奥から見たカウンター席(写真提供:くいしん坊) | 赤穂城隅櫓と大手門 |
丸山利一郎画 |
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てみたいというメールが数通届きました。美味しい料理を食べ歩くのが趣味で あるが、マンガ「美味しん坊」のようなコメントは書けない。申し訳ありません。 毎回新鮮な驚きに出会うのが、くいしん坊である。手造りの豆腐(写真左)が 出された。「そのままお召し上がりください」と丸山さんから言われた。普通豆 腐は削り節に醤油をかける形で出される。舌に温かく、甘い。エッ?。豆腐に甘 みがあった?。 次に行った時、マッタケの土瓶蒸しである。酢橘(スダチ)など数種の薬味が 出された。大将は何も言わなかったが、この薬味についても、「マッタケそのも のに味があるので、何もつけずに食べて欲しい。その後素材のよさを、薬味を 使って色々と味わって下さい」という意味なんだなと勝手に解釈して、マッタケに 箸をのばした。 | |
本や映画では土瓶蒸しにはスダチと決まっている。昔、別の料理屋さんで恰幅のいい紳士が部下らしき若者らに「土瓶 蒸しにはスダチが一番や」と高説を垂れているのが記憶に残っていた。 口に入れた瞬間小さいときに食べたマッタケの味、香りが蘇った。私の実家の裏山ではマッタケが豊富にとれた。今は その時の味は数万円出しても買えないものと諦めていたのに…。それだけ自慢の素材なのである。どこで手に入れた? 以前、在ブラジルの日本人二世(先生で、国体選手として来日)からコーヒーの話を聞いたことがある。「ブラジルではコ ーヒーの味が悪いときに砂糖を入れ、味がきついときにミルクを入れる。つまり出されたコーヒーがまずい時に砂糖やミ ルクを入れると聞いた。日本人の多くは飲む前に砂糖やミルクを入れるが、入れた人へのマナー違反であると…」 それ以来私はコーヒーや紅茶には何も入れずに、コーヒーや紅茶そのものの味を嗜むようにしている。 大将は「素材を大切に、素材のよさを活かすのが努めである」と言う。素材のよさを活かすには技術がいる。それと同 時に素材のよさを見分ける目と舌がいる。料理の美味しさの秘訣はこの三拍子が必要なんだなと実感したものである。 忠臣蔵の面白さも実は素材(史料)にある。私はその史料(素材)をそのまま現代に伝えることが出来るか苦慮しなが ら、忠臣蔵新聞をインターネット上で発行している。 そんな所が大将の考え方と似ているんだなーと不遜な思いで次なる出会いを終えた。 |