5月21日(赤穂支局発)
「大学さんの安否が不明の段階で
家中の者を納得させるのに苦労した」
内蔵助さん以下33人は赤穂での居残り業務を一段落させたので、城明け渡しの大体
の模様を、江戸にいる一族の浅野美濃守長恒さん(内匠頭さんの叔父。若狭野浅野家)
に報告しました。
「この度赤穂城を引き渡すについては、以前浅野長澄さん(三次藩主)が使者に書状
をことづけられました。
本家や戸田氏定さんよりも使者が派遣されました。
少しづつ命じられた内容を家中の者に言い含め、支障なく4月19日に引き渡しも済み
家中の者も退散いたしました。
しかし大学さんの行く末を聞かずに離散することについては、家中の者も安心できな
い様子で、かわいそうに思います。
大学さんの閉門も限りがあり、お許しが出ても面目もあり、『人前の御交も御心能く、御
奉公成られ侯様に仕り度く、家中一同に願い奉り侯事に御座侯』。
目付衆が赤穂に来られて城内見分された時、以上のようなことを大体言ったところ、
『程無く御下向の上、仰せ上げらるの旨御挨拶御座候』と返事されました。 |