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1695年発行(第037号)

忠臣蔵新聞

貨幣改鋳にからくり

新井白石、「其の半ばを奪
ふべきための術」と見抜く

小判1両中の金成分比

量目(匁) 純分(匁) 百分比(%)
慶長大判 44.10 29.85 67.70
慶長小判  4.76  4.01 84.29
慶長銀 80.00
元禄大判 44.10 22.83 51.77
元禄小判  4.76  2.73 57.37
元禄銀 64.00 慶長小判 元禄小判

貨幣増量によるインフレに民衆は悩む


 民衆は差益金の恩恵の外にいたばかりでなく、改鋳によって貨幣量は金1.5倍、銀1.25倍
となり、相場が混乱して商人は迷惑を被り、民衆は物価高騰に悩まされた。
 新井白石の『折りたく柴の記』
 「金銀の数を増され候由…真実は慶長以来造られ候ほどの数、其の半ばを奪ふべきための術
にて候き」と喝破する。

荻原重秀、収賄で免職


 荻原の受賄は銀の改鋳にかんするだけで「金二六万両に余り…古書、珍器の類はことごとくし
るすにいとまあらず」と私腹を肥やした荻原を非難し、「かかる姦邪の小人用いさせ給ふ事の御
あやまり十条をしるして」荻原重秀の罷免を求めている。
 正徳2年に重秀は罷免される。

庶民は「悪化は良貨を駆逐する」を実践する

 『三貨図彙』には民衆は「新金銀アシキ故、古金銀引替ニ出サズ」と、抵抗の様を記している。 

庶民の幕府への不満

 庶民にとってはインフレで大いに悩まされ、幕府への不満が渦巻いていた。
 つまり将軍徳川綱吉・側用人柳沢吉保の時代に人々は窒息するような息苦しい状態に置かれ
ていたということである。人々は綱吉に対して、誰かスカッとするようなことをやることを期待してい
のである。

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