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元禄14年3月14日発行夕刊(第052号)

忠臣蔵新聞

多門伝八郎さんが
若年寄に直訴

「今日に今日の処分は余りに御手軽」と

柳沢吉保さん(角石氏模写) 多門伝八郎さんの墓

伝八郎さんら目付は
「今日に今日の処分は余りに御手軽である」
と若年寄に直訴しました

 伝八郎さんら4人の目付は返事を保留し、若年寄の加藤明英さん・稲垣重富さんに面会
を申し込み次のような申し入れをしました。
 「内匠頭さんは5万石の城主であり、本家の浅野家は大大名である。だのに、今すぐ切腹
とは余りにも手軽な処分である」「今日に今日の切腹ということについては、私たちは小身で
はあるが目付を将軍より任命されている以上、将軍のミスを黙っているのは不忠であるので、
あえて申し上げる次第である」
 また「上野介さんの取り調べ態度は神妙であったという。そして『何の恨みを受けることもな
く全く内匠頭の乱心により刃傷に及んだ』ということで、逆にほめられたという。今日に今日の
御称美は余りに手軽ななされようである」
 つまり「もう少し様子を見てからでも遅くはない」という当然の主張である。
史料原文

 多門伝八郎申上候は(略)かりそめにも五万石之城主、殊ニ本家(広島藩)は大身之大名
ニ御座候、然ル処今日直ニ切腹とは余り手軽之御仕置ニ御坐候間今日之切腹之義は乍恐
私共小身之御役ニ而も御目付被 仰付候上は、上之御手抜之義ハ不申上候而は不忠ニ
恐をかへりミす奉申上候、(略)上野介儀も慎被 仰付尚又再応糺之上弥神妙ニ相聞へ何
之恨受候義も無之全く内匠頭乱心ニ而及刃傷候筋も有之候ハヽ御称美之御取扱も可有之
処、今日ニ今日之御称美ハあまり御手軽ニ而御坐候
出典
「多門伝八郎覚書」(赤穂市発行『忠臣蔵第三巻』)
凡例
文字−原史料を抹消している箇所

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