元禄15(1702)年6月12日発行(第143号)
安兵衛さんの到達点
内蔵助さんと「離るる方が益多し」
公約が果たせても、本望ではない
人数を広げるのは、何もしないことになる
「むしろ内蔵助さんと手を切った方がよい」
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堀部安兵衛さん |
原惣右衛門さん |
潮田又之丞さん |
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中村勘助さん |
大高源五さん |
武林唯七さん |
1702年6月12日
内蔵助さんの手紙へのリアクション
安兵衛さん、過激派同志に手紙
「大学さんの安否のわかる来春まで
まだ待たれるつもりか」
吉田忠左衛門さんは、内蔵助さんの5月21日付け手紙(3月まで待つ)を安兵衛さんに渡す。
安兵衛さんはそれへの対抗策として、原惣右衛門さん、潮田又之丞さん、中村勘助さん、大高源五さん、それに武林唯七さんにも手紙を書きました。
「大学さんの安否が決まらなければ、来春まで待つのか。もう一度皆さんのお考えをお聞きしたい」
上野介さんが隠居する前は幕府の処罰も期待できたが、
今となっては処罰はない
「上野介さんの隠居も許可がなければ、私たちの願いである切腹もあったかも知れない」
大学さんの安否まで待って最初の主意に叶うなら、
時節が来るまで待つのも一理ある。
しかし長引けば無益だ
「大学さんの安否が決まるまで待って最初の主意に叶うなら、時節到来を待つのも一理ある。しかし長引けば無益で害のみである」
10人で本望を達せられる
人数だけ広げるのは結局は何もしないことになる
「真実の者10人もいれば、本望は達することが出来る。気心の知れた者を集めれば10人余にもなるだろう。なまじ広く声をかけた場合、色々な意見の者が集まり、取りまとめるに困るだろう」
史料
「真実ノ者拾人モ有之候ハ、心安本望ハ可相達ト存候ナマシヰ広ク御沙汰候ハヽ色々ノ了箇計付畢竟ハ無事ノ取繕モノニ可被思召候」
内蔵助さんに相談して群を離れるのは一理ある、
しかしいくら話しても動く気配はない、
だから相談には及ばないと思う
「山科の内蔵助さんに相談してから群を離れるというのは一理ある。しかし、どれほどの理を尽くしても内蔵助さんは動くとは思えない。だから相談には及ばないと思う。むしろ離れた方が益が多いと思う」(「離候方ニ益多ト被存候」)
大学さんを大切にし、
亡君の志を立てることは真実の義勇だが、
二君に仕える気はない、
身命をなげうった亡君の志を立てる
「大学さんを大切にし、亡君への志も立てることは真実も義勇とも言えよう。私は二君へ義を立てる気持ちはない。身命をなげうってまで主君が訴えようとした志を達する以外はない。
史料
「二君へ志ヲ存ル儀ニテモ無之候間、…擲身命候テ亡後ニ志ヲ顕申ヨリ外ハ無之トモ存ル御事候」 |
参考資料
赤穂市発行『忠臣蔵史料第三巻』
木像彫刻(赤穂市大石神社所蔵) |