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元禄15(1702)年11月(第172号)

忠臣蔵新聞

内蔵助さん、同志に
「討ち入り覚え」を発送

@討ち入り衣服・道具・配置まで指示
A目的は同志全員で本意を達すること、
抜け駆けは断固排除せよ

川崎村称名寺

11月初旬神奈川支局発

一 私の宿所は平間村とし、ここより同志に指図する。

衣服は黒い小袖、合言葉はおって連絡

一 討ち入るときの衣服は「黒き小袖」を用いる。帯の結び目は右の脇がよい。下帯は
  前さがりにして外れないようにする。股引・脚半・草鞋を用いる。
  付けたりとして合印・合相言葉は追って連絡する。

一 各々の道具は自由とする。槍・半弓などを用いるものは前もって申し出てもらいた
  い。その準備を致したい。
 
一 同志が全員江戸に到着した上は、何事によらず油断せず、吉良の便りがありしだ
 い駆けつける気持ちで、必要な道具を取り集めておく。・・・一家・親戚でも警戒して
 互いに付け届けもするべきではない。

一 同志全員で本意を達しようと申し合わせたのである(同志一同ニ本意を可達とか
 く申合候
)から、もし道路にて吉良に行き会い勝負できる場合があっても、1人の仇
 ではないので1人で本意を遂げるようなことをしてはならない(「一人之あたにてハ無
 之候間独立遂本意申ましき事
」)

何日も見張り出来るよう普段から鍛えよ

一 吉良が在宅かどうかも確かめない間は討ち入りは出来ない。場合によっては数日
 見合せることもあるので、飢えたりしないよう、普段から衣食遊興など全てに費用を
 かけないことが大切である。・・・

一 同志が寄合した時の雑談、朝暮の言行には慎重なのが大切である。・・・

吉良親子を討ち取るには吉良方全員を門外に出すな

一 討ち取る相手は吉良上野介と息子の左兵衛である(志乃相手はト一、左之助ニ
 候
)から、この2人にばかり目をつけ他を構わない場合、吉良が他人に紛れ込むと
 いうこともある。討ち入ったならば男女の差なく1人も打ちもらさないようにすることが
 大切である。屋敷内の手配をよく定め、表門・裏門・新門の3ヶ所を堅く守り、内より
 外へ乗り越えられる場所を考え、内外に人数を配置しなければならない(「表門・裏
 門・新門此三ケ処堅相守共外ニも内より乗越可申場を考内外之人数配り可申合事
」)

1人で3人を相手にしても、必死で戦えば勝てる

一 相手は雑兵を入れると100人ほどいる。同志50人は必死の覚悟であるから、相手
 が2〜3人、こちらが1人で勝負をしても全て勝利をえると安心している。

一 同志には今度改めて神文誓書を交わした上で、腹蔵なく申し合わせたい。・・・以
 上の内容は差し当たりの私の考えを書いてお目にかけたのである。もしお考えがあれ
 ば、遠慮なく聞かせてもらいたい。

参考資料
「浅野赤穂分家済美録」(赤穂市発行『忠臣蔵第三巻』)

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