伝八郎さんが激怒して報道陣に内幕を暴露
右京太夫さんに庭前切腹について抗議
大目付の庄田さんが「内匠頭をそなたに預けた上で切腹させよとの命令がだされたので、
その用意をして頂きたい」と伝えた。
多門さんらはそれに対し「切腹の場所をまず検分したい」と言うと、庄田さんは「さっき絵図
面で私が見て済んだことである。あなた方の検分は必要ない」と向きになって答える。
多門さんが再度「とはいえ、私たちは副使なので、あなただけの検使でもない」と言うと、庄
田さんは「私が承知した上は副使の指図は必要ないが、お役柄の検分なら仕方があるまい」
と答える。
多門さんらが検分した所が、小書院の庭に涼み台のものをおき、畳を敷き詰めていた。
多門さんらが右京太夫さんに「内匠頭さんは一城の主、武士道による切腹を命じられたの
である。庭での切腹は納得できない。粗略にししても座敷であるべきだ」と申し入れた。
史料原文
(略)玄関江左(右)京太夫出迎被居候、夫より庄田下総守申渡候ニは、浅野内匠頭其方江
御預之上切腹被 仰付候旨申渡候、用意可致候旨申渡候、(略)伝八郎・権右(左)衛門両
人申候ニは、右切腹之場所一先見分可致之由被申候処、下総守被申候ニは、先刻絵図面
ヲ以拙者一覧いたし殊ニ相済申候ニ付、御手前様方御見分ニ不及候旨被申候処、伝八郎
再応申候ニは(略)乍去副使之役ニ御坐候へは貴所様斗之検使ニも無之(略)、下総守大目
付拙者承届候上は副使不及差図候、乍去御目付之御役柄御差図は出来兼候間御見分は
御勝手次第可被成候(略)伝八郎・権右衛門両人場所致見分候処、小書院之庭ニ涼台之如
く之物ヲ敷詰、白洲之畳を不残敷(略)、伝八郎・権右衛門両人左京太夫江申聞候は(略)一
城之あるし殊ニ武士道之御仕置被 仰付候ニ付、於庭前切腹と申ス(義)は有之間敷、(略)
麁末之御取斗ひニ而も坐敷ニ可致筈ニ候処難心得候(略) |