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元禄15(1702)年1月26日発行(第128号)

忠臣蔵新聞

弥兵衛さん、内蔵助さんに
「違変なし」と返事

これは本心か、カムフラージュか
いぜん続く内蔵助さんのピンチ

堀部弥兵衛さん 大石内蔵助さん
1702年1月26日(東京本社発)

弥兵衛さんの考え
「私は討ち入り一筋と決めている」
「あなたの考えを一筋に下知せよ」


 久しぶりに安兵衛さんの養父弥兵衛さんを尋ねました。彼は今日、内蔵助さんに次の様な手紙を書いたことを教えてくれました。
 「去年進藤さんや原惣右衛門さんが尋ねたので、『私は初めより討ち入り一筋にと思っている』と答えたが、一向にその様子もありません。
 どのような異見を申す者がいても絶対心を移してはいけません。あなたがお考えのように一筋に下知すべきです。あなたの考えに私は異存ありません。
 私のせがれも今も違変の心は毛頭ありません」 
史料

 「何様ニ御異見申者有之候共曽テ御心移無之、貴体思召ノ通ニ一筋ニ御下知可然存候、御手前様御了簡ニ不違存候、将又私世悴義今以違変ノ心底毛頭無之候

 「討ち入りが大いに長引けば渡世がひしと手詰まり生活しにくくなります。しかし高田郡兵衛さんの様にぎりぎりになって手の裏を返すようなことはしません」

信頼すべき原さんや大高さんの変心
本心を語れない内蔵助さんの苦悩


 内蔵助さんにとって信頼すべき原惣右衛門さんや大高源五さんが変心し、安兵衛さんを説得すべき弥兵衛さんは養子の行動は黙認し、内蔵助さんには歯の浮くよう言葉を羅列している。内蔵助さんにとってのピンチがいぜん続いていることには間違いありません。
 このころの内蔵助さんは大変だったと思いますが、なかなか本心を見せないだけに、よけい苦悩は深まったいたのではないでしょうか。
参考資料
 『忠臣蔵第三巻』(赤穂市発行)
 木像彫刻(大石神社蔵)

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