最高です。少し高いですが、高さを感じさせない満足を得て帰宅することができます。宣伝料をもらったりしているわけではありません。
今も同じ接待方法で、味も最高の料理屋さん←クリック
 メーカーやお店屋さんは、様々な方法で、宣伝をします。
 私たちは、自分の立場で、自分にとって、何が必要で、何が美味しいかの価値基準を持つことが大切だと感じました。皆さんは如何でしょうか?

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