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孫に伝える小説忠臣蔵

第一章
【006回】赤穂浅野家の誕生(1)━浅野長直の赤穂着任

豊臣秀吉
|| 前田利家 利常 満 姫
浅野長勝 ねね 徳川家康 振姫 ||
やや ||━ 光晟
|| 幸 長 長晟
浅野長政
長    晟
長 重 長直
系図(7)
赤穂浅野家初代・浅野長直と徳川家康・広島本家の関係

浅野長直の赤穂着任の背景?
前任者の池田輝興が発狂して、妻を切り殺す悲劇
 大野蛍子さんはいつも元気ですが、今日は、特に、陽気でした。
 蛍子「いよいよ今日から、赤穂浅野家の誕生ですね」
 湖南土井瑠「そんなに待ち遠しかったかい?」
 木村葉月「電車の中で鼻歌を唄ってましたよ」
 土井瑠「ずーっと待ったから、嬉しさも百倍なんだよ」
 湖南あこな「おじいちゃんの口癖ね。”楽しみは待った後からやって来る”」
 土井瑠「是非、映画『幸せの黄色いハンカチ』を観てほしいね」

 少し話がそれたので、蛍子さんの顔が曇りました。
 土井瑠「そうそう。赤穂浅野家の誕生だね」
 蛍子「お願いします!!」
 土井瑠「系図(7)をご覧。1645(正保2)年6月22日に浅野長重の子・長直(35歳)が今の茨城県の笠間から赤穂にやって来たんだよ」
 蛍子「やって来たのはどうしてですか」
 土井瑠「実は、赤穂城の前任者の池田輝興が発狂して、妻を切り殺すという悲惨な事件が起きたんだ」
 あこな「えーっ。そんなー」
 葉月「1645年に事件が起き、元禄14年の1701年にも事件が起きているんですね」
 土井瑠「50年間に2度、赤穂の人は悲惨な事件を経験したことになるね」

一国一城令に違反して新城の許可
知恵伊豆の老中・松平信綱らの好意
 蛍子「父から当時は一国一城令で、赤穂に新城を作ることは出来なかったと聞いたのですが」
 土井瑠「そうなんだ」
 葉月「それでも、赤穂では新城を作ることが出来たんですね」
 土井瑠「よく知っているね。そうなんだ」
 あこな「なんか特別な理由があるんですか」
 土井瑠「老中の松平信綱らが浅野長直に、”赤穂は5万石としての城が無いから普請をしたければ、幕府の許可を得なさい”という異例の転勤命令を出しているんだ」
 蛍子「新城の許可を出したんですね」
 土井瑠「そういうことだね」
 葉月「老中の松平信綱っていう人は、確か、”知恵伊豆”と言われた人ですね」
 土井瑠「由井正雪の乱を鎮圧した時の老中だね」
 あこな「どうして赤穂だけ特別扱いをしたんですか」
 土井瑠「これは難しい質問だね。赤穂に軍用の塩を作らせるという説もあるんだが・・。これは忠臣蔵新聞に書いているので、後で読んで理解してね」

元禄時代の赤穂(写真1)
赤穂城の立地条件
千種川は今の千種川ではなかった!!
 蛍子「はい。所で、今の赤穂城は、どんな立地にあったんですか」
 土井瑠「写真1の元禄時代の赤穂を見てごらん」
 土井瑠「南は海、つまり瀬戸内海だね。東は大川、つまり熊見川だね」
 葉月「千種川ではないんですね」
 土井瑠「当時の本流は熊見川で、東端の細い川が尾崎川で、今の千種川なんだよ」
 あこな「どうしてそうなったんですか」
 土井瑠「1892(明治25)年7月、赤穂はじまって以来の洪水に見舞われ、死者は90人近く、流失した家屋は3500軒以上にのぼったんだ」
 蛍子「そんな大変なことがあったんですね」
 あこな「それでどうなったんですか」
 土井瑠「そこで、今の坂越橋の少し南を堰どめ、尾崎川を本流として千種川としたんだ」
 葉月「今は細い熊見川は、大洪水までは、地図のように千種川の本流だったのですね」
 土井瑠「そうそう。だから、南は海に囲まれ、東は千種川に守られ、北は山に防がれているんだ」
 蛍子「地図を見ると、西側も海に囲まれていますね」
 土井瑠「一部、平地が残されているね」
 あこな「わかった!! そこに家臣の家を建てれば、完璧ですね」
 土井瑠「自然をうまく利用することを天然の要害というんだね」
 蛍子「天然の要害を利用して赤穂城を作ったんですね」
 土井瑠「そうだね。ただし、お城を造るためにはお金がいるね。次は、赤穂初代・浅野長直はどうして、お金を工面したかを勉強しようか」
 さらに土井瑠は「次ぐに来る時は、赤穂城の周辺を散歩したり、気になったことを調べて来るんだよ。そうすると、もっとよくわかるからねー」
 三人の中学生「はーい」

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