相生の昔話

(05)皿と婆(ばば)とをまちがえた婿(むこ)

 あほな婿が婿入りにゆく時に、先方では、みごとな皿が出るはずだから、
 「この皿は、南京(なんきん)皿か京皿か、さては唐(から)から渡り皿か、というてほめい」
 と教えられた。
 座敷(ざしき)へ通ると、先ずその家のお婆さんが挨拶に出た。婿は、ここじゃと思うて、
 「此(こ)のばばは、南京ばばか、京婆か、さては唐から渡り婆か」
 というた。

注1:「南京皿」は”中国の明時代の皿”ということで、高級な皿という意味もあります。
注2:「京皿」は”京料理に使う皿”ということで、高級な皿という意味もあります。
注3:「唐から渡り皿」は”中国の皿”ということで、高級な皿という意味もあります。
挿絵:立巳理恵
出展:『相生市史』第四巻