岸 俊男氏『寧楽遺文下巻』と紀田順一郎氏『ジャン・クリストフ』
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テキスト:007*岸 俊男(大9)京大教授 日本古代史 「寧楽遺文下巻」( )『私はこの一冊を昭和十九年晩秋のある日、とくに外出を許された房総館山の町の小さな書店で買い求めた。それはいよいよ生還を期しえぬ戦地への配属を目前に控えた時であったが、私はこの本を手 ●にして何か心の支えをえたようで、不思議と心の安らぐのを覚えた。その後幸いにも学窓に還ることのできた私にとって、この本が学生のときに手に入れた上巻とともに、私の研究の再出発の起点となったが、それは今も背綴はほころびて解体寸前のまま、常に私の座右にある』 |
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略歴など:昭和時代後期の日本史学者。 大正9年9月15日生まれ。昭和44年母校京大の教授となる。のち愛知学院大教授,奈良県立橿原(かしはら)考古学研究所所長をつとめる。政治・経済史を専門とし,都城制や木簡(もっかん)・金石(きんせき)文の研究などによって戦後の古代史学界を先導した。昭和62年1月21日死去。66歳。京都出身。著作に「日本古代政治史研究」「日本古代宮都の研究」など。 ”きし-としお【岸俊男】”, 日本人名大辞典, ジャパンナレッジより |
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テキスト:008*紀田順一郎(昭10)評論家 ロマン・ロラン「ジャン・クリストフ」(岩波文庫)『私はこの本によって、高貴な妥協を知らぬ精神というものを教えられた。普遍性とヒューマニズムを尊ぶ精神を知ったのも、本書のおかげであったように思う』 |
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略歴など:昭和後期-平成時代の評論家。 昭和10年4月16日生まれ。商社勤務ののち,昭和39年「現代人の読書」で評論活動にはいる。書誌研究を中心に出版論,読書論,日本語論,情報論など領域もひろく,幻想文学,ミステリーの作品もある。平成20年「幻想と怪奇の時代」で日本推理作家協会賞。神奈川県出身。慶大卒。本名は佐藤俊。著作はほかに「名著の伝記」「日本語大博物館」など。 ”きだ-じゅんいちろう【紀田順一郎】”, 日本人名大辞典, ジャパンナレッジ より |